第12章 作戦決行
——緊張する……。
ライオンさんの言葉を信じて、この方法が思いついたけど、はっきり言って今もこの方法がうまくいくかはわからない。
下手すれば自分の命に関わるかもしれないけど、このまま宝物庫にいてもそれは同じことだと思う。
——それなら、やるしかない。
ライオンさんの檻がおいてある部屋を出ると一目散に宝石を目指した。すると、予想はしていたが、この部屋の宝物たちが一斉に追いかけてきた。
「おいっ!新入りだ!壊せ壊せ!」
ガシャガシャと音がしてたくさんの物や生き物たちが追いかけてくるのがわかる。が、これは想定内だった。
目の前に動く家具たちが迫ってくるのが見えた。私を押しつぶそうとしているのだろう。だがそうはいかない!
——きっとヴェルミラさん怒るだろうな。私だったら、絶対許さない。
私はためらうことなく散乱している動かない大きな壺のような宝飾品を手に取ると思いっきり家具たちに向かってぶん投げた!
壺は家具にぶつかって派手に音を立てて割れた。家具達が驚いて立ち止まる。
——やっぱり!
手近にあった繊細な装飾のされた壺や宝石箱など、とにかく手当たり次第掴んで投げつける。
投げつけられた物はみんな悲惨に音を立てて壊れていく。
——ごめんなさい!
この宝物庫の宝物たちは愛されることを望んでいて、自分が傷ついたり壊されたりすることは絶対に嫌なはず。それなら、わざとこちらから壊して壊して壊して壊して!そうやって向かってくる宝物たちをどかすしかない!
喋れる物は悲鳴をあげ、壊されないように逃げ始めた。可哀想に。宝物たちも手当たり次第に壊そうとしてくる奴だとは思わなかったのだろう。辺り一面惨状になる頃には、宝物庫の宝物たちは私を追いかけようとはしなくなっていた。
周りに乱雑に置かれている宝物を壊しながら、宝石の場所までたどり着くと、宝石を守る使命に燃える甲冑のところにたどり着くと甲冑は呆然と立ち尽くしていた。
「貴様、なんてことを……」
近くにあった見事な装飾の椅子を掴んで脅す。
「そこをどいて。どかないなら、あなたも壊すわよ」
両手で椅子の背もたれも掴んで振り上げると、甲冑は腰に差していた剣をするりと抜いた。
――あともう少しなのに……。
椅子を思いっきり甲冑の戦士にぶつけると同時に宝石に走り出した。
投げつけた椅子は甲冑の戦士によって真っ2つに切れた。
宝石の飾られた頂上の上空にはハーピーのような鳥たちがぎゃあぎゃあと泣き喚いて爪を向けて襲い掛かってきたが、腕を振り回し運良く彼らの足を掴もうものなら、やかましい鳥たちをそのまま放り投げた。もうなり振り構っていられない!後ろからは剣を構えた甲冑の戦士が追いかけてきているのだ。
宝石の入った透明のガラスケースに飛びつくと、そのまま斜面を転がり落ちた。
ごろごろ転がり落ちて山の真下までたどり着くと、そのままガラスケースを抱えてライオンさんのところまで走る。
今ここはどこだろう?転がり落ちて目が回りふらふらする頭を抱えてよろよろと走っているとこっちだ!というライオンさんの声が聞こえた。
声のするほうに走って行くが、さっきの大暴れが効いたのか追いかけてきていた宝物たちの姿が全く見あたらない。上空で泣き喚いていた鳥たちすらいない。
――ありがたいけど、おかしい。
もしかして、また新しい何かが現れたの?頼むからこれ以上怪物は出てこないで!……すると、またライオンさんの叫ぶような声が聞こえた。
「急げ!魔女が向かってきている!」
最悪の展開が迫っていた。




