今年は
授業が終わっても、さっき思い出した美月のことが頭から離れなかった。
「林間学校の時の写真、まだあるよな……」
帰り道、ふと昔の写真を見たくなった。
家に着くと、自分の部屋にあるアルバムを引っ張り出した。
美月は現像する時に必ず俺の分も用意してくれていた。
美月が撮った写真でできたアルバム。
「あった」
一番最初にあったのが、林間学校の日の写真だった。
俺、美月、凛が三人で並んでいる。
ぎこちない笑顔の俺。
「これはみんなに笑えって言われるわな」
最初は写真を撮られるのが苦手だった。
親がカメラを向けても顔を背けていた。
だから俺の写真は美月が撮るようになる前のものは少ない。
美月が写真を撮るようになってからは、いつも一緒にいた俺もよく撮られるようになった。
嫌がる俺を、美月は構わず撮り続けた。
「あ、この写真」
この時もそうだった——
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「湊、笑って笑って!」
「無理」
「じゃあ、そのままでいいや」
カシャッ
「今の絶対変な顔だっただろ?」
「うん!最高に変な顔!」
「やめろよ」
「でもいい写真だよ。私は好き」
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アルバムをめくる。
小学校に入ったばかりの凛を連れて登校する時の写真。
帰り道の俺の後ろ姿。
運動会。
遠足。
どれも、美月が撮ったものだった。
そして、その中に俺の12歳の誕生日に撮った写真があった。
12本のろうそくが刺さったケーキを手に、恥ずかしそうに写る俺。
「この時も美月に笑えって言われたな」
カメラ越しの楽しそうな美月を思い出す。
「毎年何かしらプレゼントもくれて……この時はキーホルダーだったな」
今も、家の鍵につけている。
「去年はあんなことがあった直後だから誕生日どころじゃなかったな」
「今年は……母さんとケーキを食べたくらいか」
中学三年の誕生日までは、美月も一緒だった。
毎年、両親と美月と四人で誕生日パーティをしていた。
「……そういえば」
今朝のメッセージで美月はなにも言わなかった。
「なんか、いづいな」
アルバムを片付けながらも、その違和感は消えなかった。




