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第三話「倫敦の吸血鬼 後編」4
「……まったく、ニブいんだか鋭いんだか」
女主人――クローデットが呟くように言う。
「トッドに辿り着くとこまでは計算してたけどねえ……私の正体まで見破ったのは計算外だよ」
隠す気も、もともと無かったのだろう。
ケタケタと笑うと背中からコウモリの如き大きな羽根を広げた。
「で、どこで気付いたの?」
「違和感自体はあった。失血死事件の話を聞いた時、他の人間は『まず切り裂きジャックを疑って』いた。当然だ。ついこの間まで事件が続き、公には解決していないのだから。……だがあんたは『事実だけ』しか言わなかった。それは嘘を見抜かれたくないあまりに、敢えて喋ってもよい事実だけを選んで話したからだろう」
「ふぅん」
「……だがそれも、後から考えてみればという話だ。……明確に吸血鬼として現れなければ、気づきさえしなかったはずだ。『なぜヴェロニカを襲った』!」
常人なら気絶しそうなほどの怒気を孕んだ声がクローデットに浴びせられる。
だが、彼女は満足そうな笑みを浮かべていた。
「何がおかしい!」
「『それが目的』だからだよ! あははははははは! あんたのその顔! それが見たかった!」
狂ったように笑うクローデット。




