46話 脱出 → 次への一手
「ちょっとやり方を変えよう」
翌日の作戦会議でカズヤは皆に言い渡した。
「襲撃のあった場所にあんだけいると、こっちとしても手を出しづらい。
暫く、あそこは無視しておこう」
「そうするしかないか」
「やれやれ」
賛同の声があがる。
声を出さない者も頷いて同意を示している。
「代わりに、他の場所はどんどん潰していこう。
昨夜も他の所には出てこなかったみたいだし」
ヨドミを潰しにいった別部隊からの報告だった。
「たぶん、あの場所に集まってるんだろうな。
なんでか知らないけど」
「理由があるのかもな」
「やつらの本拠地とか?」
「かもしれん」
可能性は否定出来なかった。
カズヤ達が知らない何らかの理由があるかもしれない。
トガビトを含め、かなりの数が集まっていたのだから。
「けどま、そっちの方は後回しだ。
急いでやらなきゃならんかもしれんが、それは他も同じだ。
分かってる所だけでいいから、どんどん潰していこう」
場所を記した地図を囲んでそう言う。
「で、どこからやるんだ?」
「それなんだけどな」
地図で場所を示しながらカズヤは考えを話し始めた。
「まずはこのあたりから潰していこうと思う」
襲撃場所に近い所に幾つかのヨドミを指しながら言う。
「こいつらが連携をとってるのかどうか分からないけど、近寄ってるってのはまずいと思う」
もし互いに連携をとってるなら、結構まずい状況になりかねなかった。
距離が近ければ、援軍を出しやすい。
出来るなら、それらを早めに断ち切っておきたかった。
考え過ぎかもしれなかったが。
だが、最初にこのあたりを潰しておきたかった。
もし万が一、相手が連携をとっていたら、後々厄介になる。
「それから、外側にあるのを潰していく」
襲撃地点から遠い所を巡って、という事になる。
これらも増援などを考えての事だった。
遠ければそれだけ到着まで時間がかかる。
ヨドミを破壊するまでの余裕につながる。
増援が来たとしても、到着までに逃げ出せる可能性も出て来る。
「あとは、襲撃があった場所にあるヨドミを潰す。
トガビトもいるみたいだからかなりきついけど」
「でも、倒しただろ」
「一体はな。
あれが最後か分からんけど」
「……他にもいるのか?」
「分からん。
でもさ、あれだけまとまって動いてたんだ。
そこにいたかもしれん」
化け物が群れをなす事は珍しくないが、大規模な集団になる事は希である。
一定以上の数になる事は滅多にない。
大規模な集団があるという事は、それをまとめるものがいると考えた方が妥当だった。
「まだ何体かいると思った方がいい。
そいつらがどう動くか分からん」
可能性があるなら気をつけておいた方がよい。
戦力差を考えれば、これくらいの慎重さは必要だった。
「とにかく、まずはこれで行こう」
反対する者はいない。
夜を待たずに行動を開始する。
事務所に二人を残した八人が標的にしたヨドミへと向かっていく。
ワゴンに乗って、ほとんど目の前までおしかける。
武器も目立たないよう鞄や袋に入れて内部に持ち込む。
「それじゃ、頼むぞ」
「はいよ」
中に入る者達と、外で待機する者達とで分かれる。
内部突入は三人。
五人が外で警戒と待機にあたる。
もし敵が押し寄せてきた場合、ここで防ぐためである。
人数が多いのはトガビトを警戒しての事だった。
今回、ヨドミの破壊と同時に即座に撤収する予定である。
そのため、移動の為の車両をなるべく近くに置いておきたかった。
護衛を多めにしてるのはその為でもある。
少し離れた所で待機している事も考えたが、そちらを狙われては意味が無い。
危険ではあるだろうが、なるべくかたまって居た方が無難だろうという結論に至っている。
「上手くいけばいいけど」
その場に残ったカズヤが呟く。
この後の事もある。
問題も起こらず全てが終わって欲しかった。
続きは19:00予定。
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