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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
九章

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85話 回想:終結

「なんか、凄い手間がかかってません?」

「言うな」

 確認の為にかけた手間についての会話はそれだけで終わった。

 下の階へと続いていく道は同じ階に複数あった。

 そのどれもが別の空間へとつながってるらしい。

 同じ階であっても、違う入り口から来たなら他の所への接点は無いようだった。

 その可能性に気づいたノボルは、一度確かめてみようと言い出した。

 面倒だとは思ったが、確かめずにいるわけにもいかない。

 やむなく賛同したカズヤは、一度地下二階を巡ってから地下一階に戻り、あらためて別の地下二階へと向かっていった。

 その結果、やはり先ほどの地下二階につながってるわけではない事を確かめる事が出来た。

 時間と体力を使ったにしては、さして得るもののない作業だったように思える。 

「歩いて探すにゃきついですよ」

「バイクでも持ってくるか?」

「免許無いですって」

「とれよ」

「余裕があったら」

「じゃあ、それまでは自転車でがんばれ」

「はいはい……」 

 ヨドミによってはそういった車両を持ち込むんでも意味がない所が多い。

 けど、次からは考えてみようかと本気で思った。



 それでも化け物の出て来る所を目指して進んでいく。

 二つ三つと下に降りる通路があっても、それを目印にしていく。

 ただの経験則と言えばそれまでだが、確実な結果をもとにしたものだから無意味という事は無い。

 三階におり、四階に到達する。

 さすがに化け物の数も多くなり、簡単に進む事が出来ない。

 全部を相手にしてるわけにおmいかないので、突っ切っていき下の階に行く下り坂へと向かっていく。

 そこに入る前に塩をまいて化け物が踏み込めないようにしながら。

 だんだんと荷物が少なくなっていく。



 地下五階にあたる場所に到達する。

 敵の姿はない。

 広々とした空間が拡がってるだけだった。

「ここなのかな……」

「かもですね……」

 ユガミのいる場所なのかもしれない。

 意味が無いかもしれないと思いながら指示機を出す。

 広い空間を無闇に歩き回りたくはなかった。

 運良く居場所を示してくれればと思っての事だった。

 残念ながら、針はあちこちを指している。

「駄目ですね」

「しょうがねえな」

 そう行ってノボルは周りを見渡す。

「探すしかないか」

 この階も他と同じくらいの広さがあるかもしれない。

 だとしたら手間は結構かかる。

 それでも探すしかない。

「塩だけまいてて」

「はい」

 言われて降りてきた坂の方に塩をまく。

 化け物が押し寄せてきた時のために。



「出来るか?」

「やってみます」

 返事もそこそこに気力を集中していく。

 この階の入り口からそれなりに歩いた所で立ち止まった二人は、気力を使っていく事となった。

「おぼえたて何ですけどね」

「丁度良い練習って事にしておけ」

 ノボルの軽口に「それもそうだな」と思いながら気力を張り巡らしていく。

 攻撃や防御、治療など気力を用いる手段は様々な。

 その中でノボルは、攻撃に用いる付与などとあわせ、周囲の様子を探る手段を身につけていた。

 化け物を退散させる事は出来ないが、無駄や手間を減らす事は出来る。

 それが結果として化け物退治やヨドミ破壊を手早く終わらせる事につながると思ったからだ。

 使う機会がなかなか無かったので、どれほどの効果があるのかは分からなかった。

 ぶっつけ本番になってしまったが、それは仕方ないと割り切っていく。

 意識を集中し、気力に目的を持たせていく。

 何をしたいのか、どういう結果が欲しいのか。

 それを求め、決めて気を周囲に拡大していく。

 空気のように薄く拡散されていく気が、カズヤに周囲の状況を伝えてくる。

 頭の中に、周囲の様子が浮かんできていた。

 気が何かにぶつかった感触で何かがそこにあるのを感じる。

 そこまでの距離も感覚的に分かる。

 頭に周囲の様子が立体画像で表示されるような感じであった。 

 厳密に言えばそれも違うのであろうが、カズヤはそう感じていた。

 見えるというか、一気に認識出来たというか。

「いない……」

 その感触から分かった事を口にする。

「この周りにはいないですね」

「そうか」

 ノボルも少しがっかりしてるようだった。

「まあ、入り口からそんなに離れてないしな」

 言われてカズヤは振り返る。

 結構歩いてきたし、入り口は小さくなっている。

 だが、まだ見える位置にある。

 こんな所にユガミがいるわけがない。

「もっと奥ですね」

 どれくらい進めばいいのか分からないが、もっと先まで行かねばならない。

「行くぞ」

 ノボルの言葉に従って更に奥を目指す。

 足を止めて周囲に気を張り巡らし、また進む。

 その繰り返しになる。

 化け物の襲撃もなく、進むに当たり障害はない。

 それがまた不気味であった。

 進めば進むほど撤退が難しくなる。

 目の届かない物陰に何かが潜んでるような気がしてくる。

 それでも進んでいく。

 全部を終わらせるために。

 七回目の探知をした時にその為の目標をとらえる事が出来た。

「いました」



 今まで歩いてきた所と違い支柱にあたる部分のない広々とした場所にでた。

 そこにそれはいた。

 見た目を一言で言えば、マネキン人形である。

 人間の姿形に近いが、滑らかな表面と固定された表情は生物のものではない。

