君がみていた景色
パンケーキ屋から駅までは歩いて数分。
駅の中、昔はCDショップがあった場所にコーヒーショップができていた。
「コーヒーとかあんまり飲まないからこういうところは縁がなかったなぁ。コーラの方が好きだ」
蓮が身も蓋もないことを言っている。
「俺も飲まないし、さっきも言ったけど美月も苦手だったからな」
店内を見て回る。
コロンビア、ブラジル、グアテマラ……
いろいろな産地のコーヒー豆が並んでいる。
「でも、なんかこうして見るとパッケージがお洒落だよな。コーヒーが好きな人にプレゼントしたりとかにはよさそう」
蓮はそう言いながらも、あまり興味はなさそうにコーヒー豆の袋を裏返している。
「確かおじさん……美月のお父さんはコーヒーが好きだったな。おじさんへのプレゼントを探しにきた可能性はあるか」
「おっ!美月ちゃんのお父さんは誕生日近かったのかな?それとも父の日か?いや、父の日には早いか流石に。4月だったもんな」
「おじさんの誕生日はたしか9月だったから違うか……」
「ここもハズレっぽいな。まだ時間はあるし他にも回ってみようぜ」
コーヒーショップを出た俺たちは駅前の商店街を歩きながら「おもしろいところ」を探した。
新しくできたラーメン屋、メガネ屋、昔からあるパン屋、思いつく場所や目につく場所を片っ端から考えてみたがどこもピンとこない。
「そもそもさ、「おもしろいところ」って店なのかな?美月ちゃんが言ってたのって別に店とは限らないだろ?」
「確かに……でもそうなると余計にわからないな」
「湊にはすぐには教えてくれなくて、『そのうちね』か……完全に教えないつもりじゃなさそうだったよな」
「うん。店以外か……どんなところがあるかな。美月が興味をひかれるようなところ……」
美月の好きなもの、楽しそうにしていた時のことを思い起こす。
読書、映画、甘いもの、家族……
「写真……」
「そうじゃん!写真!美月ちゃんいつもカメラ持ち歩いてたもんな」
そうだ。美月はいつもおじさんにもらったカメラをカバンに入れて持ち歩いていた。
俺や凛、クラスメイトたちとの思い出を後から振り返るために撮ることが多かったがそれ以外にもいろいろなものにカメラを向けていた。
中学校からの帰り道、夕焼けで染まった川を撮ったり、散歩をしている近所の犬を撮ったりもしていた。
「景色とか動物とかもよく撮ってた。急に立ち止まったと思ったらカメラ構えてることがあったかも」
「「おもしろいところ」ってのが美月ちゃんが見つけた景色のいい場所ってこともありえそうだな」
「放課後急いでたってこともあるし学校からの帰り道にある場所とかかな。蓮、申し訳ないけど明日も付き合ってもらえるか?」
「もちろん!じゃあ明日は学校に集合だな!」




