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安藤咲の問題②


USBを暫くして抜き取り、体育館に戻ろうとした時、外から話し声が聞こえる。

俺は咄嗟に部屋のロッカーの中に隠れると、岩野と安藤さんが入ってきた。


「それで話ってのはなんだ。」


「もう怪我は治りました…試合に出して貰えないでしょうか…。」


「いいか。怪我は治ったかもしれないが、怪我の影響からか、全然3pの成功率も低いのはわかってるよな?そしてスカウトしてきた一年の並木がいる。」


「私には武器のドライブがあります!」


「外がなく、ドライブしかないと分かったら簡単に止められる。高校バスケはそんなに甘くはないぞ。今は無理せず怪我を治して、感覚を取り戻すことに集中しろ。」


「くっ…私は将来やるために結果が必要なんです!私は頭も悪いし、家もお金がないからスポーツ特待生になるしかないんです!レギュラー落ちの選手なんて…」


安藤さんがうなだれて、涙が地面に落ちているのが見える。でもスポーツは実力の世界だ。岩野の言うことは正論だろう。


暫く沈黙が流れるが、岩野が安藤さんを舐め回すように見た後、言葉を発する。


「そこまで言うんなら考えなくもない」


「本当ですか!?」


安藤さんは嬉しそうに顔を上げる。岩野はそれをニヤついて見ている。


「ああ、ただ俺もお前を推薦するのに俺も無理をするわけだからな。お前も代わりに俺のお願いを聞いてくれるか?」


「はい!何でもやります!」


「じゃあ俺の言う通りに一一」


岩野が何か言いかけたタイミングで部屋にノックの音が響き渡った。

コーチが岩野を呼びにきたようだった。

二人が部屋を出た後に、俺も部屋を後にした。


あの口ぶりからやはり、安藤さんを脅そうとしてきたか。とりあえず早急にデータを調べて、対処しないと。俺は携帯を取り出し、花火に電話をかける。


「花火、データは確保した。急いでそっちに戻るからすぐ解析を頼む。」


「戻って来なくていいすよ。暁が回収に向かってるっす。社長は安藤咲についててください。盗聴器の音声私も聞いてましたが、安藤咲が被害に遭う可能性が高いっす。」


「わかった。助かる。」


俺は電話を切ると、暁にデータの受け渡し場所を伝えようと連絡をしようとする。


「社長お待たせしました。」


「!?来るの早くないか?」


連絡をしようとした暁がいつの間にか後ろにいて俺は思わず驚いて声を上げる。


「私は社長の一番の側近ですので、一番に駆けつけます。」


「そうか…それでどうしたんだその格好は?」


「この学校の制服です。社長と同級生の気分を味わいたかったなんてことはなく、怪しまれないように変装しました。」


「そうか…そうだ!これがデータだ。急いで花火の元へ行ってくれ」


「かしこまりました。颯くん」


「何で名前で呼ぶんだ…。普段は社長なのに。」


「それは私と社長が今は相思相愛で周りの誰もが認めるカップルという設定だからです。本当は涼介くんとお呼びしたいところではありますが」


暁は相変わらず無表情で全く感情が読めない。彼女曰く彼女の親が殺された時に感情を失ってしまったらしく、それを治すためには好きな人の口づけが必要だったり、どこかに心の氷を溶かしてくれる王子様はいないかなと会うたびに言ってくる。本当に不思議な子だ。


「さて冗談は置いといて、急いで花火のところに戻ります。社長もお気をつけて」


「ああ、有難う。お前も気をつけてな。」


俺は暁と別れた後、体育館に戻る。

トイレに行くと言った手前、早く帰らないと。


「おかえり。松前くん。」


「宮村さん。待たせちゃったね。」


「気にしないで、お腹が痛いのはしょうがないよ。」


「あれ、安藤さんの姿が見えないみたいだけど」


「何か監督の人と一緒に体育館出て行ったきり、まだ戻ってないね。」


「それ本当!?」


先程、コーチが入ってきて、二人は体育館に戻ったはずなのに何で…。

考えていると急に着信が鳴り、携帯を見ると、花火からだった。


「ごめん、ちょっと電話してくるね。」


「うん。待ってるね。」


弥生に断りを入れて、俺は体育館を離れ、電話に出る。


「どうした?花火何か分かったか?」


「社長。あの男、黒も黒ですよ。出るわ出るわ。被害者の女の子の画像が。あんなものを学校に持ってくるとは馬鹿っすね。まあ黒って分かったことですし、やってちゃってくださいっす。」


「ああ。解析し終わったばかりで悪いんだが、岩野の今の場所がわかるか?」


「全く社長は人使いが荒いっすね。でもそう言うSなところも私のストライクゾーンど真ん中っす。」


「いいから、早めに頼む。」


岩野には鞄の奥に盗聴器を仕掛けたが、ついでにGPSで追えるようにもしていた。

これで行方を追えるはず。


「社長場所が分かりました。データを送りますので確認お願いしますっす。」


貰ったデータを見ると、岩野の自宅とは反対方向に猛スピードで移動している。このスピードは車か。一体どこに向かうつもりなんだ。

安藤さんに何かある前に助けないと一一



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