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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
八章

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71話 回想:手間のかかる状況

「ども」

 帰宅して家に一度戻ったカズヤは、外で待機していたノボルに声をかける。

 ワゴン車の中で待っていたノボルとマキは、「よう」「おつかれさん」と応じた。

「どうだった、学校は」

「まあ、あんまり変わらずってところです」

「なるほど」

 聞いてノボルは、そんなもんだろうなと思った。

 見えるようになった事で新たな発見があるかもしれない。

 そう思って学校で異常がないかを確かめるよう頼んでおいた。

 しかし、結果は芳しくない。

「でも、化け物に取り憑かれてるのはいました」

「なに?」

「言われた通り塩とか持って行って正解でしたよ。

 どうにか倒せましたから」

 他にも色々と道具を持たされている。

 気力を込めた武器になる物などを。

 それらがあったおかげで、他の者に取り憑いていた化け物を倒す事が出来た。

 事前に修養値を用いて技術のレベルを上げていたのも大きい。

「そうなると、そいつの家とかが気になるな」

 撃退したのは何よりだし、これで次につながる道筋も見えた。

 化け物が取り憑いていたという事は、そいつの家や足繁く通ってる場所などにヨドミがある可能性がある。

「取り憑かれてた奴の事、何か分かるか?」

「いえ、あんまり」

 カズヤは首を横に振る。

「そいつらと付き合いがないんで……っていうか、付き合いたくない連中なんで」

「つーと?」

「まあ、不良なんですよ。

 昔ながらの」

 そう言ってカズヤは呆れたような顔をする。

「今できリーゼントっていうか鶏冠みたいな髪型して、短ランやボンタンはいてる類です」

「そりゃあ…………貴重だな」

「絶滅危惧種ね」

「むしろ絶滅するべきだと思いますよ」

 実際に被害にあってるというか、日常的に接点のある同じ学校の生徒である。

 可能な限り早急に根絶されて欲しかった。

「天然記念物というより、危険な病原菌みたいなもんですし」

「まあな」

 頷いてトオルの言う事を受け入れる。

「もしかしたらそうなるかもしれないぞ」

 そう言ってノボルはニヤリと笑った。



「とりあえずそいつらの家まで行ってみよう」

 そのノボルの言葉につられて移動をしていく。

 カズヤとて詳しい場所を知ってるわけではないが、おおまかな住所は何となく伝わってくる。

「だいたいこのあたりのはずです」

 自動車のナビで場所を示し、そこへと向かっていく。

「でも、これ以上は分からないんですけど」

「かまわんよ」

 ノボルは気にしなかった。

「あとは細かく調べていけばいいだけだ。

 これを使ってな」

 そう言って方位磁針のようなものを取り出す。

「指示機だ。

 化け物とかヨドミみたいなのを見つけると方向を示す」

「そんなに遠い所のものを見つけられないけど」

 マキの補足がつく。

「色々とあるんですね」

「まあな。

 必要は発明の母ってね」

「昔ながらのものもあるし、新しく思いつくのもあるわよ」

「へえ」

 意外な気がした。

 化け物退治にはお祓いに近い印象があったので、昔ながらのやり方でやってると思っていた。

 その為、新しい物などが出て来るとは思ってもいなかった。

「そうでもないさ」

 ノボルはそんな考えを払拭していく。

「昔から何が有効なのかを探って、これがいいか、あれでどうだって試行錯誤してたみたいだ」

「そんな中で使い勝手の良いのが残ってるの」

「そんなに凄い進歩はないけど、昔と今じゃやっぱり色々と発展してるはずだ」

「それでも、昔から変わらない所もあるけどね」

 どんな世界であっても、様々な積み重ねがあるのを感じた。

「おまえも、何か思いついた事があったらやってみろ。

 案外、良い物が出来るかもしれんぞ」

「色々失敗するだろうけどね」

「はあ……」

 どう答えたものか分からず、曖昧な答えをする。

「でもまあ、まずはそれを見ていてくれ。

 反応があったら教えて」

 指示機を渡してノボルが仕事を与える。

「がんばってね」

 マキからの応援が続いた。



 言われて見つめ続けるが、指示機が反応を示す事はなかった

 それほど探知距離が長くないと言われていたので、それも仕方ないと思ってはいる。

 だが、くるくるとただ回り続けるだけの針を見るのはだんだんと面倒になっていく。

