第十一話 盗賊村、壊滅!
「……オイオイ、俺達を巻き込むつもりか?」
スミスは呆れた様子で、盗賊村の人間に向けて言う。
「構いやしねぇ、どうせ知られちまったら皆殺しなんだ!」
「そうよ、殺してしまえばいいのよ!!」
武器を手にした村人は、どうやらスミスとカノンのことも、逃がすつもりが無い様子だった。
一度、息を吐いてからスミスは諦め、仕方なしと言わんばかりの面倒そうな口調でカノンに言う。
「迎撃する、村人は投降する者を除いて殺せ」
「おっしゃ!」
待ってました、と言わんばかりの表情で、カノンは拳をバチンッ、と打ち鳴らしつつ言う。
こうして村人と三人――スミスにカノン、そして正義のサムライクイーンを名乗る意味不明な女、シャルロットの戦いが幕を開ける。
初手、村人達に向かって突っ込んでいくのはシャルロット。
「正義は――まっすぐ勝つ!!」
言った次の瞬間、なんとシャルロットの姿が掻き消える。
「な、どこに行った……」
男が驚き、周囲を見渡そうと思ったが――最早手遅れであった。
なんとシャルロットは、目にも止まらぬ速さのステップで前進し、男に自分が刺されたのだと気付かせないほどの速さで、一瞬で心臓を一突きにして、その生命を奪っていたのだ。
男は自分が殺されたことに気付かないまま、消えたシャルロットに驚く表情のまま、絶命する。
「……ほう、スピード特化の魔闘術、やるじゃあないか」
スミスはシャルロットの行なったことに気付き、感心する。
技術的にはシンプルを極めたようなもので、魔闘術の力を、可能な限りステップによる加速へと集約することで、目にも止まらぬ速さを実現しているのだ。
魔闘術の出力こそ、カノンに若干劣る程度の、まだ練度の甘いものに過ぎないが、特化した故の踏み込み、その一歩が生み出す速度と破壊力、そしてレイピアによる貫通力には比類無きものがある。
「在野の剣士でもこれだけ出来るんだ、もう少し根性を見せたらどうだ、チビ」
そして流れるように、カノンを煽って見せるスミス。
「うるせェ、アタシにはアタシのやり方があるんだよッ!!」
言うと、カノンは集中を開始し――魔闘術を発動する。
そして村人達が武器を持ち、待ち構える方へとゆっくり歩き出す。
「囲んでタコにしちまえっ!!」
村人達は、てんでバラバラに、カノンへ向かって攻撃を繰り出す。
連携も何も無い攻撃だからこそ、読みづらく、数が多いために防ぎづらい。
だが、カノンは慌てずにこの攻撃を捌いていく。
適切に、襲ってくる村人の攻撃を見極め、武器に一撃を加え、ズギャンッ、と破壊していく。
背後から迫る攻撃すら、視線を向けずに対処しつつ、距離の近い村人は死なない程度に手加減した打撃でズドンッ、と吹き飛ばす。
攻撃を受けた村人は意識を失い、吹き飛んだ先でドサリ、と倒れる。
どれだけ攻撃しても、意味が無いどころか……刃物を振り下ろしても、拳でガキャンッ、と正面から打ち破られ、破壊される様を見て、ついに村人達は尻込みする。
そんな村人達に、カノンは挑発するように言う。
「――どうした三下共、夜だからって眠ぃのか?
うだうだやってないで、掛かってきな」
村人達も、カノンを殺さねば先が無いことは分かっており……勝てないと分かっていながらも、挑発どおり襲い掛かるしか無かった。
一方、シャルロットもカノン同様、複数の村人に囲まれていた。
正面には、魔物の革製の大盾を構える、村一番の大男。
「コイツは俺が止める、後ろに回れッ!!」
言って大盾を構える大男に任せ、他の村人達はシャルロットの後ろから仕掛けるため、ジリジリと警戒しながら離れ、立ち位置を変える。
「まっすぐ、貫く!!」
だが――シャルロットは盾にもまるで構わない様子で、また超スピードのステップで前進し、大男は盾を持ち上げ受け止める姿勢を整える。
そしてなんと、ここでシャルロットは大男の目前で2ステップ。
軌道をググンッ、と変更し、側面から脇腹を狙い、貫いた!
「ま、真っ直ぐって言ったのに、なんで……」
「ふっ、わたしの進む道こそが正義、わたしが曲がったんじゃなくて、世界が曲がってただけだし」
ドヤ顔で言いながらレイピアを抜き取るシャルロットと、致命傷を受けて倒れる大男。
「あとレイピアで真っ直ぐ突いてるから、別にウソじゃないし、正面からしか突かないとは言ってないし?」
何やらドヤ顔で屁理屈っぽい言い訳をするシャルロットであったが、村人達は誰も聞いていなかった。
現実として、シャルロットの突きから逃れる術が無い以上……逃れられぬ死が迫っている事実に、口を開くことすら出来なかった為だ。
「よし、そんじゃあ悪いやつ皆殺し作戦つづけまーっす!」
言った瞬間、またシャルロットの姿は掻き消え――村人を一人、レイピアで貫き屠る。
次々とステップする度、目にも止まらぬ超スピードの突きが、村人達を確実に殺し、減らしていく。
そんな二人の様子を観察していたスミスは、自分の周囲に村人が群がり始めたことに気付く。
「……俺は効率の悪い事は嫌いだ、悪いことは言わんから死ぬなら向こうで死んでくれ」
と、村人に向かって言い放ちながら――懐から取り出したロリポップキャンディを口に咥える。
「このデブが一番弱そうだ、囲めば必ず殺れる!!」
「殺せ殺せぇ!!」
なんと村人は、見かけで判断し、スミスが最も戦闘能力に劣っていると決め付け、囲んでいたのだった。
「縋る藁を間違えるような馬鹿に救いなどいらんか……」
はぁ、と諦めたように息を吐く。
そして一呼吸置いて――スミスは魔闘術、凶我爆凄装を発動する。
「――『凶我爆凄装・参式』」
発動したのは、広域殲滅目的の凶我爆凄装、パワーに特化し、攻撃と共に強い衝撃波を周囲へ放つ技であった。
スミスの肉体は肥大し、巨大で筋肉質なものに変わると、一瞬の溜めの後、回転ラリアットのような動きと同時に、周囲へ衝撃波を放つ。
当然、スミスを囲んでいた村人にこれを回避する術など無く――衝撃波が到着すると同時に、彼らの肉体が、頭部が、弾けるような勢いで粉砕される。
一瞬にして、スミスを囲む者達は全滅する。
「ふん、つまらん……」
肉体が緩み、元のぽっちゃりチビ体型に戻ったスミスは、心底つまらなそうに言いながら、咥えたロリポップキャンディを舐める。
同じ頃に――カノンとシャルロットの相手していた村人達も、それぞれ全滅していた。
カノンが意識を奪い、捕縛した村人以外は――全員が降伏する姿勢すら見せなかったため、殺されていた。
こうして盗賊村の人間は全滅し、戦いは三人の勝利で終わるのであった。
新キャララッシュやね(二回目)




