イベントの影響
いつもより早くかけた!褒めて!(何言ってんだこいつ…)
第一回イベントが終了し、まだ終わっていなかったソロの部の感染やら黄金平原のみんなで打ち上げしたりといろいろな出来事があったが、それらを終えた次の日。イベントでの出来事を振り返りながら朝ご飯を食べ終えた俺は、学校行く準備を整えると家を出たのだが、そこで珍しい人物を発見する。
「こんな時間から二人してどうしたんだ、歩、彩音?」
家の前に立っていたのは幼馴染の二人であった。小学校の頃は一緒に登校していたが、中学に上がり時が経つにつれてその機会は減っていった。そのためこうして三人が朝から揃うのはかなり久しぶりのことである。
「学校に行ってからでもよかったんだが、このほうが早く話せるからな」
「とりあえず昨日は優勝おめでとー!」
進藤が俺を待っていた理由を答える。若干理由になっていないような気もするが、単純に昨日のイベントについて話したかったのだろう。それに続いて白石が「どんどんパフパフー!」なんて言いながら少し高めのテンションで俺の優勝を祝ってくれる。
「朝から元気だな…」
「そういいつつも内心テンション上がってるでしょ?」
「否定はしない」
呆れたように俺は呟いたのだが、流石というべきか幼馴染なだけあって俺の心は見透かされているようだ。見た目はいつも通りだが、昨日のバットゥー侍との闘いを思い出してはにやけそうになるのを必死にこらえているのが実情だ。
「うまく隠してるつもりだったんだけどなぁ…」
「ふっふっふ、私にはお見通しなのだ」
「おみそれしましたー」
「おーい、話すのもいいがさっさと行こうぜ。遅刻するぞ」
俺と白石で適当なノリの会話を繰り広げていたのだが、進藤の言葉を聞いて歩き始める。いつも余裕ができるように家を出ているのだが、あんまりのんびり話している余裕がないのも事実である。白石と進藤の二人は、大抵俺よりも先に学校にいるので今日はわざわざ時間を合わせてくれたのだろう。
「そう言えばあれは何だよ、あれは!」
「あれ?あれってどれ?」
「敵の攻撃弾いてたやつだよ、あれってパリイだよな。普通はあんなに成功しないって聞いたんだけど」
「やってみたらできたとしか言えないかな…あとは今までの死にゲーの経験値だな」
進藤の質問に答えながら二人には俺のビルドを話していなかったことを思い出す。ついでに自分のビルドについて詳しく説明しておく。
「それ話してもよかったの?」
「聞かれても対策できるもんでもないし、昨日あれだけ暴れた時点で気にするだけ無駄だしな。それに一緒にやるときに説明するのもめんどくさい」
「お前それ後半のほうが本音だろ」
こうして話を続けていくと自然と話題は昨日のイベントのこととなっていく。
「ギルドの部は黄金平原が優勝だったけど、ソロの部は誰が勝ったんだ?ギルドの部が終わってすぐ寝たから知らないんだけど」
「えーっとね、勝ったのはギルバートって人だったよ。拳で戦ってたんだけどものすごく強かったんだー」
「へー、悠斗は知ってるプレイヤーなのか?」
「いや、全く。俺の知り合いは大抵旅団所属だしな。多分新規で始めた人だと思うぞ」
今の話を聞いて昨日見たものを思い出す。ギルドの部が終わりソロの部を観戦していると、一人だけ明らかに目立つ人物がいた。周りが武器や魔法を使う中で拳で戦い浮いていたというのもあるが、圧倒的な強さで生き残りソロの部の賭けは相当荒れたそうな。ちなみに戦闘スタイルとしては敵の攻撃を避けてからのカウンター。見ていた時間は短かったが、同族のにおいを感じたプレイヤーでもある。そのことを二人に話してみたのだが…
「お前みたいなのがまだいるのか…」
「どおりで強いはずだよねー」
「お前らの俺の印象どうなってんの?」
思わず聞いてしまったが答えは聞かないほうがいいだろう。藪蛇でしかない気がする。
そうこうしている間に学校へと着き、それぞれの席で友達と話し始める。授業を受け終わり放課後になると再び話しながら帰る。話題は様々。このお菓子がおいしかっただとか、友達の話だとかのただの会話。もう少しで三人が分かれるというところでゲームの話へと移る。
「あれだけ強いんだったら一緒に遊べるよね!」
「そうだな、無理だなんて言わないよな?」
そんな俺の意見を無視した決めつけにより三人で遊ぶことが決定した。次の休みの日に一緒にプレイしてタナクスより西へ向かった先、砂漠が広がっているらしいのだが、二人もまだ攻略していないためそこを行こうということらしい。ちなみに俺はまだ砂漠にたどり着いていないわけだが…
「「悠斗(君)なら大丈夫でしょ」」
と、息をそろえて答えられた。何が大丈夫なんだろうか…
そのため二人と別れた後、いつものように『アナオン』へとログインしたのだが、いつもは行き当たりばったりの予定が今日は決まっていた。
