表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサンと少年の入れ替わり。オッサンは異世界で美味い料理を作り、少年は日本で無自覚に色々やらかす。  作者: BIRD


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/61

ep37:小学生がパスタを作る

 朝食後。

 僕は敷地内の巡回の後、再び枝垂桜の見張りに行った。


 鹿は1日に2回、決まった時間に現れるという。

 体内時計的な何かか?

 午前10時、鹿が現れるという時間に枝垂桜の根元に立っていると、茶色い生き物が木々の間から顔を出した。


 鹿はド近眼で、動かずに立っている僕に気づいていない。

 そろりそろりと近づいて来た。

 僕は鹿が桜の枝先まで数歩という距離まで来たところで、両手を勢いよく合わせて打ち鳴らした。

 パンッ! という破裂音がした途端、鹿は飛び上がって一目散に逃げていく。

 飛び跳ねて逃げる後ろ姿を、僕は静かに佇んで見送った。


(ウォルクリスも、無駄に走らずに音で脅かせばいいのに)


 僕はフッと苦笑する。

 記憶によれば、昨日のウォルクリスは走って鹿を追い払っていた。

 足がちょっと筋肉痛なのは、そのせいだ。

 鹿を狩ろうとしなかったのはいい。

 しかし、走って追いかけるのは体力的によろしくない。


(若い子は体力有り余ってるからそれでいいけど、オッサンは無駄な体力を使わないんだぜ)


 聞こえる筈は無いが、僕はウォルクリスに向けて心の中で呟く。


 少年よ、無駄な動きを減らせ。

 走らなくていい、ある程度近づいてきたら大きな音を出して脅かせ。

 必要最低限の動きで済ませるのだ。

 限りあるオッサンのスタミナを大切にしてくれ。


 これ、寝る前に手紙で書いておこう。



 ◇◆◇◆◇



 午前の仕事を終えて、昼休み。

 休憩室へ行くと、また琴音ちゃんがいた。


「おじちゃん、お疲れ様。今日のお昼はナポリタンだよ」


 席に着くと、エプロン姿の小学1年生が配膳してくれる。

 かなり珍しい光景かもしれない。

 もしかしたら、世間のお父さんたちは経験してるのかもしれんけど。

 彼女にフラれて以来おひとりさまのオッサンに、子供はいない。


「美味しい?」

「うん、美味しい」


 琴音ちゃんが訊いてくる。

 僕の言葉に偽りは無い。


 パスタは生麺でモチモチしていて、ナポリタンソースは程よい酸味がいい感じだ。

 具が飾り切りになっていて、タコさんウインナーとカニさんピーマンなのは珍しい。

 上に散らしたピザチーズが熱でとろけて、ソースと絡んでコクとまろやかさを出している。


 美味しいと答えた途端、琴音ちゃんはぱぁっと嬉しそうな笑顔になった。


「それね、琴音が作ったんだよ」

「えっ?!」

「土曜日は、琴音が作る日なの」

「凄いな」


 琴音ちゃんが、得意そうに言う。

 家事が得意そうな子だとは思ったけど、包丁や火を使う調理までいける子なのか。

 おまけに飾り切りまでしてるし。


 まさか、小学生が生パスタを作るとは。

 異世界にパスタを広めるオッサンもビックリだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