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第一話「道士と殺人鬼」10

「何なの!? こいつが切り裂きジャックなの!?」

「そうだ。だがそれは本質ではない。こいつは千数百年の呪いが、『あるもの』を核として形を持った存在――そうだろう! 『呪いの聖剣エクスカリバー』!」

 玉兎の一喝に、黒い影がわなないた。

 同時に、その手に持つ大剣の鍔に埋め込まれた宝玉が、ヘビのような瞳に変わる。

「い、生きてる……!?」

 ヴェロニカが驚くのも無理はない。黒い影は、剣より生まれた幻。

 そしてその剣こそが、この呪いの本体であり、娼婦たちを惨殺する殺人鬼なのだ。

 正体が露見した事で、存在が『観測』され、影は黒い鎧騎士へと姿を変えた。

 エクスカリバーは、防がれた事などおかまいなしに宙空の壁に本体を叩きつけ続ける。

 火花が散り、波紋は激しい波となった。

「ち……符が水に濡れたせいで出力が……」

 玉兎をして、その表情が翳る。

 エクスカリバーの切っ先が、ついには障壁を引き裂き、玉兎の胸を貫いた。

「ぐおおっ!」

 刀身から溢れだす呪いの炎が、玉兎の体を構成する符を焼き始める。

「く……おのれ……頸木(くびき)さえ外せれば……!」

 反撃を試みようとする玉兎だが、焼け付く痛みに、指先に挟んだ符を放てない。

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