断れませんか…?
沖田が固まった。
土方も固まった。
道場にいた全員が俺を見る。
「…………」
「…………」
「…………」
俺は気まずくなった。
「いや、その……」
土方が口を開いた。
「勇さん」
「はい」
「お前さん、何を言ってる?」
「何って」
「お前さん、試衛館の師範だろ」
「…………」
しまった。
そうだった。
俺は今、近藤勇だった。
当然、剣術ができる。
いや。
正確には――
身体はできる。
問題は中身だ。
俺は15歳の高校生。
剣道の経験すらない。
そんな俺が、
近藤勇の身体で、
沖田総司と、
稽古。
「…………」
俺は刀を見つめた。
無理。
絶対無理。
死ぬ。
史実より先に俺が死ぬ。
「先生?」
沖田が笑っている。
「どうしました?」
「……沖田」
「はい?」
「今日は、口頭指導にしない?」
「口頭?」
「そう。心構えとか」
「剣術なのに?」
「剣術だからこそ」
沖田が笑った。
「面白いですね」
「何が?」
「今日の先生」
「……そう?」
「はい」
沖田は木刀を構えた。
「じゃあ、先生が言う通りにします」
「え?」
「まず、先生の動きを見せてください」
「…………」
逃げ道がなくなった。
土方が腕を組んでいる。
完全に見物する気だ。
「勇さん」
「何?」
「師範の実力、見せてもらおうか」
「土方さん」
「何だ」
「俺のこと、応援してくれます?」
「もちろん」
「本当に?」
「ああ」
土方は真顔で言った。
「死ぬなよ」
「応援じゃない!!」




