気づいてしまった
疑問が頭から離れない。
俺の誕生日を忘れたわけじゃない。
でも、来週?
俺はスマホのトーク画面を見つめた。
指を下へ滑らせる。
今朝のやりとりのさらに前。
『もう知らない』
日付は2019年4月13日。
俺と美月がケンカをした日。
そして、美月が亡くなる前日。
何かが繋がった気がした。
もし、俺の考えが正しかったら……
その先を考えるのが怖かった。
それでも、知らないままではいられない。
知らなければいけない気がした。
『今日って何日だっけ?』
すぐに既読がついた。
返事を待つ数秒が、ひどく長く感じる。
スマホを握る手に、じわりと汗が滲んだ。
『今日?4月14日だよ。湊の誕生日のちょうど一週間前!』
4月14日。
その日付を見た瞬間、血の気が引いた。
まさか……
いや、そんなはずは……
考えるより先に、脳裏に一つの光景がよぎった。
泣き崩れる凛の姿。
呆然と立ち尽くし、そんな凛に声をかけることもできない俺。
あの日、俺たちは美月を失った。
スマホの画面に目を落とす。
美月はいつもと変わらない様子でメッセージを送ってきている。
まるで、なにも知らないみたいに。
その時、画面の時刻表示が目に入る。
7時6分
まずい、時間がないっ!
考えている暇はなかった。
慌てて文字を打ち込む。
『美月、お前は今日、事故に遭うんだ』
送信ボタンを押す。
7時7分
間に合った。
あとは、美月がこれを読んでくれれば……
いつものようにすぐに既読がつくと思った。
けれど、画面には何も変化がない。
まだ7時8分じゃない。
いつもならまだ話せるはずなのに。
どうして、既読がつかないんだ。
7時8分まであと少し。
美月からの返事は、まだなかった。




