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君と繋がる七分間  作者: ひだりみぎ


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寄り道ばかりの君

 家に着いてから凛との会話を思い返す。

 結局、事故の日のことはわからなかった。


 凛と話せたことはよかった。

 ちょっと距離は感じたけど、久しぶりだったもんな。

 昔はよく三人で遊んでたのにな。


 凛が話してくれたプリンの話を思い出し、思わず笑みがこぼれた。


 美月は、俺と凛の前ではわがままで、遠慮がなかった。

 

「そういえば、あの時もそんなだったな」


 あれは、中学生の頃のことだった。


 ーーーー

 

「湊、今日暇?」


「予定はない」


「本当?じゃあ10時に駅に集合ね!」


「は?どっかいくの?」


「うん!じゃあ、私支度するから!後でね!」


 あの日は美月からの電話で目が覚めた。


 俺が行くとも言っていないのに、もう出かけることになっている。

 昔から、こういうところは変わらない。



 俺も俺で、言われるまま出かける準備をし、時間通りに駅に向かう。


「で、今日はどこに行くんだ?」


「ショッピングモール行こ!買い物付き合って!」


「いいけど、そういうのは最初に言ってくれよ」


 バスに乗り、ショッピングモールへ向かう。

 朝早く起こされたせいか、バスに揺られているうちに眠くなってきた。



 モールに着いてからも美月のペースだった。


「まずは腹ごしらえ!お昼食べよー!」

 些細な抵抗として店は俺が決めた。


 昼食を取りながら今後の予定を確認する。


「で、今日のお目当てなんですか?お姫様」


「本屋さん。何かいい本ないかなって」



 店を出てからはまっすぐ本屋に向かう……わけもなく。

 あのマグカップがかわいい、と雑貨屋に吸い寄せられる。


「ねえ湊、どっちがいいかな?」


「右でいいんじゃない?」


「もう、ちゃんと見てよ!」


「うーん、やっぱり右だな」


「じゃあ右のは湊の分ね!私のはこっち!」


「俺のも買うのかよ」



 二人分のマグカップを買い、俺たちは雑貨屋を出た。

 本屋に向かって歩いていると、映画館の前で美月が足を止め、映画のポスターを見つめている。


 

「湊さん、湊さん、映画を見たくありませんか?」

 美月が振り返る。


「……その呼び方、やめろ」


「えー、なんで?」


「何か頼みがある時だけそう呼ぶだろ?」


「そんなことないよ?」


 美月がポスターを指差す。


「ね、見よ!ポップコーンは私持ち!」


「……それならよし」




 映画はいかにも女子中学生が好きそうな恋愛モノ。

 美月もこういうのが好きなんだな。


「あー、面白かった!」

 背を伸ばす美月は満足そうだ。


「意外と面白かった。さて、そろそろ帰りますか」


「ええー!本屋さんまだ行ってないよ!」


「覚えてたか。寄り道ばっかしてるからバスまであんまり時間ないぞ」


「買いたい本決まったから大丈夫!行こ!」



 やっと辿り着いた本屋。

 美月は一目散に映像化コーナーへ。


「それ、さっきの映画の原作か?」


「そう!とっても面白かったから!原作にしかないお話もありそうだし」


「そういうもんなのか?本とか読んだことないからわかんないや」


「湊も読んでみるといいよ!」



 ーーーー


 あの時、美月に勧められた本は、結局まだ読んでいない。

 あれ以外に美月がどんな本を読んでいたのかも知らない。

 美月のことは、なんでも知っているつもりだった。


 でも、知らないことだってまだあったんだな。

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