4話
班員と、いろんなことを話しながら歩く。明るい声で、大きくハキハキと。そうすれば活発な子に見えるでしょう?暗い顔で歩いているよりも、この方がずっと普通だ。
校門をくぐって、校舎に向かう。……だけど、私は教室に行けるわけではない。私にはまだ、地獄が待っているから。
私、勉強が嫌いで学校に行きたくないわけじゃないのよ。人が嫌なの。だって、みんな私のこと嫌いだから。私のことを嫌いな人たちのこと、好きになれるほど私は強くないよ。
ああ、ほら。校舎裏からぞろぞろ出てくる。気が付くと、10人くらいのいじめっ子に囲まれていた。肉食獣に囲まれてしまったうさぎはこんな気分なのかな、なんて他人事のように考えたりする。もうどうしようもないことだとわかっているから、何もせず現実逃避を決め込んでいた。
これが私の日常。最初は感じていた恐怖も感じなくなってしまった。……感じなくなったんじゃなくて、必死に何も感じないようにしているだけかも。いちいち辛くなってたら、きっと私の心が持たないもの。
ニヤニヤと私のことを見てくる。そして……
朝から泥水や虫をかけられて服は泥だらけ。最悪。だから、学校にはお気に入りの服は着てこない。どうせ汚されるもん。ランドセルも奪われて、スニーカーも脱がされ石を詰められている。殴られて、蹴られて。それでも私は抵抗しない。抵抗できない。
意地の悪い笑みと私に対する暴言の嵐。一体何が楽しいのやら。私はなんにも楽しくないこと、コイツらはわかっているのかな。
もうあきらめているし、私がやり返して恨みを買ったら余計にエスカレートするし。何より、人数差が圧倒的だ。どう抵抗しても私一人じゃ勝てっこない。身長もあんまり高くないし、私が睨んだって怖くない。こんなことのために毎日学校来てるの、意味わかんないよ。
結局、登校から教室にたどり着くまでに20分かかった。今日は服の上に防水タイプの上着を着てて助かった。脱いだら半袖だからちょっと寒いけど、仕方ない。濡れた服をいつまでも来てるよりはマシだよね。
……辛くて苦しかった。でも、自分ひとりじゃどうしようもなくって。助けてくれる人もいない。だから、仕方ないんだって自分に言い聞かせて一日をやり過ごすんだ。きっとさ、私みたいなもうすぐ死ぬ人間だけがいじめられるなら、それでいいんだよね、うん。だって、他の人は傷つかないんだから。
チャイムが鳴り、朝の会が始まった。




