第一回イベント その8
「心配はしてなかったけどやっぱり無事だったね」
槍使いと弓使いの二人を倒し、マップを見てルークたちと合流するといきなり言われる。その言葉に信頼されていると取るべきか迷い微妙な表情を浮かべる。
「多少は心配してくれても…」
「レインにはするだけ無駄ね」
俺の言葉を遮りミラがばっさりと切り捨てる。それに同意するようにミーニャとルークの二人が頷いているのが見える。解せぬ…
「あと合流してないのは神音、のじゃ、ござる、ホムラの四人か?」
会話が終わったタイミングを見計らって力 is パワーが確認する。すると、
「私なら合流していますよ」
「どわぁ!?」
力 is パワーの背後から声が聞こえ、そこにはホムラが立っていた。背後から急に聞こえた声に驚き力 is パワーが驚きの声を上げる。
「びっくりしたー!お前いつから立ってたんだよ」
「最初から立っていましたが?そもそも一番最初に合流したのも私ですし」
「まじか…全然気づかなかったぜ…」
「メイドですので」
「いや絶対関係ねぇー」
力 is パワーとホムラの会話、その最後の言葉に思わずツッコミを入れる。そんなやり取りをしていると神音とのじゃさんの姿が見える。だがその顔は明るくない。
「二人とも無事でよかったよ。僕が見ていた限りだとござると一緒にいたと思うんだけど…」
ルークが二人に話しかける。ルークの話によれば爆発の時点では二人と一緒にいたござさんの姿を確認しているようだ。
ルークの言葉に二人は顔を見合わせ頷くと神音が話し始める。
「そうですね…ござるさんにあの爆発からかばっていただいて…」
そのまま爆発四散したのか…仲間をかばうとはかっこいいことをするじゃないか…
そんなことを心の中で考えていたのだが、どうやら話には続きがあるらしい。
「おかげであの爆撃から三人とも生き残ったのですが…」
「その後的プレイヤーに襲われて普通にやられたのじゃ」
神音が話を区切り続きをのじゃさんが話す。そして明かされる衝撃の事実。何やってんだあの人…
「何やっとるんだあいつは…」
俺と同じことを思ったらしいガル爺が呟く。
「レインの時と同じように勝てると思って油断してたんでしょうね…」
ミラが頭痛がするかのように額に手を当てながら自分の考えを述べる。
「恐らくそうだと思います。おかしい人を亡くしました…」
神音がミラの考えを肯定し、哀悼の意をささげる。言葉が少し違う気もするが気にしてはいけない。
「これはイベントが終わったら一回しごく必要があるかな?」
一連の話を聞いたルークがござさんをしごき上げるための計画を立て始める。オイオイオイあいつ死んだわ。
「南無三」
とりあえずござさんがやられたであろう方向に向けて手を合わせ、実際の使い方とは違うかもしれないが雰囲気的に言っておく。「勝手に殺すなでござるー!」なんて空耳がした気もするが気のせいだろう。イベントが終わったらござさんには渾身の屈伸煽りをプレゼントすることにしよう。
「ござるのことは残念だけど切り替えて動き始めるとしようか」
ござさんをしごくための計画を組み終えたらしいルークが、空気を切り替えるように話し始める。その言葉に暗い表情を浮かべていた神音とミーニャ、そして微妙な空気になった俺たちも顔を上げルークに視線を向ける。
「三日目になる前にできる限り倒して早めに休むよ!」
ルークの言葉に「おー!」と全員が声をそろえて反応する。さっきまでの微妙な空気はすっかり消えていた。
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黄金平原がいる場所から少し離れた小高い丘の上、そこで二人のプレイヤーが対峙していた。
「人数差があるとはいえ、ここまで一方的にやられるとはな…」
対峙しているプレイヤーの一人、『雪月花』の団長クリスが横目に丘のふもとで戦っている自身の仲間たちが光と消えていく様を見ながらこぼす。黄金平原のミーニャに一人、そしてその後一人やられ残り八人となったものの、実力自体は間違いない仲間たちが一人も倒せずに消えていく光景は信じられなかった。
「たまたまうまくいっただけだとも」
クリスの言葉を聞いたもう一人のプレイヤー、『武士道』の団長バットゥー侍が言葉を返す。雪月花を見つけ休憩しているところを襲撃、それがうまくはまり一方的な結果が生まれてしまった。襲撃の際にクリスだけはうまく逃げだしたものの、バットゥー侍に捕まりこの状態へと陥ってしまった。
「こっちも一人か二人はやられるくらいの覚悟はしてたんだけどねぇ…雪月花を一人も欠けずに倒せるってのはかなり大きいな」
バットゥー侍が言葉を続ける。トップ旅団同士の激突、イベントの都合上避けられないのは分かっており、それなりに覚悟していたのだが杞憂に終わってしまった。
「残念ながら一人も欠けずにというのは無理だな」
「ほう…それはまたどうしてだい?」
「私がお前を倒すからだ!」
どうせ逃げられないならと覚悟を決めたクリスがスキルを発動させながら距離を詰める。発動させたスキルは『一撃入魂』『先手必勝』の二つ。『一撃入魂』は発動した次の一撃をスタミナの消費を増やす代わりに大幅に攻撃力を上げるというもの、『先手必勝』は発動した次の一撃のスピードを速くするもの。
「グランドインパクト!」
バットゥー侍との距離を詰めたクリスは、さらにスキルを発動させハンマーを振りかぶる。グランドインパクトはハンマー専用のスキルで、自身を中心としておよそ半径10mという広範囲に効果を及ぼす攻撃スキルだ。『先手必勝』の効果で通常ではありえないほどの速度でハンマーが振り下ろされる。バットゥー侍のいる場所に振り下ろされたハンマーは地面に接触するとクリスの周辺の大地を砕き、土埃を巻き起こす。
(逃げるなら今!)
巻き起こされた土埃によって周囲が見えなくなっている今、逃げるのならこのタイミングしかない。あんな見え見えの一撃で倒せるほどバットゥー侍は甘くないし、もとより逃げる方法を模索していたクリスは急いでその場を離れようとする。
「逃がすと思うかい?」
そんなバットゥー侍の言葉とともに土埃を切り裂きながらの刀の一閃がクリスを襲う。
「くっ!」
クリスは何とかその一撃をハンマーで防ぐ。しかし、自分が作った土埃によって周囲が見えない中、どうやって自分の位置を特定したのか、そんなことを考える暇もなく再び刀の一閃がクリスを襲う。今度は予測していたため余裕をもってその一撃を対処する。自身の残りのスタミナ量を確認したクリスは、再び別の場所から襲ってきた一閃に向けてハンマーを振る。ガキンという音とともにバットゥー侍を刀ごと弾き飛ばした感触が手に伝わる。それを確認した瞬間に反対側へと走り出す。
(逃げれるか…!)
そう思った矢先。
「縮地」
バットゥー侍の言葉が聞こえたかと思いきや、自身の背後に急に気配が現れる。その瞬間に直感で身を投げ出すように前方へと跳ぶ。すると、先ほどまで自分の体が合った場所に刀の一閃が走る。躱しきれなかったようで少しだけ体力が削れている。そして、身を投げ出すように飛んだため体勢を立て直すのに時間がかかる。その隙を見逃すほどバットゥー侍は甘くない。
「竜の旋律」
クリスが最後に見たのは自身を切り裂く刀の五連撃だった。
技名考えるのって難しいね…




