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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
四章

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39話 彼らの後始末 → 横取り

「なんか、メチャクチャだ……な!」

「本当っすよ、これじゃ狙えねえ」

 襲いかかってくる畳を刀で切り落とし、避けていく。

 何とか前に進もうとするが、それもままならない。

 後ろのコウジも、ユガミを狙おうとしてるが、飛んでいる畳が邪魔で狙う事が出来ない。

 一発一発撃つんも面倒なので、連射で一気に弾丸を叩き込もうと思ったがが、それも防がれてしまう。

 撃てば畳がユガミの前に壁のように並び、射撃を弾いてしまう。

 畳もユガミの産物のようで、当たった所から気に変わって消えていく。

 なのだが、まとめて何十発と当てないと消し去る事も出来ない。

 畳を先に消してからというわけにもいかない。

 仮に消しても、床の上にあった他の畳が飛んでくるので、すぐには片付かない。

 常時二十枚三十枚の畳が、攻撃と防御の二つを兼ねて動いている。

「どうします?」

「俺が聞きたい」

 対応するにはどうするかを考えねばならない。

 でなければここを攻略出来ない。

 生還も難しくなる。

(畳をとにかく、どうにかしないと)

 飛んでくるのを切り落とし、何とか近寄ろうとする。

 それも次々にあらわれる畳に遮られる。

 コウジの射撃も同じで、何百発という弾丸を用いても畳を数枚破壊するのがせいぜいだった。

 弾丸だけを無為に消費してしまっている。

 それで数が減れば良いのだが、敷き詰められた畳はまだある。

 いずれ無くなるかもしれないが、それまでにコウジの弾丸が先に無くなるだろう。

 幸いなのは、全ての畳が一斉に襲いかかってこない事。

 三十枚ほどの数が常に滞空してるが、それ以上に襲いかかってくる事は無い。

 おそらく、それが制御できる数の限界なのだろう。

 つけいる隙があるとすればそこになるかもしれない。

 だとしても、三十枚を一気に片付ける事も難しい。

 カズヤが切り落とせるのは、一度に一枚だけ。

 それも、刀の届く範囲に近寄ってきたものだけである。

 コウジの電動ガンでも、弾倉一つを用いて数枚が限度。

 それくらいなら、落とされてもすぐに次が出てくる。

(そしたら……)



