初対面?
「……誰?」
俺の目の前に、若い男が立っていた。
細身。
柔らかそうな顔。
笑っている。
そして…木刀を持っている。
「沖田ですけど?」
「…………」
俺は固まった。
沖田総司。
本物だ。
写真で見た姿とは、もちろん違う。
だが。
この人だ。
俺の胸が大きく鳴った。
「沖田……総司……」
「はい」
「本物……」
「本物?」
沖田が首を傾げる。
「何の話ですか?」
「いや!」
俺は慌てて首を振った。
「何でもない!」
沖田は笑った。
「変な近藤先生」
「……近藤先生?」
「あれ?」
沖田は首を傾げた。
「今日、何か変ですよ」
「え?」
「いつもならもっと偉そうなのに」
「偉そう!?」
土方が横から口を挟んだ。
「今日は朝からずっとこんな調子だ」
「土方さん」
沖田は楽しそうに笑った。
「近藤先生、寝ぼけてるんじゃないですか?」
「寝ぼけてない!」
「じゃあ、記憶喪失?」
「それも違う!」
「では、幽霊?」
「何でそうなるんだよ!」
沖田が笑った。
俺は思った。
――この人。
めちゃくちゃ普通に若者だ。
もっとこう。
「拙者、剣の道を極めるのみ……」
みたいな人だと思っていた。
全然違う。
「近藤先生」
「はい?」
沖田は木刀を持ち上げた。
「一手、お願いします」
「……え?」
「稽古しましょう」
「いや」
「はい?」
「俺、今日はちょっと……」
「どうして?」
「え…」
「やりましょうよ」
「いや……怖いから」




