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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
八章

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70話 回想:思惑

 翌日から生活が変わっていった。

 化け物をカズヤが認識出来るようになった。

 その事によって危険も招いてしまう。

 相手を見る事が出来る事で優先的に狙われる事になる。

 その為、しばらくの間はノボル達が身辺につく事になった。

「お前が強くなるまではな」

 そうノボルは言っている。

 既に修養値や技術とレベルの話も聞いている。

 それらを消費してレベルを上げていく事で強くなれる。

 それを利用し、自力で身を守れるくらいになるまでは付き添うという。

 ありがたい事だが、今までと生活が一変した事を理解させられもした。

 もう今まで通りにはならない。

 その事をいやというほど感じる。



 他にも考えてしまう事がある。

 まず、周囲に散らばってる可能性のある化け物ども。

 これらが新たなヨドミを作ってる可能性がある。

 カズヤに取り憑いたものが周囲に拡散してる可能性があるからだ。

 その逆に、元々存在していた化け物がカズヤに目をつけた可能性もある。

 どっちにしろ化け物共が潜んでる可能性はある。

 それらが今まで以上にカズヤを標的にしてくる事がまず一つ。



 それらに関係してであるが、もう一つ考えてしまう事がある。

 ノボルがそれらを潰しに行く時にカズヤを連れて行くと言ってる事だった。

「潰した方が修養値がたくさん手に入るからな」

 理由がこれだった。

 確かに化け物を倒すよりヨドミを破壊した方が修養値は多く手に入る。

 カズヤが一人でどうにかやっていけるようになるためにも、それらを潰していった方が早い。

「大変だけどな」

「ですよね」

 化け物の巣に入っていくのだから危険は大きい。

 手に入れる物が大きい代償だ。

 それでも、見つけて一緒に連れていくという。

 避けられそうもなかった。

(どうなんだかなあ……)

 不安ばかりが募っていく。



「言いたい事は分かるけどさ」

 鳥御坂マキの声は呆れてるやら窘めてるやらといった調子だった。

「だからって急すぎない?

 昨日だっていきなりヨドミに連れていったりしたし」

「あれくらいならどうにかなると思ったからな」

 ノボルはそう言ってマキの言葉をかわす。

「それに、あれで死ぬならこの先長生きもできねえよ」

「そうは言うけどね。

 皆が来るまで待っても良かったでしょ」

「いつ来るか分からないし、それまでに状況が変わるかもしれなかったからな」

「だからって、何にも出来ない子を連れてくわけ?」

「仕方ないだろ。

 誰かが残って無くちゃならなかったし。

 まさかあいつを残してくわけにはいかないだろ」

「だから、皆が来るのを待てって言ってるのよ」

 正論である。

 だが、それを聞き入れるかどうかは別になる。

「言いたい事は分かるよ」

「ふーん」

 じゃあ何で無理をしたのだ、と声音と表情が尋ねていた。

 視線がカズヤに冷たく突き刺さっていく。

 そんなマキにノボルは、

「面白そうだから」

と答えた。

 マキの放つオーラが、怪訝そうなものから蔑みに満ちたものとなっていった。



「まあ、無茶をやったのは分かってるけどさ」

 隣からの冷徹な視線を無視して語りだす。

「これくらい超えてくれなきゃ困るんだよ」

「いや、それは分かってるのよ……」

「だったらそんなにぼやくなよ」

 言いたい事はノボルとて理解している。

「でもな、これで駄目になるようなら続かないよ。

 この先絶対にな」

「だからってやり過ぎなのよ」

「俺らの仕事、やり過ぎがいつもの事だろ」

 大体、いつも無茶をする事になる。

 無茶しないと先に続かない。

 ノボルも腕を上げるまではかなりの苦労をしていた。

「この程度の無茶をこなせないようなら、すぐに死ぬ。

 それならそこまでの命だったと思うしかない」

「引きずり込んだのに?」

「引きずり込まれた、だろ」

 マキの言葉を訂正する。

「あいつだって好きこのんでこんな事に巻き込まれたわけじゃないだろうさ。

 でも、縁が出来ちまったんだからしょうがない」

 望んだものではないだろうが、出来上がってしまったのだ。

 それに対処するしかない。

 無視していれば消えてくれるものでもないのだから。

「とにかくあいつを強くしないと。

 でないと何時死ぬかわかんねえ」

 その為に死ぬかも知れない危険を冒さねばならないのはどうなのだろうとは思う。

 思うもそんな事言ってるわけにもいかない。

「ある程度力がつけば、一人でもどうにかなるからな」

 その独り立ちの時まではある程度目をかけてやらねばならない。

 そこまでしてやる義理や義務があるわけではないが、放置するのも気が引ける。

 カズヤがそうしてやるにふさわしい人間であるかどうかにもよってくるが。

「ま、あいつがどういう奴かを見極めながらだけど」

「それで問題がなければこっちに引き込むと?」

「それも目当てだよ。

 なんせ俺達慢性的に人手不足だし」

「封印派の連中にとられたくないって?」

「まあね」

 対立してる相手がいるので、どうしてもそういう事も考え根ねばならない。

 カズヤの考えや気持ち次第であるが、出来れば自分達に引き込みたい。

 その為に、カズヤに関わっている。

「こんな機会滅多にないし」

 化け物に対処出来る人間などそうそういない。

 それらのほとんどが封印派にいる事を考えると、ヨドミを破壊して回ってる側としては人員確保を優先したくなる。

「あいつもこっちに来てくれるといいんだけど」

 そう重いながら町を巡る。

 カズヤに教えてもらった場所を調べるために。

 この近隣の学校と、母親の職場を順に巡る。

 父親の方はまだ分かってないので後回しにするしかないが、行ける所は巡っていくつもりだった。

 ヨドミが見つかれば、学校が終わったカズヤを連れて突入する。

 そう都合良くあるものではないから思惑通りにはいかないだろうとは思っている。

 何も無いのが一番でもあるが。

「上手くいけばいいんだけどねえ」

 カズヤの事も、化け物の事も。

 全てが一番良いところに落ち着いてくれればと思った。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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