「コウジ、ケチケチしないでいくぞ」

「どうするんすか?」

「ベルトに挟んでるのを使え。

 気を込めた弾丸でもいい。

 とくにかく、一気に畳を落とせ」

「はい?」

「その隙に一気に距離を詰める。

 お前は畳を全部落とせ」

「あ、はい」

 納得は出来ないが、言われた事は理解する。

 とりあえず電動ガンの弾倉を、気を込めたものを詰め込んだものに代える。

 こちらは全部で数十発しかないので連射は出来ない。

 無駄撃ちしないように単射に切り替えておく。

 それから手を離して肩掛けのベルトでつるす。

 空いた手で腰に挟んでるものを取る。

 コルトM1911ガバメント。

 四五口径弾を用いる自動拳銃。

 作りは古いが実弾を用いる歴とした拳銃である。

 当然ながら、日本において普通に流通してる物ではない。

 そんな物騒な物をコウジは手に取って構える。

「いいっすよ」

「よし、じゃあ撃て」

「はい!」

 返事と同時にユガミに向かって引き金を引く。

 次々と畳が射線の前にあらわれるが、着弾と同時に吹き飛んでいく。

 一発一発に気力を込めてるので、当然ながら化け物にも効果がある。

 また、着弾の衝撃が畳全体に伝わり、気に戻った物の拡散を更に助長していく。

 続けざまに引き金を引き、装填されてる弾丸全てを放っていく。

 弾丸が尽きればすぐに予備の弾倉に交換して発射していく。

 間断なく発射される弾丸は、遮る畳を次々に粉砕していく。

 一つにつき七発入る弾倉が三回交換され、あわせて二十一発分畳が粉砕される。

 当然他の畳が浮かび上がってくるが、一発で粉砕されていくので大きな隙が生まれる。

 そこに向かってカズヤが飛び込んでいった。



 身体能力強化に気力を用い、一気に駆け抜けていく。

 瞬間的にだが、カズヤの身体能力はオリンピック選手を軽く超えている。

 遮る物の少なくなった中を駆け抜け、ユガミにまで素早く到達する。

 新たに浮かび上がった畳が襲いかかる間もなく、手にした刀がユガミに食い込んでいった。

 突進の勢いと身体能力向上の影響、更に刀に込めていた気力が重ね合わさっていく。

 正座をしているユガミは、その上半身を斜めに切り裂かれた。

 浮いていた畳が全て床に落ちていく。

 核を潰したわけではないが、畳の制御ができない程には損傷を与える事が出来たようだった。

「今だ!」

 叫ぶと同時に刀を振りかぶり、倒れた体を切り刻んでいく。

 駆け寄ってきたコウジも、持ち替えた電動ガンから気力を込めた弾を撃っていく。

 消え去っていく上半身ではなく、再生を始めている下半身の方を。

 そちらの方に核があるのだろう。

 切り離されれば消えていくのが化け物である。

 そうなってない方に核はある。

 二人はただひたすらに核のあるはずの下半身を攻撃していった。

 ────ユガミが消滅するのは、それから二分後だった。



「どうなってんの?」

 怪訝そうな顔をしてユウキは尋ねた。

「ヨドミが無いって」

「分かりません」

 正直な答えが返ってきた。

「ただ、ヨドミが消えていて、指示機にも反応はありません」

「いきなり消えたってわけ?」

「そうなりますね。

 でないと説明がつきません」

「その理由は?」

「分かりません」

「まあ、そうだろうけど」

 分かってはいるが、納得出来ない。

 昨夜まであったものがどうして無くなるのか?

 考えられる事は一つしかない。

「……また出し抜かれたわけ?」

「たぶん、そうじゃないかと」

 前にも何度かあった。

 場所が特定出来たヨドミが、対処する前に消えている事が。

 自分達が見つけた後に崩壊派がここにたどり着いたのか。

 それか、情報が漏れてるのか。

 自然に消滅したのでもなければ、理由としてそれらがありそうだった。

 なお、ヨドミが自然に消え去っていくという事例は確認された事がない。

 もしかしたらそういった物もあるかもしれないが、発見されたものが消え去っていった事は無い。

 誰かが何かしらの手を高じない限り、ヨドミが消える事は無いというのが通説だった。

「誰がやったのよ……」

 ユウキは悔しげに呟く。

 誰がヨドミを潰したのか。

 もしいるなら、ここの情報を漏らしたのは誰なのか。

 その為にこの周囲がどれだけ変化したのか。

 致命的な改変が行われてないよう願うしかない。

 今更悔やんだところでもう遅いのだから。



 消え去ってしまったと聞いて、アヤナは少しだけ胸をなで下ろした。

 やらねばならないと思い、不安を押し殺して参戦しに来たのだが。

 しなくて良いと聞いて素直に安心してしまう。

 ただ、消滅にともなって周囲が改変されてるかもしれないと聞いて心配もする。

 それほど大きな改変がなされる事は滅多にないらしいのだが、何かしらの変化があらわれるとは聞いている。

 この周囲の何がどう変化したのかは分からない。

 ただ、それが悪い方向に向かってない事だけは切に願った。

(前は、どうだったのか)

 この辺りの以前の風景を記憶に止めてなかった事を少し悔やんだ。

 何かが変わっていれば、すぐに気づけただろうと思って。








【修養値獲得】




二万三千二百




<安房カズヤ>



一万三百 → 二万一千四百五十




<相馬コウジ>



一万五千四百→ 二万六千五百五十

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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