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君と繋がる七分間  作者: ひだりみぎ


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8/36

時間の境目

 翌日の日曜日。

 既読のつかなかった二つのメッセージについて考えるため俺と蓮は鳴瀬市役所に来ていた。

 数年前に移転した鳴瀬市役所には、カフェまで併設されている。


 俺と蓮は、そのカフェで向かい合って座っていた。


 

「まずは二通の共通点を探すか」

 蓮が切り出す。


「そうだな。スクショもあるし。」


 今朝も美月からメッセージは届いた。

 けれど、俺はまだ返信していない。


「まずは一通目。金曜の夜中……日付が変わった後のやつな。」

二人でスクショに目をやる。


「0時過ぎまで湊と美月ちゃんの思い出話を聞いて、寝る前に確認したら金曜の朝のやりとりが消えてた。その後に湊が送ったのがこのメッセージ。」


 4/18 0時42分

『明日も話せるかな?』


「朝になっても既読はつかなかった。なのに、7時には美月ちゃんからメッセージが届いた」


「そのあと普通にやりとりして……俺が7時9分に返信したら、今度は既読がつかなかった」


「この二つに共通点ってなんかあるか?」


「一個目は深夜だし、二個目は直前まで美月とやりとりしてた。共通点なんてあるのかな。」


「そうなんだよな。朝の方も普通にやりとりしてたのに急に既読つかなくなったんだよな。」


 蓮の言葉に、俺はスクショを見返した。

 そこで、ふと気付く。

 

「そういえば……」


 美月から最初に届いたのは朝7時だった。

 それから何度もメッセージを交わしたけど、返事が来たのは全部朝だ。

 昼も、夕方も、夜もない。


「……なあ、蓮」


「ん?」


「もしかしたら美月からの返事って、今まで朝しか来てないかもしれない。」


 

「……あ」

「なるほど……。サンプルが数日分だけだから、確実とは言えないけど……」

 

 

 蓮はこういう時の勘だけは鋭い。


「朝のメッセージで返事が来なくなった時間っていつ?」


「金曜の朝は俺が返事してないからわかんない。7時7分には美月からきてる。土曜のは……7時9分」

 蓮の問いにスクショを確認しながら答える。


「じゃあ少なくとも今は7時9分より後には返事が来ないんだな。既読がつかないから返事がこない。返事ができないから既読がつかない……」


 蓮の考察が進む。

 

「だから夜に送ったメッセージにも既読がついてない。返事ができない時間だったから。」


「美月が返信できる時間に限りがある……?」


「まだわかんないけどその可能性は高そうだな。メッセージが消えるのと同じで、返事が来る時間にも何か条件があるのかもしれない」


「じゃあ何分までなら返信が来るのか調べてみよう」


「明日は7時8分に返事してみる。そこから1分ずつ遅らせて、どこまで返事が来るか確認しよう」


「7時7分には美月ちゃんから返事が来てたんだろ?」


「うん。俺から7時7分に送っても返事が来るのかも確認したい」


「そのあとは逆に、美月ちゃんからメッセージが来る前に送ったら既読がつくかも確認しよう」




 明日の朝はまず1分おきに返信をしてどこまで返事が来るのかを確かめることにして俺たちは解散した。


 蓮と別れ、一人で家に向かって歩き出す。


 しばらく歩いたところで


「……みーくん?」


 後ろから聞き覚えのある声がした。

 俺をみーくんと呼ぶのは一人だけだ。

 足が止まる。

 振り返るとそこにいたのは——


「凛……?」


 白石凛がそこに立っていた。

 美月は腰まで届く長い髪だった。

 それに対して、凛は美月とは正反対の短い髪をしていた。

 美月がいなくなってから、凛ともほとんど話していなかった。


「みーくん、久しぶりだね」


「……久しぶり。その制服。そっか、凛も中学生になったのか」


「そうだよ。午前中部活だった。」


「そっか。頑張れよ。」


「うん。ありがとう。」

「そういえばもうすぐみーくんの誕生日だね」


「……覚えてたのか」


「そりゃ覚えてるよ。みーちゃんがいつも張り切ってたから。」

「あ、私もういくね!友達に置いてかれちゃう!」


「おう。またな。」


 

 凛の背中を見送り、俺は家へ向かって再び歩き出した。


「もうすぐみーくんの誕生日だね」

 さっきの凛の言葉を思い出す。

 

「誕生日……明後日か」

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