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憎い相手の家族すら憎い

岩野の一件がかたがつき、桜花学園には平和が訪れた。そしてようやくこの学校に入った真の目的、栗原の妹の栗原葵に近づこうとしている。


俺の両親を殺した栗原は許さない。そしてそれをもみ消した栗原の父親、その関係者。そいつらの大事なものを全て奪ってやると俺は心に決めた。ただ栗原幸三は警戒心が強く、ボディーガードもついていて、中々近付くことができない。


そのため娘の葵にターゲットを定めたのだが、栗原葵は予想以上に攻略難易度が高い。

彼女に話しかけても、表情ひとつ変えずに一言二言で会話が終わってしまう。それは俺だけではなく、クラスメイト全員にそうなのだ。


(様子を見る限り虐められてるという訳でもないしな。)


昼休みの時間に入り、ダメ元で一緒にご飯をと誘ってみたが、お断りしますの一言で栗原葵は去っていった。


「松前くんって葵ちゃんに何であんなに積極的に話しかけてるの?」


予想通りの結果に落ち込んでいると安藤さんが話しかけてきた。


「せっかく転校してきたから、このクラスの全員と仲良くなりたいんだ。」


「そうなんだ…。じゃあさ!まず私と仲良くなるために私の事は名前で呼んでよ。」


「え、そんな急に。」


「私の名字なんか男っぽいというか!あんまし好きじゃないの!ね!?」


目を輝かせてグイグイと来る安藤さんの頼みを断りきれず

俺はそれを了承した。


「は、颯くん!じゃあ早速仲良くなれた記念に連絡先を交換しませんか?」


「うん。いいよ。咲ちゃん」


「咲ちゃんか…えへへ…やった!」


咲ちゃんは嬉しそうに携帯の画面を見てニヤニヤしながら、

その場から去っていった。


クラスの人気者の咲ちゃんと仲良くしておけば、今後クラスで立ち回りやすくなる。


「咲とは交換して、私とは交換してくれないの?」


「そんなことないよ。宮村さんも是非!」


「私のことは下の名前で呼ばないんだ?咲は特別なんだー?」


あの引っ込み思案だった弥生が、ニヤニヤしながらからかってくる。何だかこの感じ懐かしく思えた。

そう生まれ変わる前の性格の弥生だ。


天使に一度質問したことがある。弥生の性格が違うと

でも今なら分かる。今の弥生は俺がいなくなったことで成長した結果なのかもしれない。



「わかったよ。弥生。」


「へ…あの咲にはちゃん付けなのに、何で私は呼び捨て…」


「あ、ご、ごめん…。嫌だった?」


「ううん、嫌じゃないよ。何か私の昔の知り合いに呼ばれたみたいでびっくりしただけ。」


「そ、そうなんだ。そんなに似てるだ俺と」


「うーん、顔は似てないんだけど、雰囲気がどことなくね…。」


「そう言えば弥生はクラス委員だったと思うけど、栗原さんとは話したことある?」


「んーいちおはあるけどね…」


「俺が話しかけても素っ気なくてさ、せっかくだから仲良くしたいと思ってさ」


「やめときなよ!!」


弥生は突然すごい剣幕で声を張り上げる。

俺のどの発言が気に障ったのか全く見当がつかず、狼狽えてしまう。


「え、なんで…?!」


「あ、ごめん…。栗原さんも話しかけられたくないみたいだし、そっとしてあげるのがいいと思うな…。私ちょっとお手洗いに行ってくるね…。」


そう言うと弥生は教室から出て行った。何があったのかとクラスメイトの視線が俺に突き刺さるが、俺も全く分からない。


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