「砂漠の手前まで進めないとな…」
小さく呟きながらもタナクスの西側へと向けて歩みを進めていたのだが、後ろから呼び止められる。
「あの!レインさんですよね!」
その声に振り向くとそこにいたのは見知らぬ人族の女性二人。自分の記憶を振り返っても前作の知り合いというわけでもないし、今作からの知り合いはかなり少ない。それは間違いない。
「えっと…そうですけど何か?」
俺の困惑を感じ取ったのか二人のプレイヤーがPNを教えてくれる。PNを聞いても聞き覚えはなく知り合いというわけではないだろう。ますます声をかけられた理由がわからなくなり、頭に「?」を浮かべていると、二人から再び声をかけられる。
「あ、あの応援してます!」
「あ、ありがとう…ございます…?」
「あっ、握手してもらってもいいですか?」
「俺なんかでよければ…」
訳が分からないながらもとりあえず丁寧に対応する。昨日のイベントで顔は広まってるし最初に名前で呼ばれたことからも向こうの勘違いではないと思われる。握手をしたことで満足したのか二人のプレイヤーは感謝を述べると立ち去って行った。本当に何だったのだろう…
先ほどの二人のプレイヤーの行動と心なしか多い気がする周りの視線の理由を考えながら再び歩みを進める。タナクスの出口までたどり着いても答えは分からなかった。
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タナクスの西側から出た先にある『ゴレム山』と呼ばれる岩山に乗り込み、ボスにたどり着くことこそ出来なかったもののポップする敵の情報を得た俺は一度タナクスへと戻ってきていた。そこで偶然ルークに会い、今日あった出来事を話したのだが…
「ということがあったんだけど…」
「…なるほど、流石はレインだね」
何かを納得したらしいレインに褒められるが、相変わらず理解していない俺は首をかしげる。
「まあ分かってないよね…しょうがない、教えてあげよう」
「うっす、お願いしまっす」
「昨日レインはバットゥー侍さんと戦ってたよね?」
ルークの言葉に悩むことなく頷く。俺のプレイ史上上位を争うバトルだ、忘れるはずもない。
「ほんと、既存のスキルは教えたとはいえよく勝てたよね。僕も驚きだったよ。それにあの『修羅顕現』とかいうスキルもかなりやばいしね」
「そんなにやばかったのか?」
ルークの言葉から察するにスキルの効果を聞いたのだろう、少しだけ気になったので聞いてみるとあっさりと教えてくれた。バットゥー侍自身がもう公の場で出した以上隠す気がないらしい。
ルークから聞いた『修羅顕現』の効果はこれだ。
・自身にかけられたバフ、デバフを解除し、自身の体力を1にする
・修羅顕現の効果中、バフ、デバフがかからなくなり(修羅顕現のバフは除く)、回復もできなくなる
・ステータスの大幅アップ&スタミナ回復速度が上昇
・特殊スキル『修羅の舞』の使用が可能になる
・自身の行動によるスタミナ消費を0にする
・スキルの効果は3分で終了する
「スタミナ消費0はチートだろ」
『修羅顕現』の効果を聞いた瞬間の第一声がこれであった。
「確かに壊れスキルではあるけど反動はちょっと重いかな。普通ならまともに使いこなせないよ」
「まあ体力1固定はきついな。だから勝てたんだし」
俺も戦っているときにダメージエフェクトが弾けたことから、自傷スキルとは分かったもののどれだけ体力が減っているか分からなかった。だからこそ最後の一撃はただの運任せであった。ただの突きで削りきれるような体力でなければ負けていたのは俺であった。
「っと、かなり脱線しちゃったね。話を元に戻すと君は最強格の一人であるバットゥー侍さんを倒したわけだ。それもパリイビルドという誰も使っていないものでね」
前半はまだしも後半のパリイビルドは関係あるのか、そんな疑問が顔に出ていたのだろう、ルークは止まることなく続ける。
「前作プレイヤーからすれば『レインだから』のひとことで解決するんだけど、今作から始めた人からすればレインは魅せプをしている変態だからね、ファンが出来てもおかしくないよ」
「えぇ…」
ルークの口から明かされた真実に思わず困惑の声が漏れる。
「ガル爺に仮面でも作ってもらおうかな?」
「そのほうがいいかもね。すぐに収まるとは思うけど、しばらくは続くだろうし。…まあレインの場合…いややっぱり何でもない」
「ちょっ、最後のところがものすごく気になるんだけど!?」
俺の様子を見ながらルークはカラカラと笑っていた。
書いてて思うんですけど毎日投稿とかしてる人ってすごいですよね…
蚊取り閃光にはできる気がしません。なんせゲームしてれば一日が終わってますからね…




