気付けば、隣に
「なあ、湊。美月ちゃんって昔はどんな子だったんだ?」
急に蓮が尋ねてきた。
「俺って美月ちゃんとは中学からの付き合いだからさ。湊と美月ちゃんは昔から一緒なんだろ?小さい頃のこととか聞かせてくれよ」
「うん。……小さい時のことか」
「なんか、美月とは気付いたら一緒にいたな」
「俺と美月って私立の幼稚園なんだよ。市内なんだけど、ここら辺からはちょっと離れたところの」
そう言って、俺は昔のことを思い出した。
「幼稚園の送迎バスが出ててさ、俺と美月は乗る場所が一緒だった。家が近いからね」
「元々幼稚園に行くのがなんか嫌でさ、いつもぐずって母さんを困らせてたんだ」
「ある日、嫌で嫌で仕方なくてバスの前で泣いて動かなくなったんだ」
「そしたら、美月が俺のとこにきてさ」
「みなと、だいじょぶだよ。みづきもいっしょにいくから」
美月はそう言って、泣いてる俺の手を握った。
「それで、俺の手を引っ張ってバスに乗せてくれたんだ」
「へえ……美月ちゃん昔からそんな感じだったんだな。なんか想像つくわ」
「他にはなんかないのか?湊の残念エピソード」
「そんなエピソード話してねーよ!」
「あとは……そうだな。うちの幼稚園ってちょっと変わっててさ、乾布摩擦したりとかマラソンしたりとか小さいうちから身体を鍛えて健康に、みたいな方針でさ」
「乾布摩擦!?幼稚園で?」
「そう。珍しいだろ?」
「乾布摩擦も嫌だったけどマラソンが本当に嫌だった」
「毎朝走るんだけどさ、俺すぐ疲れて歩いちゃうんだよ」
「そしたら美月がさ、いつも俺に合わせて一緒に歩いてくれるんだ」
「先に行っていいのにって言っても、絶対に置いていかなかったんだ」
「……美月ちゃんは昔から湊のことを放っておけなかったんだな」
「……そうかもな」
俺にとっては、それが当たり前だった。
泣いていたら美月が来てくれる。
遅れていたら美月が待っていてくれる。
ずっと、そうだった。
これからもそうだと思ってた。
「でもさ、幼稚園の頃はずっと一緒だったけど、小学校に入ってからもそんな感じだったのか?」
その言葉と同時に、昼休み終了のチャイムが鳴った。




