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オッサンと少年の入れ替わり。オッサンは異世界で美味い料理を作り、少年は日本で無自覚に色々やらかす。  作者: BIRD


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ep51:やらかした休日

 水曜日、元の身体に戻って目が覚めた。

 なんか、いつもより筋肉痛が酷い。

 少年よ、一体何をやらかした?

 腹だけじゃなく、腰から下も筋肉痛になってるんだが。


(身体強化だぁ? オッサンの老体に何させるんだよ……)


 腰から足先までの酷い筋肉痛は、ウォルクリスが使った身体強化のせいだった。

 あっちの身体ならいいだろうさ。鍛えてるし若いんだから。

 オッサンの身体はな、筋肉がもう衰えてるんだよ。


 心の中でボヤきつつ、壁に掛かっているカレンダーを見る。

 そういや、今日は仕事休みか。

 朝食は好きな時間に休憩室で食えるし、二度寝しよう。

 僕は再び布団に潜り込んだ。


 目覚まし時計をセットしておけば良かったかもしれない。

 うっかり午後まで眠ってしまった僕は、異世界で目が覚めた。

 見習い騎士メンバーは、昼食の後に軽く睡眠をとる。

 その時間に、日本で惰眠を貪る僕との入れ替わりが起きてしまったらしい。


(……やっちまった……)


 僕は目覚めてしばし呆然としてしまった。

 今頃はウォルクリスが向こうで呆然としているだろう。

 まあ、記憶は共有してるし、休日なのは分かるだろうから、大人しくしててくれ。

 なんなら三度寝してくれてもいいぞ。


 見習いメンバーも今日は休みだ。

 騎士団のメシ作りも今日は休みで、騎士団全員が団長から食費を渡された。

 食事は国から支給された携帯食で済ませるか、街の食堂で食べるらしい。

 リシュ領の街は、美味いものがいっぱいだ。

 充分な資金を渡されて、食べ盛りの少年たちは街へ繰り出し、しこたま食って満足しながら昼寝している。


(12歳なんて家族と離れたら寂しいだろうに、元気だよなぁ)


 隣のベッドで爆睡しているアウラウダを眺めて思う。

 僕と記憶を共有するウォルクリスは、赤の他人のオッサンと入れ替わる日々の中、寂しいと思ったりはしていない。

 尊敬する父親と同じ道へ進みたい、正規の騎士になりたいという強い思いが心にある。

 だからこそ身体強化が使えるかもと知って、試したくなったのは分かる。


(……だが、オッサンの身体を酷使するな。自分の身体で……やってるか)


 新たに増えた記憶の中に、今朝の自主トレで身体強化を使った様子がある。

 ウォルクリスは、強化がついた斬撃で薪割りをしていた。

 炭作りに使う薪を、ちょうどいい大きさに切っていたらしい。

 ベルさんの分も切ってあげたら、手のマメを治すついでに治癒魔法を教わったようだ。

 おかげで、今は掌にマメも傷もなく、キメ細かい子供の肌になっている。


「……ん~、ウォル、どうした? もう腹減ったのか?」

「いや、たまたま目が覚めただけだよ」


 アウラウダが起きてきた。

 目が覚めていた僕を見て腹減ったのかと聞くってことは、彼の小腹が空いたってことだろう。


「俺ちょっと甘い物が食べたくなったから街へ行くけど、ウォルも行く?」

「甘い物いいな、僕も行くよ」

「じゃあ着替えて行こう」


 子供の身体は、すぐに腹が減る。

 甘い物が好きなのは、どこの子供も同じらしい。

 僕も甘味が欲しくなり、アウラウダと共に街へでかけた。

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