即売会の末路
雨足は強くなる。
スマホでニュースを見ると、台風ではないが
日本中大雨のようだ。東北地方も雨足はどんどん強くなり、昼前には土砂降りになるようだ。
しかしながら、それなりに大きい即売会だ。
お客さんは長蛇の列で開場を待つ。
ヒデはその様子を見て、息をまいている。
これだけ来てるのだから売れるはずだ。
11時になった。開場し、お客さんがどっと雪崩れ込む。お目当ての作品があるのか、お客さんの流れを見ていると明確な目標に向かって足早に進んでいくような印象だ。
ヒデはでーん、と売り場の椅子で構えて座っている。お客さんはまだ0ではあるのだが、余裕があるように見える。
私はとにかくビラを撒く。発足したばかりの同好会だ。知名度も期待値も0だ。
とにかく知ってもらい、本を手に取ってもらうところからはじめなくてはならない。
客の流れも緩やかになったお昼1時。
お目当ての作品を買ったお客さん達の流れが変わる。掘り出し物を探すようなゆったりとした流れになった。何せ参加サークル数が多い。しっかり流行りを捉え、お客さんの嗜好に合うようなものを企画しなければ、それは売れないわけであって
私達の企画は、的を大きく外す企画であった。
それでも、ヒデはでーんと構えていた。
『俺らの情熱がこもっているんだ、大丈夫だっ!』
そんな風に強気の姿勢を崩さない。
だが、ヒデもわかっていたのだ。言葉じりだけなら、自信があるが言葉は震えていて、目が泳いでいたから。
情熱だけでは、売れない。
せっかくの製作物もただの紙切れになる。
即売会が終わり、片付けをするヒデの悲哀は背中越しに伝わる。顔は見えなかったが、背中が震え、鼻のすする音が聞こえる。手元の製作物はぽつぽつと、湿った跡が見られる。
どう声をかけていいかわからない。
何を言っても、彼の悲哀の色を深く染め上げてしまうような気がした。
結果は、
一冊も売れずに、
私達同好会の一度目の即売会は幕を閉じるのだった。




