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八意書房と異世界読者  作者: ディスマン


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11/20

とある科学のKnowledge

そろそろYouTubeに動画アップしないとやばい。

教会を後にした一行は、再び街中をどこに行く当てもなく観光していた。その時、阿賀野が何かに気がついて立ち止まり、背中に彩綾の顔が当たる。

「むぐっ・・・どうしたんですか瑞樹さん」

「なあ、俺ら帰る時さぁ」

「はい」

「またあのダンジョンまで戻るんだよね?」

「え?・・・・・・あ」

「メンドクサくねえか?」


確かに、この世界しいてはこの国の行き来は必ずダンジョンの隠し扉を潜らなくてはならない。世界の行き来自体は問題ないが、ダンジョンとハーラル王国間をいちいち往復するのは、面倒なことこの上なかった。今後の移動コストを抑えるためにも、八意書房の拡大のためにも街中まで移動させたいと阿賀野は考えていた。


「そう言っても、無闇に扉を取り外して帰れなくなったら嫌だし・・・・・・そうだ」

「あ?何か案でも?」

「高度な魔導具についてなら、魔法学園の教授に聞きに行ってみようよ」

「専門家に取扱いを聞く、と」

「そうそう。私たちで勝手に動かすよりマシでしょ?」

 魔法の専門家がいる学園なら、あの扉を移動させること自体は可能だろう。だが、ギルドの人間であること以外なんの実績もない阿賀野たちが行けば、怪しまれるのが関の山かもしれない。

「よし行こう」

だが、阿賀野はこれを即決した。

「いや私たちみたいな一般人が行っても話なんて聞いてくれないと思いますよ?」

「対価がありゃその限りじゃねえだろ」

「対価?」

普通の人間ならダメだっただろうが、幸いこの異世界に来たのは阿賀野瑞樹。脳に無数の知識が詰まっている、魔法学園の教師と同じ研究者だ。

阿賀野に魔法の知識はないが、それ以外の知識なら無限にある。阿賀野たちはそれを払ってもらおうという魂胆だ。

「物は試しだ。ここの研究者のレベルがどれくらいか見てやるよ」

「何で挑発的?」





-マーリン魔法学園-


 マーリン魔法学園は、阿賀野が思っていたよりずっと現代的だった。しっかり(へい)と鉄柵で囲われ、古風な建築様式ながらも新しさがある。高さは、窓の数から見て4階くらいだろう。

 どうやら大学と一緒で、敷地内への出入り自体は誰でもできるようだ。守衛みたいな奴がいたり、プライドだけ高い坊ちゃんどもが喧嘩売ってきたりすると思っていたが・・・。

 今回は単に魔導具の扱いについて聞くだけだから、面倒ごとはないに越したことはないだろう。




-教務室-

「ダメだ」

 前言撤回。めんどくせぇコイツ。魔法の研究者はもっと柔軟な脳をお持ちだと思ったが、期待外れだったようだ。


「あ?」

「そんな個人的事情に構ってる暇はない。他を当たれ」

「研究者のくせに?」

「魔法という崇高(すうこう)な術理の研究に勝るものはないだろう?」

何こいつ、めっちゃムカつく。

「瑞樹さん、出直しましょう?ここで争ったらそれこそマズイですよ」

「そうね。他を当たった方が良いわ」


 どうやら魔法至上主義者を引き当ててしまったようだ。貧乏くじもいいところだが、地球でも歴史上そんな人間がいなかったわけじゃない。偉大な魂(マハトマ)を追い求めたエレナ・ブラヴァツキー、晩年にオカルト的研究に没頭したニコラ・テスラ、心霊主義に傾倒したコナン・ドイル・・・。

 彼らはその神秘やオカルトに心血を注いでいたが、差別的な至上主義者ではなかった。そう思うと、目の前の男があまりにも小さく思えた。

「・・・フッ」

「何笑っている?」

「あ〜いや、崇高なぁと思ってね。・・・で、何がどう崇高なの?」

 阿賀野からの問いに、教師は自信ありげに言い放った。

「魔法はあらゆる現象を可能にするのは知っているだろう?電撃を敵に浴びせたり、何もないところから氷も水も火も生み出す。人間の力では成し得ないことを行う術なのだよ」

 すごい鼻高々に言うが、それだと人が魔法使ってる時点で定義が瓦解してるのに気づいているのか。それを指摘したら血管が切れて死ぬかもしれないから黙っておこう。

 それはともかく、魔法がない世界で生きてきた人間を舐めるなよ?


