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オッサンと少年の入れ替わり。オッサンは異世界で美味い料理を作り、少年は日本で無自覚に色々やらかす。  作者: BIRD


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ep46:猪肉で味噌カツ作り

 充分な量のパン粉を手に入れた後、ベルさんと僕はお城の厨房へ向かった。

 領主様とベルさんの分を先に作った方が、領主様の機嫌が良いからね。

 僕は厨房で手を洗い、調理台に置かれた壺から調理手袋になるジェルを取り出して両手を覆った。


「材料は、何を使うの?」

「まずは、猪肉ヴィヤンドゥ・ドゥ・サングリエ生姜ジャンジャンブル、です」

「持ってくるわ」


 ベルさんに猪肉や残りの材料を持ってきてもらい、僕はカツ作りを始めた。

 リシュ領の猪肉は、臭みが無いとシャスール先輩は言っていた。

 カットした肉の匂いを嗅いでも、獣臭さは感じられない。

 これなら、豚肉と同じように味付けできそうだ。


 筋切りした猪肉に、おろし生姜をもみ込む。

 普通のトンカツは塩コショーだが、僕は生姜を使う。

 生姜が肉に染み込むのを待ちながら、味噌ダレ作りだ。


「次に豆のテージュ・ドゥ・アリコの実、すりごま(セザム・ムリュ)、蜂蜜ミエル、おオ・ショードでソースを作ります」

「持ってきたわ」


 豆の木の実は柔らかく、簡単に潰すことができる。

 ペーストにした実にすりごま、蜂蜜を混ぜ込んで、お湯で硬さを調整すればOK。

 本来の味噌カツのタレなら、赤味噌、砂糖、みりん、酒、水を使うのが基本だ。

 僕は砂糖、みりん、酒の代わりに、蜂蜜を使う。


「ベルさん、長粒米リ・ロンをお願いしてもいいですか? 味付けなしで」

「任せて」


 長粒米を使った白飯作りは、ベルさんにお任せした。

 鍋でたっぷりの湯を沸かし、7~10分程度茹でる。

 少し芯が残る「アルデンテ」の状態でざるに上げて、湯を切ってから鍋に戻す。

 弱火で水分を飛ばしながら5~10分ほど蒸らせば、パラリとした食感に炊き上がる。


「次は薄力粉ファリーヌ・モル鶏卵ウフ・ドゥ・プル、パンシャプリュールで衣つけをします」

「珍しい衣ね」


 この世界には、フリッターのような揚げ物はあるが、カツは無い。

 下味をつけた猪肉に、薄力粉、鶏卵を溶いたもの、パン粉の順にまぶしていると、ベルさんが興味津々で覗き込む。


「次は、向日葵油ユイル・ドゥ・トゥルヌソルで揚げます」

「美味しそう」


 僕は揚げたカツを網の上に並べて油を切りつつ、ベルさんに炊いてもらった白飯をお皿に盛る。

 白飯の上に食べやすい大きさに切ったカツを乗せて、味噌ダレをかけて、すりごまを少々散らした。


「どうぞ。このタレを白飯リ・ブランに絡めてお召し上がり下さい」


 僕は出来上がった味噌カツ丼ぽいものを、既に壁際で待機している領主様のテーブルに置いた。

 もちろん、ベルさんの分も置いている。


「おお、これは珍しい食感だ。サクサクと香ばしくて、甘辛いソースもいいな」


 領主様の悪人面が緩む。

 サクサクのカツは、彼の好みにヒットしたらしい。


「【ミソカツ】という料理です。肉を鶏ももキュイス・ドゥ・プルにしても美味しいですよ」

「うむ、これは気に入った。ベル、作り方は覚えたな?」

「ええ」

「次はキュイス・ドゥ・プルで作ってくれ」

「畏まりました」


 カツは、領主様の食事の定番メニユーになりそうだ。

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