22話
私は……
「私は、生まれつきかなり恵まれたほうなんだと思うの」
容姿も、頭脳も、身体能力も。人にはないものを、羨ましがられるようなものを持って生まれてきた。持って生まれすぎてしまった。
「だから、人の気持ちがわからなかった。劣等感とか、妬みとか。その対象になっていることはわかっていたけど、どうしてそんなふうに思われているのかも、どうしたらいいのかもわかんなかったんだ」
「でも、それは夕菜のせいじゃ!」
「わかってるよ!」
「っ……!」
「でも、きっと私がもう少しだけ歩み寄れていたら、こんなことにはなっていなかったのかもしれない」
「……だとしても、夕菜に非なんてないよ」
「そうだね。でも、少しでも罪悪感を持ったまま終わりたくなかったの」
「……」
「今は違う。私は、自分の幼稚だったところを認めた。謝罪した。だから、私には責める権利があると思うの。これ以上なにかしてきても、私は自分の至らなかったところを見直したのに、それでもちょっかいかけてくるのはあいつらってことになるでしょう?」
「夕菜はスッキリした?」
「んー。どうだろ。スッキリはしてないような……でも、心が軽くなったんだ」
「そっ、か」
「そうだよ」
「夕菜ちゃんがいいなら、私は教室に行くのを止めはしない。でも……」
「でも?」
「辛くなったら戻っておいで」
「ありがとうございます。綾香先生」
私は、本当にいい先生に恵まれたなぁ。それと、いい友達にも。
「大川も、たくさんたくさんありがとう」
「俺がやりたくてやってることだから」
「それができるのがすごいよ。大川がいなかったら、私はきっとまだ一人ぼっちで耐えているままだった」
「そうよ。大川くん。あなたの勇気は、一人の女の子を救ったの」
「そうかな……」
「そうだよ!」
「夕菜は、強いから。この先は俺の力はいらないね」
「なんで?」
「なんで、って……」
「必要だよ!」
「そう?」
「もちろん」
「まだ一緒にいてもいいの」
「いいよ?」
「そっか」
「うん」
こうして、私は明るい未来へ歩き出すことができるようになった。過去は過去。でも、今よりも明るい未来が欲しいから。私が私として、幸せに生きていける未来が欲しいから。
一歩ずつでも、前に進むことを選んだ。
この選択は、間違っていたのだろうか?




