第十二話 シャルロット
「――二人とも強いんだね、すごいすごい!」
戦いを終えたシャルロットが、楽しげに言いつつ、レイピアを納刀しながら、二人の方へと歩み寄ってくる。
「わたし、シャルロット。
この近くの街出身の冒険者で、ここには人探しと盗賊狩りの依頼で来たんだ。
二人は?」
気さくに尋ねるシャルロットに、二人は一度顔を見合わせた後、スミスの方が答える。
「通りすがりの旅人だ、貴様の起こした騒動に巻き込まれたので、仕方なく応戦した」
「ふーん、でもまあ、ありがと!」
感謝を伝えると、シャルロットは一転、真面目な話を始める。
「それで、この村の人質を助けたいんだけど、協力してくれないかな?
一人でも街まで護衛は出来るんだけど、生かして捕らえた盗賊もいるとね……」
シャルロットは困った様子で、視線をカノンが捕らえた村人達の方へと向けた。
「盗賊村の証拠としてどっかしらに引き渡せば、お金にはなると思うから、それで手を打ってくれない?」
「悪いが断る、俺達は急ぎの用事があるんだ、連れて行くのが難しいなら今からでも殺してしまえばいい」
スミスはあっさり、せっかく捕らえた盗賊の命を奪う提案をして、要求を断る。
これに、シャルロットはやっぱりか、と言った様子で残念そうに項垂れた。
「だよねぇ……まあ無理強いは出来ないし、仕方ないかな」
そんなシャルロットの様子を見て、カノンが口を開く。
「なあスミスさん、ちっとぐらい助けてやらねェか?」
スミスはカノンを睨むと、呆れたような口調で煽りを返す。
「……なるほど、チビっていうのは脳の容量も少ないのか、参考になった」
「あぁん、何つった今!?」
キレるカノンを放置し、ため息を吐いてからスミスはシャルロットに改めて提案をする。
「俺達はこの村で補給をする予定だったが、貴様が拉致監禁の被害者を連れて歩く以上、村の物資を貰うわけにもいかんだろう。
……望ましくないことだが、街で補給を受ける必要がある。
道案内も兼ねて、護衛を手伝うのも吝かではない」
スミスが言うと、シャルロットは首を傾げる。
「えっと、つまり人質を一緒に助けてくれるってことでしょ?
ありがと、よろしく……えっと、二人の名前は?」
「アタシはカノンってんだ、よろしくなシャルロット!」
「馬鹿女に名乗る名前は無い」
スミスの発言の意味がわからず、一瞬の間があってから、ようやく驚くシャルロット。
「えっ、その馬鹿女ってわたしのこと!?」
「人質目的の拉致監禁でないことも認識出来ん馬鹿はこの場に貴様だけだ」
スミスは言うと、この場を離れるように歩き始める。
村の物資を掻き集めつつ、拉致監禁されている人間の居場所を探す為である。
そんなスミスを追いかけ、文句を言うシャルロット。
「ちょっと、だからって馬鹿は無いんじゃない、馬鹿は、っていうか名前教えなさいよ!!」
「何を言われたかもう忘れたのか、馬鹿女」
「うるさ~いっ、名前名前名前名前名前ぇっ!!」
「やかましいのはお前の方だ……好きに呼べ」
「じゃあデブガエル!!」
「殺すぞ貴様」
シャルロットに絡まれつつ、先に進むスミス。
その様子を見て、カノンはニヤリと笑う。
「こりゃあ、ちっとの間だが楽しくなりそうだぜ!」
ウキウキで、機嫌の悪そうなスミスの後を追う。
そんなことを口にして嬉しそうにするカノンのことを思い、深い溜息を吐くスミス。
(……バカが二人に増えたか)
と、胸中で悪態をつくのであった。
暗殺者だったくせに殺さずに捕らえるタイプなんやね……。
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