↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサンと少年の入れ替わり。オッサンは異世界で美味い料理を作り、少年は日本で無自覚に色々やらかす。  作者: BIRD


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/255

ep79:姫様とお散歩

 食事からアレルゲンが除かれたことで、リュンヌ様は日に日に回復していった。

 僕と【僕】は枕元にノートを置き、これまでに作った料理のレシピを書いて枕元に置いている。

 記憶は共有しているので、作り方は分かる。

 記録として残したくて、姫様の体調とレシピをメモしていた。


 姫様が何を好まれるかを把握する意味でも、重要な記録だ。

 僕が作ったものの中では、コーンポタージュスープが特にお気に召したようだ。

 ウォルクリスが作ったものの中では、故郷の料理【山菜と鳥類の肉を具にした雑炊カオトム】が、お気に入りメニューとなった。



「ウォル、今日も身体の調子がいいわ。散歩に連れていって」


 やがて歩けるようになった姫様は、庭園を散歩されるようになった。

 何故かその付き添いに指名されるのは、護衛騎士ではなく料理人として雇われている僕だ。


「僕は構いませんが、護衛の方に寄り添って頂く方が安全ではないですか?」

「護衛は、敵が来たときに戦わなければならないもの。私を庇いながらではやりにくいわ」


 指名されることを光栄に思いつつも、僕は正規の騎士ではないので一応遠慮してみる。

 しかし姫様に正論で返されてしまった。

 10歳とはいえさすが王族、予想されることがちょっと物騒だ。


「分かりました。では行きましょうか」

「ええ」


 僕はリュンヌ様にそっと左手を差し出して、エスコートの意を示す。

 リュンヌ様は躊躇いなくその手をとり、長椅子から降りた。

 最近は就寝時以外は長椅子で寛ぐことが多くなっている。


「ウォル、抱っこして」

「畏まりました」


 階段の手前まで来ると、リュンヌ様は幼子のように抱っこをねだる。

 階段が怖いから、ではない。

 彼女は、僕ができる階段パフォーマンスを期待していた。


「では、飛びますよ」

「はぁい」


 僕は小柄で華奢なお姫様を抱っこして、階段の上から下へ一気に飛ぶ。

 知らない人が見たらギョッとするところだが、この城の人々には見慣れた光景だ。

 振り向きはするが、ああ、またやってる、という顔で眺めている人が多かった。


「ふふっ、飛んだ飛んだ~」


 はしゃぐ姫様に抱きつかれながら、僕は空中で風魔法を起動する。

 落下速度が緩やかになり、僕は姫様を抱いたまま階下の床にフワリと着地した。

 途端に、リュンヌ様は楽しそうに笑い出す。

 最近の彼女は、声を上げて笑うことが増えた。


「やっぱりこの浮遊感が良いわ」


 彼女は怖がるどころか、階段の上から下までの滞空を楽しんでいる。

 案外お転婆な姫様であった。

 無邪気に笑う姫様を、侍女や侍従たちが微笑みながら見守っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。