 それでも何かしら反応があるかも、と思って見つめ続けていくが、だんだんと目が疲れていく。

 やってる事に意味があるのか疑問すら抱いていく。

 そうこうしてるうちに車が止まる。

「ここからは足を使うぞ」

 そう言って降りるノボルにカズヤも続く。

「車、お願いね」

「はいはい」

 鍵をさしっぱなしの運転席にマキがうつる。

 面倒くさそうな声を背中に、カズヤとノボルは町の中を歩いていく。



「結局さこうやって探す事になるんだよ」

 言いながら町の中を歩いていく。

 どことなく寂れたような、今ひとつ活気が感じられない中を。

「すぐに見つけられるような道具なり手段があればいいけど。

 残念ながらそうじゃない。

 噂なり情報を手に入れたら、あとは現地で地道に反応を探していく。

 そんな事の繰り返しだ」

 言ってる事が正しいのだろうという事はカズヤにも分かる。

 車に乗ってる間、一度も探知機は反応してない。

 相当近づかないと存在を検出出来ないというのは間違ってないようだった。

「けどな、それで本当にあるかどうかは分からない。

 行ってみて、探してみて、結局見つからないってのがほとんどだ」

「なんか、それってきついですよね」

「ああ、きつい」

 大きな声ではないが、力強くノボルは肯定する。

 込められた実感からこれまでの苦労をしのんでいく。

「だから、この辺りをしらみつぶしに探していくしかない。

 あるかどうかは分からないけどな」

 何とも気の長い話だった。

 とはいえ、それほど広い範囲ではない。

 町内程度なら、一日使えば十分に全体を回る事が出来る。

 探知機の反応を見逃さない事の方が大変に思えた。

「分かってるじゃん」

 カズヤの考えをノボルは否定しないで受け取った。

「でもな、そんな事を繰り返してるとだんだん面倒になるんだよ」

「飽きるって事ですか?」

「そうなのかもな。

 まあ、毎日同じ事やってるとな」

 そのあたり、時折聞くサラリーマンの悲哀のような感じがした。

 こんな物騒な仕事であっても、何かしら似通うものがあるのが不思議に思える。

「でもまあ、向こうから出て来てくれる事もあるし。

 そういう時はチャンスだな」

「そうなんですか」

「ああ」

 これもまたノボルははっきりと肯定する。

「化け物が出てくるって事は、その近くに何かが潜んでる可能性がある。

 当たりに近いかもしれない」

「ああ、確かに」

「これ、ヨドミの中でも言えるけど、化け物の多い方に向かっていけばだいたい正解だから。

 連中も、肝心要の場所を守ろうとするし、そこが住処みたいなもんだからいっぱいいる。

 その分きついけど、きつくなけりゃ仕事にならん」

「なるほど……」

 言われてみればもっともだった。

 化け物を倒しにいくのだから、化け物の姿が見つからないといけない。

 見つからないなら、それは間違ってるという事なのだろう、探し方や何かが。

 だが、そうなるとどうしても苦しい事になっていく。

 化け物が相手なのだから、戦う事は避けられない。

 襲われる事を覚悟して進まねばならない。

 それはそれで面倒で手間だった。

「まあ、それだけならいいんだけど……」

 そう言ってノボルが口を閉ざす。

 それと同時にカズヤは目を見張った。

「あの、探知機が動いてます」

 手にした探知機が一つの方向を示していた。

 言われなくても、これが化け物をとらえた状態なのだと分かる。

「まっすぐ前からです」

「だろうな」

 ノボルもそれは感じていた。

 目の前からやってくる者共を見て。

「本当に、面倒だな」

 あらわれたのは、柄の悪い連中だった。

 全部で六人。

 全員に化け物が取り憑いている。

 ただ、調子が悪いといった所は見あたらない。

 むしろ、無駄に元気が良いように感じられた。

 悪い意味で活気があるというか、方向性が悪い方向に向かってるというか。

 いわゆる不良なのだろうとすぐに分かる独特のファッションセンスを発揮している。

 チンピラという以外にふさわしい表現が見つからない。

「なあ、おぼえておけ」

 やってきた者共から目を逸らさず声を出す。

「化け物が出て来るならまだいい。

 けどな、人間に取り憑いて出て来る場合もある」

 言いながらチンピラ共へと向かっていく。

「そういう場合が一番面倒くさい」

 その言葉から何となく不穏なものを感じた。

 だが、チンピラ共に向かっていくノボルを止める事は出来なかった。


 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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