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学校への潜入調査②

「松前くん宜しくね。私宮村弥生だよ。」


(え、弥生?!)


調査が足りないぞ、花火のやつ…。

とりあえず顔も変えてる今の俺には気付かない。出来るだけ平静を装わないと


「宮村さん。初めまして。色々迷惑かけちゃうかもだけど、宜しくね。」


「…。」


挨拶をすると、弥生が俺の顔をじーっと見て、止まってしまっている。まさか気付かれたのか。


「ど、どうかした?」


「いや、何か声色とか雰囲気とかが私の知り合いに似てて」


「そ…そんなに似てるんだ?」


「うん…ごめんね!急に変なこと言って、忘れて!」


確かに顔は変えても、声帯までは弄れないからな。それにしても勘が鋭い。今後バレないように気を付けないと


(もう弥生を巻き込みたくない)


一一一一一


昼休みに入ると、俺は転校生の特権なのか、周りをクラスメイトに囲まれていた。

その輪の中に勿論、栗原の双子の妹の葵はいない。


クラスでも孤立しているようだな。どうやって近づこうか。急に転校生が近付いたら迷惑だろうし、まあ先に岩野の件を片付けないといけないし、ゆっくりやっていこう。


「そう言えば噂で聞いたんだけど、ここのバスケ部って全国出るぐらい強いんだよね?」


俺は岩野のことを探るため、近くにいたツインテールの女子生徒に声をかけた。


「うん!男女両方全国に出てるし、相当レベル高いみたい。バスケ部に入るつもりなの?」


「そうだね。こんな時期だから、そんな活動はできないけど、全国に出るぐらいの学校の先生の指導受けてみたいなって」


「それだったら、咲に話つけてもらいなよ。うちの女子バスケ部のエースだからさ!おーい咲ー!」


俺が話しかけた女の子が手を上げて、咲という女の子を呼んでいる。現バスケ部のエースの安藤咲。花火がくれた資料に名前があったな。U18の代表選手としても活躍している有望選手だ。


「もうそんな叫ばなくても聞こえてるつーの!私になんか用?あれ転校生くんじゃん。」


「颯くん!バスケ部に興味があるんだって!」


「うちのバスケ部強豪で入部テストとかもあるからなぁ。後、三年からは入れないかも…」


安藤さんは申し訳なさそうな顔をしながら、頭を下げた。

ただ今回はあくまで調査目的のためだ。入部するつもりはない。


「いや、入るつもりはないんだ。この時期に入っても迷惑をかけるだろうし、強豪校の練習に興味があって、見学できないのかなって…ダメかな?」


「ダメじゃないよ!そういうことなら、私からみんなに話通しておくよ!早速今日の放課後に見にくる?」


「ありがとう!お願いするよ!」


これで岩野の調査が自然に出来るようになった。転校生の見慣れない顔が嗅ぎ回ってるとなると、怪しんでみんな教えてくれないからな。


一一一一


「咲から頼まれたから、私が体育館まで案内するね!」


授業が終わり、放課後になると、隣の席の弥生が俺に声を掛けてきた。

部活の準備などがあるため、安藤さんは先に行ってるとのことだった。

先程、声で俺が高原涼介だとバレそうになったから、気をつけないといけない。


体育館に着くと、もう既に練習が始まっていた。名門校のため、かなりの大所帯だ。そして何人か留学生がいる。今のバスケ部の強豪校はコンゴなどから身体能力の高い黒人留学生を入れてるチームがほとんどだ。


安藤咲はそんな黒人留学生のブロックにも負けず、空中で交わし、立て続けにシュートを決めていた。


「凄いね。安藤さん。」


「咲は凄いよ!高校卒業後は強豪の有名な大学から声もかけられてるし、プロ入り確実って言われてるし…」


「ん?どうしたの?」


「んっと、咲最近元気ないんだよね…。たまに暗い顔も多くなって何か悩みでもあるのかなって…」


「そうなんだ…。そういう問題って突っ込んで聞けないしね」


安藤咲も岩野の被害者の可能性があるのか、花火の資料だと、安藤咲が岩野と部活以外で接触しているとの情報は入ってないが、ただ監督という立場を利用して、やりたい放題しているクズだ。これから被害者になる可能性は十二分にある。

私情を挟みたくはないが、これ以上弥生の悲しい顔は見たくない。弥生の友達をどうにか救ってあげたい。


「でも私はもう後悔はしたくないから、咲がもし、苦しんでるなら嫌がられても救ってあげたい。」


それは恐らく俺のことを言っているのだろう。悲しい顔は見たくないと言ってる俺が一番悲しませている。

弥生のせいじゃないとこの場で言いたかった。高原涼介は俺だと。


「俺も何か出来るなら手伝うよ。隣の席になった縁だしね」


「うん、ありがとう。その時は相談するね。何か不思議だな。私って結構人見知りなんだけど、松前くんって昔の知り合いみたいに安心して喋れるよ。」


「昔の知り合いに似てるって言ってたもんね。どんな人だったの?」


「うーん、意地悪でええ格好しいで何か悩みとかあっても何も話してくれない頑固な人だった。私に何も言わないでいなくなっちゃうし、本当におたんこなすでしょうがない人」


(何か酷評されてる…。)


「でも優しくて、今でもずっと大好きで忘れられないんだよね…。」


「何か照れるな…。」


「何で松前君が照れてるのよ。」


弥生が口に手を当てて、笑っている。全てが終わったら、もう一度会って、ちゃんと謝るから、その時に君がもし俺を待っていてくれるなら俺は…

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