第一回イベント その10
結局今までと同じくらいのぺース…
いきなりだが、もし1対1対1という状況に陥った時、どうするのが正解となるだろうか。時と場合によるといってしまえばそれまでだが、まずそのまま戦うという選択肢はないだろう。片方を相手している間にもう片方に後ろから刺されるなんてこともあり得るし、それを警戒しすぎると目の前の相手への警戒がおろそかになり普通に負けるなんてこともあり得る。そんな状態になれば警戒し続けなければいけないから心も疲れるしかなり面倒だ。だからこそ先に二人に潰し合わせてそれを後ろから狙う、それができるのならベストと考えるのだが、しかしできない場合はどうするのか。
思いつくものとしては無理やり1対1の状況に持っていく、つまり一人を真っ先に潰して1対1の状況を作り出すのだ。もちろん一気に倒せなければ自分の面倒な状況になる可能性もあるため、必ずしも正解とは言えないだろう。しかし三人の中で明らかに弱い者がいればどうだろうか。長々と考えていたがつまり何が言いたいかというと…
俺と睨みあっていたバットゥー侍とカリバーが同時にこちらに向けて飛び出してくる。三人の中で一番レベルが低く、このゲームを始めてまだそれほど経っていない俺を潰すために。先に俺へと攻撃を仕掛けてきたのはバットゥー侍。走るその勢いのまま刀の切っ先を首めがけて突き刺してくる。俺はそれを大げさに体を傾けることで回避すると少し無理な体勢のまま短刀を振るう。もちろん体勢が悪いためたいして力が入っていない牽制の一撃のため軽く防がれるが、攻撃を防いだことによって追撃は来ずに相手の間合いから脱出するとに成功する。
しかし、息をつかせぬように俺のいる場所に向けて左手で盾を構えながらカリバーが走りこんでくる。間合いに入ると右手に持つ剣を袈裟懸けに振り下ろす。俺はその攻撃を相手の右手側に向けて回避すると同じように攻撃を繰り出す。しかし先ほどとは違い当てるための一撃、カリバーに向けて繰り出された切っ先は刺さる前に左手の盾に割り込まれ防がれる。俺の攻撃をそのまま無理やり盾で押し返すと今度は剣による鋭い突きが飛んでくる。何とか体をひねり回避しようとするが腕の部分を少しかすめダメージエフェクトが弾け、少しだけ体力が削れる。
「シールドバッシュ!」
何とか突きを回避した俺に向けてスキルによる盾殴りが飛んでくる。迫りくる盾に向けて俺は短刀を振るいパリイを成功させるが、盾の勢いに負けて俺の体は無理やり後ろに下げられる。そして、俺を弾き飛ばしたカリバーの背中を狙ってバットゥー侍が走り込み攻撃を放つ。
「竜の旋律!」
バットゥー侍の攻撃に対し、カリバーは瞬間的に振り向きながら刀による五連撃をすべて盾で防ぎきると、スキルの硬直隙を狙って剣を振るう。その一撃は硬直隙を脱したバットゥー侍がギリギリで刀を割り込ませ受け止められる。
このタイミングで俺も動き出し、スキルを使いいくつかの攻撃を受け止めたことでスタミナが少なくなっているであろうカリバーを狙ってスキルを発動させる。
「致命の一撃!」
「ラウンドテンペスト!」
狙われていたカリバーはスキルを発動させると右手に持つ剣を振るって一回転する。その攻撃をはじめに受け止めたバットゥー侍は後ろに下げられ、同じく攻撃を受けた俺も致命の一撃を無効化されたうえで後ろに下げられる。そしてそんな俺たちを追撃するようにラウンドテンペストによって発生した風の刃が無差別に襲い掛かる。風の刃を回避した俺は一度立ち止まってスタミナを回復させる。三人の距離が離れたことで再び膠着状態に陥ったため、ほかの二人も同様に立ち止まりスタミナを回復させつつ互いの隙を伺っている。その時…
「団長!」
俺たちから少し離れた位置から声が聞こえた。その方向を見ると三人のプレイヤーが見える。恰好からして『騎士団』の旅団メンバーと見ていいだろう。そして、恐らく『武士道』の旅団メンバーと争い勝ち残ったのだと思われる。
「我々も加勢します」
