30/40
第四話「エッフェル塔の人柱 前編」2
「人員拡充は嘆願しておるがの。なにぶん、こんな組織じゃ。そうそういい人材なんぞおらん」
「やれやれ……」
玉兎は暖炉の装飾・マントルピースの上の資料を手に取る。
そこには建設途中のエッフェル塔の写真が添えられていた。
「エッフェル塔……か」
「いつの世も、人間は高い塔を作りたがるもんじゃの」
「あんたが言うと、説得力が違うな」
「茶化すな。大変じゃったんじゃぞ」
毛玉が怒るが、全く威厳は無い。
「……とにかく、エッフェル塔に話を戻すぞ。まず、はっきり言ってアレの目的がようわからん」
「万博の目玉だろう?」
「だとしてもじゃ。その後の使い道もないわりに、反対を押し切ってこれほど急いで建設しておる」
「裏の目的があると?」
「どうにも魔術的意味合いがありそうなのじゃよ。実際、あの塔を中心に呪いの力が大幅に増大している」
「呪いでもまき散らすつもりか? となると、ある種の大砲か」
「あくまで推測じゃがな。……いずれにせよフランスが呪術で標的にするならまず英国じゃ。上も心配なんじゃろうよ」
「……しかし雲を掴むような話だな……」
「塔は雲を衝くもんじゃからな」
言って、一人で笑う毛玉。
「……とにかく行ってみよう。……ヴェロニカを頼むぞ」
玉兎は資料を手に、本部を辞した。