「へぇへぇそうっすか。あ、魔法で火とか出せる?」

「ああ。私の適性魔法だが?」

「じゃあよ、火は何でできてる?」

「・・・・・・・・・へ?」

 阿賀野の問いに他の聞き耳を立てていた教師すらも固まった。考えたことがなかったからだ。火や水は精霊や神が生み出すものだとされているのがこの世界。故に、それで完結してしまっているのだ。

 神だ精霊だで片付けられているから、その根源に対する知識も研究もされていない。魔法には詳しいのだろうが、この世界は科学に対してあまりにも弱かった。


「へ?じゃねえよ。火は何でできてるかって聞いてんだよ」

「そ、それは火の精霊が魔力を」

「ふぅ〜ん?じゃあ火は魔法使えりゃどこでも出せると?」

「当たり前だろう!」

 教師の答えを聞いた阿賀野は、適当なガラスのコップを持ってきて目の前の机に逆さで置いた。

「はいじゃあこの中で火付けてみろ」

「ただのガラスコップじゃないか。こんなので何を・・・」

「ええから早よやれや。お前研究者なんだろ?実験しろよ」

 教師に魔法を促して、コップ越しに火を出させた。すると、最初は普通に燃えていたが急に火の勢いが落ちて、最後には消えてしまった。


「は!?」


 教師たちは驚愕した。全然魔力に余裕はあるし、消費量も大したことない。なのに、コップの中で強制的に火が消されたように見えた。何度火を出そうとしても、発動のための魔力が揺らぐだけで実際に火が出ることはなかった。

 阿賀野は、そんな彼らを見ながらニヤニヤしている。


「君、どういうことだこれは!?」

「何?知りたいの?・・・・・・やだね!」

「何だと!?」

「魔法至上主義なんだろ?なら魔法で解決しろよ。自分で解明しろよ。それでもプライド捨てて教えて欲しいってんなら、ダンジョンにある魔導具について調査しろ」

「うぐっ・・・!」

「ミズキ、性格の悪さが出て目的変わってない?」


 アンネのツッコミを無視して、阿賀野は再び交渉を始めた。しかしさっきと違うのは、主導権が阿賀野側にあること。教師陣は葛藤した。プライドを捨てて、この理解できない現象の仕組みを教えてもらうか。それとも、魔法教師のプライドを取って自力で解明するか。葛藤する幾人かの教師に向かって、阿賀野は最終通告した。

「一応言っておくがお前ら、いやこの国の誰も今の現象の正体を解くことはできねえぞ。断言する。」

 トドメのように唯一の退路を絶たれた教師たちは、拳を握り締め悔しがるしかなかった。そんな最中、教務室の扉を開けて一人の小さな女の子が入ってきた。



「全く・・・。プライドで解き明かせたら苦労せんと言ったろうに」

 その子は150cmにも満たない小柄な身長で、バイオレット色のツインテールを揺らしている。羽織っているローブに至っては袖が余ってプラプラしていた。マジの萌え袖とやらを初めて見た阿賀野は、教師や現象そっちのけで感激していた。

「おい、マジの萌え袖だぜ!地球じゃ滅多にいないぞ!」

「可愛いですね〜!」

「そこに感動してる場合?」

阿賀野たちのやり取りの横で、教師の一人がこの小さい子供の正体を明かした。


「が、学園長・・・!」

「え!?このちんまいのが?」

「ちんまいは余計じゃろ!」


 心外だと言わんばかりにぴょんぴょん跳ねて怒りを表現するちびっ子、もとい学園長。何やってもロリババにしか見えない。見た目で得してるのか損してるのか、よく分からない奴だ。


「やあ、不思議な現象を起こした君。ワシはここの学園長をしとるサラ・ウィッチクラフトじゃ。宜しゅうの。その取引、ワシが呑もう。だから教えてはくれないかの?」

「学園長!こんなどこの馬の骨とも分からない奴の条件を呑むなど!」

「人間に馬の骨って言うの自分でもどうかと思わね?」

「うるさいわ!」

「お前が煩い!ワシが呑むと言っているのだ。異論は認めんぞ。そもそも呑まなかったところでお主らには解けんじゃろ」

「・・・・・・」

 サラの圧と正論に教師は黙るしかなかった。ただの小っちゃい女児だと思ってると痛い目見そうだな。この見た目で学園長やってるってことは、少なくとも王国ではかなりの実力者だろう。話を終えたサラが阿賀野を見上げた。


「取引成立でいいかの?」

「おう、お買い上げどうも。でもそうさなぁ、ここで教えんのも味気ないからよ。ちょっと借りたいものがあるんだが・・・」

「何じゃ?よい、貸してやるから言ってみよ」



「教室と一コマ俺にくんねえか?」

この話ともう片方が区切りついたら、動画編集に集中したいな(願望)


させてくれください

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