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君と繋がる七分間  作者: ひだりみぎ


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昔みたいに

 今朝のメッセージにも返信した。

 交わしたのは、いつもと変わらない日常の会話だった。


 けれど、記憶の中の美月は、前日に俺とケンカをしている。

 それなのに、4月14日の美月は何事もなかったかのように話しかけてきた。


 どうして、あんなふうに振る舞えたんだろう。


 

 昔も、似たようなことがあった。

 小学生の頃だったか、雪合戦をして遊んでいたときのことだ。

 美月が投げた雪玉が、俺の顔面にクリーンヒットした。

 美月が悪びれず笑っていたことに少し腹を立てた俺は、その日はそれ以降美月とは口をきかずに帰宅した。


 翌日、美月はいつもと同じように話しかけてきた。

 まるで、俺が怒って帰ったことなんて覚えていないみたいに。

 最初は無視してやろうと思った。

 でも、いつもと変わらない美月を前にすると、前日のことがどうでもよくなってしまった。


 あのときは、いつの間にか元どおりになっていた。

 仲直りしようなんて、わざわざ言葉にすることもなかった。


 去年の美月も同じように思っていたのかな。

 いつも通りに接すれば、また元に戻れるって。


 


 美月がどう思っていたのか。

 そんなことを考えながら、スクリーンショットに残した美月とのやりとりを振り返る。


「あれ?」

 スクリーンショットを遡る手が止まった。

 美月が謝ってきたときのやり取りが残っていた。

 


『昨日もメッセージしたよな?』


『ほぼ毎日してるじゃん(笑)』

『昨日はあんな感じになっちゃったけど……私が悪かった。本当にごめん。』



 スクリーンショットに残っているのは、このやり取りまでだった。

 でも、それより前にも、美月が謝ってきたことがあったはずだ。

 いつだったか。

 そこまで昔のことじゃない。思い出せるはずだ。


 思い出した。あの時だ。

 蓮に初めてメッセージのことを相談して、イタズラの犯人を見つけようとしたとき。


『昨日のこと、覚えてる?』

 俺はそう聞いたはずだ。

 その直後、美月は謝ってきた。



「昨日」

 どちらも、俺から昨日のことを聞いている。

 美月にとっての昨日は、いつだって4月13日だ。

 だから、俺が昨日のことを尋ねたとき、美月は前日の言い合いを思い出したんじゃないか。

 俺がまだ怒っていると思って、謝ってきたのか?


 じゃあ、最初のメッセージが『おはよう、湊』なのは?

 俺がまだ気にしてるのか探ってる?


 ……美月ならありえる。




 俺は、少しずつ美月と離れていくのが怖かった。

 だから、いっそ自分から突き放すようなことを言ってしまった。


 じゃあ、美月はどうだったんだろう。


 俺にあんなことを言われても、いつも通りに接していれば、また元に戻れると思っていたのかもしれない。


昔みたいに。

 

 

 

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