殺したいほど憎い相手の妹とお近づきになりたい
弥生はそっとしてあげるのが一番だと言っているけど、そういう訳にもいかない。
花火がまとめてくれた栗原葵のデータに目を通すが、データがあまりになく参考にならない。
「学校にいる以外は家の自室に引きこもっちゃってるんすよねー。両親や兄と不仲ぐらいしか今のところ分かんないっす。」
「そうだな。栗原の家に盗聴器やカメラでも仕掛けられればいいんだが、用心深いのかセキリュティが厳しすぎる。」
防犯カメラは勿論、警備が数人、そして使用人も複数いるため、家に忍び込むことは実質不可能である。
「その割に娘の葵には護衛の一つもつけてないのは不自然だよな。」
「そういえばそうっすね。普通運転手でもいて、送り迎えさせると思うんすけど。それにあんだけお金持ってたら顔のアザなんて消せると思うんですけどね。」
「今のところ、俺が仲良くなるしかないんだよな」
「ファイトっす!社長!」
「ただきっかけがないんだよなぁ。喋りかけても無視されるし。」
「きっかけなんて作ればいいじゃないっすか。てきとーに雇った人間に襲わせて、社長がそれを助けるんすよ!」
「確かにありだな。恩人を無下にはできないだろうし。劇団に連絡しておいてくれ」
「かしこまりしたっす!社長!」
一一一一一一
「おかえりなさいませお嬢様」
自宅に帰ると、使用人が頭を下げ、私に挨拶をしてくる。私はそれに返事もせず、自分の部屋まで一直線に向かう。
「本当に愛想がないわよね。嫌な感じ」
「まあ生まれも生まれだし、仕方ないわよね」
私を背に使用人がこそこそと私の悪口を言っているのが聴こえる。相手にするのも馬鹿馬鹿しい。少しイラついたが、私は無視して自室に入った。
「はぁーむかつく!」
ベットに制服のまま倒れ込むように横になる。先程の使用人の言葉に腑が煮え繰り返った。だがここで問題を起こすわけにはいかない。もうすぐで高校も卒業する。それまでの辛抱なのだから
「もうすぐだよお母さん」




