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人はそう簡単には変わらない。

「由美、楠木今日は頼んだぞ」


「はい!陛下!」


「あんたいつの間に名前で呼び合う仲に」


「ふっふっふ!羨ましいか!忠誠度の違いだな!」


「いや、別に羨ましくないから。」


俺は雪ちゃんと子分2人を見送った後、俺は一旦家に帰ることにした。

雪ちゃんの問題を解決するために色々準備をしておかないと


家に帰ると、家の前に弥生とえりかが立っていた。


「どうした?二人で何か用か?」


「今日三人で遊ぶ約束してたでしょ!あんたいつまでも来ないから心配してこっちから来たのよ!」


「あ、ごめん。ちょっと急用が出来ちゃって…連絡出来なくてごめんな。今度埋め合わせするから!」


「あんたこそこそ滝川や田中たちとなにしてんの?」



「いや、滝川さんがちょっと困ってて、田中たちと協力して、助けてあげてるんだ。」


「なんであんたが関係ないじゃん」


「クラスメイトのピンチなんだ。助けてやらないと」


「…私は反対。あいつのこと嫌い」


「何を根拠に言ってるんだよ。」


「勘!」


「勘かよ…。ごめん。ちょっと忙しいんだ。また埋め合わせするからさ。」


「私たちも手伝えないかな?」


田中と楠木もいるし、これ以上雪ちゃんのデリケートな問題を俺が勝手に流すのは彼女を傷つけることになる。


「ごめん。気持ちは嬉しいんだけど、あんまり部外者に広めて良い話じゃないんだ。」


「そ、そうだよね。私なんかじゃ役に立たないよね…。」


「部外者ってあんたね!」


「いいの!えりかちゃん。涼介くん忙しそうだし行こ!」


弥生はえりかの手を引っ張って走っていった。

これは雪ちゃんのためだけじゃない。弥生のためにもなるんだ。今は理解しなくてもいい。後できっとわかってくれる。



「陛下!今大丈夫ですか?滝川の携帯に何回も連絡が入ってて、あんまり伸ばすと楠木の家に泊まると行ってる手前、家族に迷惑かかっちゃうんでこれ以上は…」


「そうだな。由美と楠木にも手伝ってほしい。滝川さんの親に会いにいくぞ」


俺は雪ちゃんたちと合流すると、予め雪ちゃんには許可を取り、田中たちに事のいきさつを話した。


「許せねぇ何て兄貴だ!」


「俺一人じゃ男だし、警戒もされる。それに数は力だ。滝川さんの両親の考えを改めさせるのにもお前らが必要だ。」


「陛下。勿体なき御言葉。」


「みんなありがとう…。私に力を貸して。」


雪ちゃんが家のドアを開けると、お母さんが待ち構えていて、雪ちゃんの頬を思い切り引っ叩いた。


「楠木さんの親御さんに確認したわ!泊まってないって、あんた親に嘘ついて今までどこ行ってたの!?」


最悪の展開だ。兄の事ばかりで娘には無関心とばかり思っていたが、少し予想外だな。


「何に怒ってるの?私のことなんてどうでもいいくせに…」


「そんなわけないでしょ!私はあなたの親なのよ!」


「じゃあ何で助 見て見ぬふりをしてるの?私がお兄ちゃんに何されてるか知ってるよね?」


「そ、それは誤解よ。お兄ちゃんはあなたが可愛くてスキンシップが過剰になっちゃってるだけ。兄妹なら普通じゃないの。ちょっと自意識過剰なんじゃない?」


確かにこんな親なら兄も妹も性格が歪むのは当然だろう。この親の言葉を聞いているとぶん殴ってやりたくなる。それは由美と楠木も同じなのか二人とも怒りが隠せない様子だった。


「そうやって兄貴のことばっか庇って妹の方は大事じゃないのか!」


「娘をを大切にしろ!」


「これは家族の問題です!あなたたちにな関係ない!」


由美たちの口撃に怒ったのか、

雪ちゃんのお母さんは、雪ちゃんの手を引っ張り、無理やり家に入れようとした。

田中と楠木はその手を掴み、雪ちゃんを引っ張り返す。


「ええ、この問題に僕たちは無関係です。」


「陛下なにを!?」


「そっちの子は話がわかるようね!そう無関係何だから帰りなさい!これ以上しつこくするんなら警察を呼ぶわよ!」


「でも、その無関係な僕たちに助けを求めるほど、雪さんは追い詰められていたんですよ。関係のある貴方は何をしてるんだ!」


「わ、私だって、主人が出張でいない中頑張ってきたのよ!中学に上がったばかりの雪と気に入らないことがあるとすぐ暴力を振るう雄太を育てていくのがどれだけ大変だったか…」


