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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
九章

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78話 回想:求められる仕事

「よう」

 登校中、待っていたノボルと合流する。

 朝はこうやって必要な事を伝えあう事にしていた。

 トランシーバーはもってるが、それで連絡を取り合うのは結構面倒で手間がかかる。

 携帯電話を持ってないカズヤにとって、こういった定期的な接触は意外と有効な連絡手段だった。

 昨晩手に入れた父の名刺を早速渡していく。

「おう、助かるよ」

 受け取ったノボルはすぐに携帯電話を取り出す。

 会社の名前と住所、電話番号を仲間に伝えていく。

「今日中には無理だろうけど、二日三日の間にやれると思う。

 出来ればお前も一緒に来てくれ」

「ええ、そのつもりです」

「そう言ってくれて助かるよ。

 無理矢理つれていかなくて済む」

「どっちにしろ行く事になるんですか」

「そうだよ。

 自分の意志で行くか、強制参加になるかの違いだけだ」

「ひでえ」

 とはいえ、参加するつもりではあった。

 父親がどんな状態なのか、何が起こってるのかを知りたいと思っていた。

 化け物が絡んでるなら、それがどういう風に影響してるのかも。

 家族の解放を他の誰かにゆだねたくもなかった。

「まあ、頼むわ。

 頭数があれば助かるし」

「分かってますよ。

 こっちも修養値でしたっけ?

 経験値を稼がないとまずいですし」

「分かってるじゃないか」

 よくぞ言った、とノボルは満足げな笑みを浮かべる。

「ついでにこっちも頼むぞ」

 そう言って指示機を渡す。

「なんですか、これ?」

「学校とかのヨドミは壊したけど、それで終わりってわけじゃない。

 他にもあるかもしれないから、それを使って探しておいて」

 父の会社を調べるまでの間、それを確かめておいてもらいたいという事だった。

「無理はしなくていいから。

 倒せるなら倒してもいいけど、一人で全部やろうとは思うなよ」

「分かりました。

 出来るだけ調べておきます」

 拒否する気はなかった。

 朝のやりとりはそんな調子で終わった。



 見えるようになってから、学校がかなりまずい場所なのが分かってきた。

 取り憑かれてる者はそれほど多いわけではないが、土台となる人数が違う。

 一人二人は取り憑かれてる者がいる。

 それらがすぐに襲いかかってきたりするわけではないが、放置するわけにもいかない。

 すぐにでも取り払いたくなる。

 ただ、周りに人がいるとそれもやりにくい。

 塩をかけるだけでもかなりの効果があるのだが、いきなりそんな事をやればカズヤの方が問題視される。

 化け物の姿は他の者達には見えてないのだから。

 それにすぐに倒すのは得策ではないとも聞いている。

 取り憑かれてる者も化け物をどこからか連れてきたはずなのだ。

 それがどこかを突き止めねば意味が無い。

 取り憑かれてる者の自宅、交友関係、良く行く場所など。

 それらを調べていかねば根本的な解決にはならない。

 取り憑かれた原因を探り、それを解決・駆除しなければ何度も取り憑かれる。

 化け物が侵入してくる経路を見つけ、あるいはヨドミを発見してそれを潰さねばならない。

 学校の中の問題はある程度解決したが、まだまだ全てが終わったわけではない。

 父の仕事が片付くまでは、それらを可能な限り調べておく事になる。

 カズヤは被害者を見つけてノボル達に報告する。

 あとはノボルの仲間に該当者の身辺を調べてもらう。

 それがノボルに与えられた仕事だった。



『そういうのを見つけるには、学校とかって便利なんだよ』

 ノボルの言葉である。

 割と広い範囲から集まってくるので、何かしら取り憑かれてる者がいる。

 学区内から探せばいいので範囲の特定もそれほど難しくはない。

 学校以外でこういった場所はなかなかないので重宝するのだとか。

 言われてみてカズヤも納得した。

 それからは、可能な限り化け物に取り憑かれてる者を見つけて報告するようにしていった。

 ただ、そうそう思い通りにいくわけでもない。

 化け物と接近しすぎて境界に引きずりこまれる事もある。

 カズヤのレベルが高ければそれほど問題は無いのだろうが、今のレベルだとかなりつらい。

 手渡されてる退治用の道具を用いてどうにかしてるが、いつも冷や汗をかくことになる。

 しかも、倒しても数日すればまた取り憑かれてくるという事もある。

 終わらない徒労を感じる事も度々だった。



 おかげでかなりの数のヨドミが発見される事にもなった。

 思った以上に多く、父親の会社より先にそれらを片付ける事となった。

 父親の会社は、見つけるのは簡単だったらしいのだが、中に入る手段を見つけるのに苦労してるという。

 ならばという事で、カズヤは学区内のヨドミ潰しに向かう事となった。

 そちらも見逃せない問題だった。

 一晩のうちに一カ所か二カ所を巡って事を成し遂げていく。

 おかげでカズヤのレベルもかなり伸びていき、短期間でそこそこのレベルになっていった。

 ヨドミはともかく、化け物相手なら一人でどうにかなる程度に。

 それはありがたいが、その一方で考えるものもあった。

 それだけの数の化け物が、周囲に潜んでいたという事なのだから。

 レベルアップは嬉しいが、手放しに喜べるものでもなかった。

 気づかなかったが今までこんな状態だったのかと思うと背筋が冷たくなる。

 また、多くの者が道をあやまっていたのかと思うと悲しくもなる。

 化け物から解放され、以前より良い状態になっていく者達を見ると特にそう思えた。



 しかし、化け物も黙ってみてるだけではなかった。

 ヨドミを幾つか潰し、取り憑かれてる者が見えなくなった頃。

 ようやく学校も落ち着いたと思ったトオルを、境界が取り込んでいった。


 続きは明日の17:00予定。

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