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君と繋がる七分間  作者: ひだりみぎ


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初めまして、のはず

 5月4日、朝は美月といつものようにメッセージを交わした。


 蓮との約束は午前10時。

 凛は今日も午前中は部活らしい。

 午後から誘うことも考えたが、毎日のように呼び出すのは気が引けた。

 今日は蓮と二人で動くことにした。


「湊、おはよう!」


「おはよう」


「今日はどうする?」


「特に決めてないんだよな」


「最近ずっと調べものしてただろ? 今日は二人で適当にあちこち歩いてみないか。気分転換にもなるだろうしさ」


 今のところ、これといった手がかりもない。

 たまには気分転換もいいかもしれない。


 俺は蓮の提案に乗ることにした。



「さて、それじゃあ適当に歩きますか!」


「なんか蓮と単純に休みに出かけるの久しぶりだな」


「中二の頃なんかはほぼ毎週遊んでたのにな」


「中三のときも、ファミレスにいって受験勉強したな。結局話してばっかで勉強にならなかったけど」


「あれは湊が悪い」


「いや、俺は勉強しようとしてたのに蓮がひたすら話しかけてきたんだろうが!」


 昔話をしながら歩いていると、小学生の頃、よく遊びにきていたデパートが見えてきた。

 おじさんとおばさんに連れられ、よく美月と遊びに来ていた場所だ。


「懐かしいな。ここ小学生の時によくきてたわ」


「蓮もきてたのか。俺も美月一家ときてたよ」


「マジか。もしかしたらすれ違ったりしてたかもな」


「あの頃に比べるとだいぶ静かになっちゃったな。久しぶりに寄ってみるか」


 中に入ると、記憶の中のデパートとはかなり様子が変わっていた。

 賑わっていたテナントの数も減り、客足も少ない。

 照明まで、昔より暗くなったように感じた。


「やっぱりショッピングモールができてから向こうにお客さん取られちゃったのかな?」


「そうかもな。ちょっと遠いけど俺も向こうができてからはあっちに行ってたもんなぁ。美月と映画を見たのもモールの方だ」


「映画館あるのはやっぱり強いよなぁ。そういえば上の階にゲーセンあったよな?行ってみようぜ!」


 エレベーターで三階に上がると、ゲームセンター自体はまだあった。


「あれ?こんなもんだったっけ?UFOキャッチャーくらいしかないか」


「なんかもっといろいろあった気もするけどな。せっかく来たんだしUFOキャッチャーやろうぜ!」


 しばらくすると、屋上に続く階段から小学生くらいの男の子が何人か降りてきた。

 

「そういえば、屋上でヒーローショーとかやってたよな。まだやってるのかな?」


 蓮がそう言ったとき、背後から声がした。

 

「片倉?こんなとこでなにしてんだ?」


 振り返ると、学校で何度か見かけた男子が立っていた。

 名前は知らない。蓮の知り合いだろうか。


「稲葉じゃん!そっちこそ何してるんだよ?一人?」


「まあ、ちょっとな。お前は……一人じゃないか。……大崎……」

 向こうはこちらの名前を知っていた。

 どこかで話したことがあっただろうか。


 

「おう!今日は湊とぶらぶらしてたんだよ。久しぶりにここを通りかかったから寄ってみた。湊と稲葉は知り合いだったのか?」


「いや。話したこともねーよ」


「なんだ、そうだったのか。湊!こいつは稲葉!俺と同じクラス。見た目はちょっとイカついけどいいやつだから」

 蓮が稲葉くんを紹介してくれた。


「大崎湊です。蓮とは中学からの同級生。稲葉くん、よろしく」


「……おう。よろしく」


 なんだか少しだけ距離を感じる。

 学校で見かけたことはあるといっても直接話すのは初めてだしこんなものだろうか。


「稲葉はここよく来るのか?」


「たまにな」


「久しぶりにきたけどなんだかさみしくなっちゃったな。昔はもっと活気があった気がする」


「仕方ねーよ。それでも俺はなんだかんだここが好きだな」


「へえ、そうなんだ」

 蓮が感心したように頷く。


「まあ、俺たちはそろそろ行くわ。また学校でな」


「おう。またな」

 

 結局、稲葉くんとは大して話すこともなく別れた。

 あまり目を合わせてもくれなかった気がする。

 気のせいだろうか。

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