『騎士団』の旅団メンバーが俺たち三人の戦いに加勢しようとするが、同時に俺たちに向けて近づいてくる光点が確認される。間違いなく漁夫を狙ってきた新たなパーティだ。そして光点が向かってくる位置からして最初に飲み込まれるのは俺である。
「やれー!トップ旅団を潰すぞ!」
新しく現れたパーティは、まず初めに一番近くにいる俺に向けて進軍してくる。そして同時にバットゥー侍とカリバー、『騎士団』の生き残りも加わり乱戦が始まる。
最初に俺を狙って突出したプレイヤーの攻撃を弾き、そのプレイヤーを援護するように飛んできた弓矢を躱す。そして、一気に殲滅するために魔法を発動させた相手の集団に向かってあえて突っ込む。こうすることで仲間に当たることを危惧して、俺に魔法を飛んでくることはなくなるからだ。発動された魔法はカリバーと『騎士団』の生き残りを狙って発動され、多数の炎の玉が向かっていく。
「AYA!」
カリバーが団員の一人の名前を呼ぶと、その団員が魔法を発動させ仲間を守るように光の盾が形成される。光の盾に炎の玉が着弾すると爆発を起こし煙を巻き上げる。その煙に紛れてバットゥー侍が漁夫のパーティの側面から切り込んでいく。そして煙が落ち着くと『騎士団』の人たちも正面から漁夫のパーティと衝突する。かくいう俺も魔法を回避するために潜り込んでから、殺陣のような動きで相手を翻弄している。
「閃撃!」
相手の攻撃を回避、弾いていると目の前にバットゥー侍が飛び込んできてスキルを放ってくる。首を切るように狙われたその一撃を上半身を反らすように回避し、そのままバク転しながら蹴り上げるが躱される。そしてバットゥー侍を狙って一人のプレイヤーが近づくが、間合いに入った瞬間に刀で切られ光となって消える。あっという間に一人倒したバットゥー侍は再び俺を狙うように刀を鞘に納め居合の体勢を取る。それに対し俺は攻撃を仕掛けてきた別のプレイヤーの攻撃を逸らして相手の後ろに回り込むと、その背中をバットゥー侍に向けて蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたプレイヤーはたたらを踏みながらバットゥー侍に近づき、間合いに入ったと思った瞬間、刀の一閃が走ったかと思うとプレイヤーが3回のダメージエフェクトを弾けさせながら光と消えた。
「恐ろしく速い居合、俺でなきゃ…あっぶね!」
プレイヤーの一人が消えるさまを観察していたら、再びバットゥー侍が居合の体勢を取り距離を一気に詰めて切りかかってきた。何とかその一撃を短刀を割り込ませて防ぐと無理やり押し返し、カリバーのいる方向へと逃げだす。走って来る俺に気づいたカリバーは迎え撃つように剣を振るうが、俺はそれを飛び越えるようにジャンプする。そして、カリバーの隙を狙うようにバットゥー侍が距離を詰めて居合切りを放つ。その一撃はカリバーを倒すことこそできなかったものの、かなりの大ダメージを与えることに成功する。カリバーを飛び越えた俺はその背中を狙おうとするが『騎士団』のメンバーに邪魔される。気づけばこの場にいるプレイヤーもかなり減っており、残すは俺とバットゥー侍、カリバーと『騎士団』の一人、漁夫のパーティは2人となっていた。
「バイティングエッジ!」
「グランドブレイク!」
俺の前に立つ『騎士団』のプレイヤーと背後に立つ漁夫のパーティの一人が同時にスキルを放つ。挟まれた俺は、振り返ると後ろのプレイヤーとの距離を詰めて単発の振り下ろし攻撃を回避すると、すれ違いざまに急所を突き刺す。もともと体力が減っていたらしく、この一撃で光となってプレイヤーが消える。そして、スキルを当てるために距離を詰めて近づいてきた『騎士団』のプレイヤーの二連撃を両方弾くと致命の一撃させ、確実に削りきる。同時にバットゥー侍の戦いも終わったらしくカリバーの姿が光となって消える。漁夫のパーティの残り一人はどうやら逃げたらしい。光点が離れていくのが見える。
(はぁー、バットゥーさんかぁ。できればやり合いたくないんだけどな…強いし、めんどくさいし…)
心の中でそんなことを考えながらも覚悟を決め、バットゥー侍との一騎打ちに臨むべく歩を進める。
次回で長かった第一回イベントも終了(予定)!