 顔らしいものは一応あるが、それも刻み込んだかそう作られただえで、必要な器官が備わってるわけではない。

 人の形を真似てるが人ではないのが明白だった。

 だからこそ不気味である。

 カズヤ達が近づいていくと、それはすぐに襲いかかってきた。



 腕が伸びる。

 カズヤ達の方に向けた腕が、ゴムのように伸びた。

 十メートルほどに。

 それを避けた二人であるが、伸びた腕はそのまま横薙ぎに振り回される。

 それを刀で受けたノボルは、予想以上に大きな衝撃を受ける。

 かなりの力だった。

 振り回してきた腕に刃がたつが、さしてこたえてるようにも見えない。

 カズヤがその腕に切りつけて切断しようとするが、これもさほどの傷は与えなかったようだ。

 伸ばした腕を戻した人形は、カズヤ達と距離をおきつつ向かい合う。

 二人が近づこうとすると腕を伸ばし、距離を縮めさせようとはしない。

 近づかせないようユガミの方も考えてるようだった。

 それならばと腕を切りつけるも、切断するにはいたらない。

 とにかく硬い。

 ユガミといえど化け物、体は気の凝縮のはずなのだが化け物とは感触が違う。

 密度が違うのかもしれない。

 埒があかないと思ったノボルは、

「カズヤ、少しだけ時間を稼げ」

と行って少し後ろに引き下がる。

 そこを狙って腕が伸びてくるが、それをカズヤが斬りつける。

 化け物はそんなカズヤにもう一本の腕を伸ばしてくるが、これもカズヤはどうにか避けた。

 凄まじい勢いで伸びてくるが、見えない程ではない。

 そうして作ったわずかな時間の間にノボルの方も準備を終えた。

 練り上げた気をユガミに放つ。

 それが伸びていた化け物の腕に当たり、相手の動きが一瞬だけ止まった。

「今だ、行け!」

 言われて反射的にカズヤはユガミに走っていった。

 どうやったのかは知らないが、相手の動きは止まってる。

 腕を振り回しもしない。

 距離を一気に縮めて、本体まで接近する。

 刀を振り上げて斬りつけた。

 返す刀で切り上げる。

 それでも核の露出にまでは至らない。

 気力を付与した刀で斬りつけても簡単には体を崩していけない。

 根気の勝負になっていく。

 そうしてる間に止まっていたユガミも動きだし、伸ばしていた腕を縮めてカズヤに攻撃をしてくる。

 そこにノボルが接近してきて、ユガミはそちらに腕の一本を向けて伸ばしていく。

 突き出された腕に先ほど同様に気力をぶつけて動きを止める。

 その隙に更に距離をつめてユガミのすぐ前まで接近していった。

 カズヤと相手を挟み込む位置に立ってユガミに斬りつけていく。

 再び動き出したユガミは、そんな二人を引きはがそうと移動しようとしたり腕を振って攻撃してくる。

 それもカズヤ達に振り払えないほどではなかった。

 すぐにユガミの方も腕を横にして体を独楽のように回転させる。

 人間でないだけあって予想もしなかった行動をとってくる。

 それでも二人は、振り回される腕に当たるように刀を構えた。

 ユガミからすれば攻撃するつもりだったのかもしれないが、自ら自分を傷つける形になっていく。

 すぐに動きを止めて腕を振り回す事に切り替える。

 そこからはお互いに攻撃をして、それを受けてといった事の繰り返しとなった。

 カズヤ達も攻撃を凌ぎきれずに吹き飛ばされる事もあったが、ユガミも攻撃を弾かれ胴体を斬りつけられていく。

 傷そのものはユガミの方が多く受けていた。

 しかし、核のあるであろう胴体はさほど損害を受けてるわけではない。

 時間と共に気力を消耗していくカズヤ達の方が分が悪いと言えた。

 そこにノボルがもう一度動きを止める攻撃をしかける。

 ユガミの動きが瞬間的に止まる。

 間髪入れず、カズヤは胴体を切りつけた。

 それが二度三度と続いていく。

 何度か繰り返すうちに、胴体も大分削り取られていく。

 更にそれが続いていくと核が露出してきた。

 十回二十回と続けた結果である。

 更に動きを止めてからの攻撃を続け、核が完全に露出するところまでたどり着いた。

 そこからはノボルも動きを止めるのではなく、自分の刀に気力を付与して攻撃に回る。

 頑丈な体に核が隠れてる時ならともかく、露出してしまえばそれほど苦労はしない。

 前後から斬りつける事で核に当たる確立も増える。

 ユガミはその場から逃げだそうとするも、二人に挟まれてはそれもままならない。

 そのまま二回三回と核を斬りつけられ、ユガミは崩壊して消えていった。



 ヨドミの崩壊が始まる。

 気力も体力も消耗していた二人だが、ふらつきながらも来た道を戻っていく。

 坂道を駆け上がるのは少々こたえるが、崩壊に巻き込まれるわけにはいかない。

 逃げ出そうとする化け物を切り捨てて道を作りながら出口へと逃げていく。

 四階、三階と駆け上がり、どうにか地下一階まで戻ってくる。

 地上階への階段に残っていた仲間と合流し、すぐに上に逃げだそうとする。

 トランシーバーを使って、上で待ってる仲間にも声をかける。

 ユガミを破壊してヨドミを崩壊させたと。

 連絡が通じなかったらどうしようかと思ったが、そこは杞憂に終わった。

 カズヤ達はそのまま一階に出てすぐ近くにあった出入り口から外へと向かう。

 一度外に出た仲間によって、そこから確実に外に出られる事を確かめる。

 それから、化け物が出て来るのを防いでいく。

 ギリギリまで粘り、崩壊が目の前まで来たところで外に出た。

 続きは20:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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