11話
家に帰ったら憂鬱が私を襲ってきた。
どうしよう。久しぶりにすごく学校に行きたくない。
最近は、大川と話すことが楽しみで、学校に行くのがそこまで苦じゃなくなっていた。
だけど明日は違う。私は、たぶん大川を傷つけたんだ。
すごく寂しそうな顔をさせてしまった。
私の言い方だと、大川のこと好きじゃないみたいになっちゃってた。
そうじゃなくて、恋愛としてじゃなく友達として大川のこと好きなだけで……あれ?
「恋愛としての好きと、友達としての好きって何が違うの?」
本当に恋愛経験がなさすぎる……というか、関わってこなさすぎたせいで違いもわからない。
人の恋愛を手助けしようとして邪魔してしまった記憶しかないなぁ。私、恋愛向いてないんだよね、きっと。
みんななんで明確に分けようとするんだろう?ただ好き、じゃだめなの?関係に名前をつけることに意味があるのかな。
例えば私が大川のことを好き?恋愛として?いや、そんなことはあり得ない……はず。
隆樹の言うことは、間違ってるんだよ。
ありえないって思ってきたのに。釣り合わないなんて、わかってる。
私は、ずっといじめられるような人間としてごみなんだから。
友達として、大川のことが大好きだから。世界一大切だから。私に光を見せてくれた人。私のヒーロー。
だから、恋なんていう一瞬で壊れてしまうような脆いものにしたくない。
そうやって考えているのに。なのに、なんでそれだと苦しいの?このままの仲の良さでいいって思っているのも本心なのに。それ以上を求めてしまうのはなんで?
大川に彼女ができたらって考えるとモヤモヤするのはなんで?
大川のこと、恋愛的に好きなのかな。
それとも、友達を取られたくない嫉妬?
自分のことなはずなのに、自分が全然わからなくって。
何を考えている?私は今どうしたい?
自分に問いかければ問いかけるほど混乱していく。
でも、これも悪くないって思ってしまった。なんか、わくわくするの。心の奥底がぎゅーってして、ぞわぞわして……なんか、楽しい。
嬉しいって言って、心が笑っているみたい。
大川のこと考えると、いろんな気持ちになるの。うれしいし、楽しいし、駆け回りたいほど気持ちが抑えられない。なのに、なんだか少し切なくて。
ああ、そっか、これが恋心か。
論理的に説明できないような、淡く、脆く、だけどすっごくあったかい。
私は、感じたことがないから知らなかったど、恋ってこんなに楽しいんだ。嬉しくて、ぞわぞわして、毎日がキラキラして。別の世界に来たみたい。
これが、恋。今まで告白してくれてた人達は、こんな思いを抱いて私のことを好きになっていたのだろうか。それなら、申し訳ないと思う。
私は大川を好きだと自覚した。自覚してしまった。
片思いの気持ちを初めて知った。今告白?できるわけないし、そんな勇気なんてない。絶対に無理。
もしも、もしもだけど。私が今までバッサリ振ってきた人たちも、こんな風に不安でいっぱいで、そんな中告白してくれていたのだとしたら。
「……申し訳ないなあ」
いつも通りの空虚な自分の部屋で、つぶやいた。
勇気を出して言ったのに、バッサリ振られたら恨むことだってあるかもしれない。私は、もしかしたら大分ひどいことをしているのかも。
そう思った。
今の私だったら、そんな風にあんまりにも冷たく振られたら嫌だ。てか、そう考えたら怖くて告白なんて余計にできないや。今はこのままでいい。そう思う。
これからは、告白されてももっと優しく断ろう。
今までのやり方じゃ、恨まれたりされても仕方のないことをしていた。
私はいじめられている。はたから見たら悪いのはあいつらかもしれない。
だけど、もしかしたら。
その原因を少し作ったのは私なのかもしれない。そんなふうに考えてみた。
そう考えると、少しだけ申し訳なくなった。
態度を改善しよう。少しずつでも、変えていけたらいい。
私が変われば、周りも変わるかもしれないなんて淡い期待を抱いて。
大川みたいに、優しい人に私はなりたい。




