俺の知らない君
4月28日、火曜日
もうすっかり日常になった美月からのメッセージ
『おはよう、湊』
『おはよう。そういえばこの間凛から聞いたよ。プリン勝手に食べたんだって?』
『ええー!?確かに食べたけど、そんな昔の話今さらしたの?(笑)』
『そんな昔だったのか。いつの話かまでは聞いてなかったわ』
『中一の時だったかな?美味しそうだったから!』
『美味しそうだったら勝手に食うのかよ……』
『仕方ない!名前も書いてなかったし!』
悪びれる様子もない返事に、思わず笑ってしまった。
変わらないな。
俺と凛の前では、割と自分勝手で、少し意地悪で。
それでも、なぜか憎めなかった。
今、こうしてメッセージを交わしている美月は、昔と何も変わらないように思えた。
俺は、美月が変わってしまったんじゃないかと思っていた。
だから、あの日……俺から突き放したんじゃないのか?
でも、それが俺の勘違いだったとしたら?
美月が変わったんじゃない。
俺が勝手に、そう思い込んでいただけだったんじゃないのか?
あの頃の美月を思い出す。
放課後、急いで帰っていた。
俺とあまり顔を合わせなくなった。
……聞いてみるしかないよな。
『最近放課後なにしてるの?』
少し間が空いて、返事が来た。
『んー?内緒!』
『そっか』
やっぱり簡単には教えてくれないか。
あの時は聞くことすらできなかった。
『まあ、何にしろどっか出かける時は気をつけろよ?』
『うん!わかった!ありがとう!』
ほかにも聞きたいことはあった。
でも、何から聞けばいいのか、うまく言葉にできなかった。
気づけば、時間がきていた。
7時8分。
俺が美月の変化だと感じていたのは、ほんのわずかなことだった。
放課後、急いで帰るようになったこと。
以前よりも、俺と顔を合わせる時間が減ったこと。
今思えば、俺が知っていたのはそれだけだった。
どうしてそうなったのか。
美月が何を考えていたのか。
あの頃の俺は、聞こうともしなかった。
今になって聞いてみても、七分間でわかることには限りがある。
凛に聞いてみてもわからなかった。
他に、あの頃の美月を知っている人はいないだろうか。
少し考えて、俺は一つの案を思いついた。
「蓮に手伝ってもらおう」
俺の記憶だけでは届かない、美月の知らない一面を知るために。