「そんな大変な思いをしてまで育てあげた娘さんを悲しませてどうするんです!!」


「っ!?じゃあいったいどうすればいいのよ…。あの子はもう私じゃ手をつけられない…。」


雪ちゃんのお母さんは倒れ込むように地面に座り込んだ。


「旦那さんに相談はしたんですか?」


「したけど、俺は仕事で忙しいからって、家庭のことはお前でどうにかしろって…」


「ならお兄さんの事は僕に任せてください。」


「中学生のあなたになにができるの?」


「まあダメ元で任せて下さい。」


一一一一一一一一



「くそ、ババア勝手に入ってくんじゃねぇよ!雪も帰ってこねぇしよ…。おい無視す…グファッ!?」


雪ちゃんの兄貴が振り向く前に俺は兄貴の顔面を蹴り飛ばした。

衝撃で本棚にぶつかり、無数の本が兄貴の体に落ちてゆく。


「て、テメェ誰だ!や、やめろ!なんでこんなことを!?」


相当痛かったのか、鼻血と鼻水が混ざった液体を垂らしながら、手で顔を必死に抑えている。


「お前実の妹に何をしてるかわかってるのか?」


俺は兄貴の肩を足で踏みつけ、壁に押さえつける。


「ゆ、雪の友達か!?ただのスキンシップだよ。ご、誤解なんだ!?アイツと俺は仲が良いんだ。ババアに聞けばわかる!」


人は過ちを繰り返す。こいつには謝罪の言葉すらない。それ相応の痛みを与えなければ、こいつは今やらないと言っても、絶対に繰り返すだろう。だから一一一


「グフッ!!!!やめ、やめてくれ!」


こいつには痛みを与えよう。手も足も指の骨を全部折って、腕や足の骨も折ってあげよう。一本一本折ってやっていって、ようやくこの豚は反省するだろう。


指の骨を2本折ったところで、豚はもうギブアップしてきた。

早すぎる。人には散々痛みを与えておいて、こんなにも貧弱なんて…。


「いいか、よく聞け。今後妹さんに手を出してみろ。殺してやるからな?」


「わ、わかりまじた…。もうやりません…。」


一一一一一


「とりあえず解決しました。妹さんにはもう手を出さないように誓わせたんで」


「さすが陛下!!」


「…本当に有難う高原くん。でも本当に大丈夫かな…。」


「もしまた何かされそうになったときは、俺をまた呼んでくれ。そのときは責任を持って守るからさ!」


「とりあえず今日の今日はまだ家にいるのは怖いから、あの家に泊まるね…」


「それは構わないよ。」


お母さんが雪ちゃんの兄貴に肩を貸して家から出てきた。


「高原さん…なにもこんなになるまで…」


「い、いいんだ母さん…。俺が悪い…。」


お母さんは俺に非難の目を向けてきたが、兄貴の方が怯えた様子で震えながら、それを静止した。


「どこかに行くんですか?」


「病院に行きます…。こんなんでも私の息子ですから…。」


お母さんはそのまま兄貴を車に乗せ、その場を走り去っていた。


「何なんだあの母親!本当に反省してんのか!?」


「まあ俺もやり過ぎちゃったし…。」


「高原くん改めて言うね。本当に有難う。私が出来ることなら何でもするから」


「じゃあ俺が何か困った時があったら、助けてもらう。」


「うん、わかった。絶対助けるね…。」


俺は雪ちゃんを由美や楠木たちに任せて、今日の所は帰ることにした。

えりかめっちゃ怒ってたしな。今日電話で二人には再度謝っとかないと…。


それにしても何だか騒がしいな。人だかりも出来てるし、大きい交差点に差し掛かった所で、救急車やパトカーが何台も止まっている。


野次馬根性で何があったのか人混みを塗って、見てみるとそこにはさっき見たばかりの雪ちゃんの家の車があった。トラックと事故にあったようで、車は半壊し、みるも無残な姿になっている。


「う、嘘だろ…。」


一一一一一一一



「滝川お前なんか嬉しそうだな?」


「まあね。今日色んなことが片付いたからさ」


昨日までの憂鬱な表情が嘘のように、満面の笑みで鼻歌を歌いながら滝川雪は答えた。


「でも大丈夫かな?あの母親と兄貴…。正直お前にまた何かないかって不安だよ…。」


「ふふ。大丈夫だよ!ぜぇーんぶ私の思い通りになったから!」


鳴り響くサイレンの音に合わせるかのように滝川雪はスキップをしながら踊り出す。



人はそう簡単には変わらない。




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