第一回イベント その2
罠を仕掛けに行った五人が帰ってきた後、俺たちはホムラが入れた紅茶を飲んでくつろいでいた。バトルロワイヤル中なのにこのほのぼのとした感じ…嫌いじゃないしむしろ好きだよ。
まあ冗談は置いといて真面目なことを言えば家やらなんやらを作ったガル爺を休憩させるためにこうしているだけなんだけどね。ちょくちょく爆発音やら悲鳴やらが聞こえるけど気にしなくてもいいだろう。うん、紅茶おいしい…
「そろそろ行きましょうか。」
しばらく休憩した後、神音が切り出す。その言葉に全員が立ち上がり準備を整える。
洞窟の外に出ると休憩する前の光景と少し変わっていた。なんか遠くのほうの木が折れてたり、黒煙が上がってたりしてる。これはひどい。とりあえず巻き込まれた人には手を合わせておこう…
「それにしてもトラップ系統ってこんな強かったっけ?」
目の前の光景を見て思わず疑問を漏らす。俺の記憶が正しければ前作のトラップは慎重に見ればわかるし、威力もせいぜいが足止めになる程度だったはずだ。どう考えても目の前のこの状況を作り出せるほどの威力もなかったはずだ。そんな俺の疑問に答えたのはもちろんルークだ。
「今作になって強くなったんだよ。前作と違って自分のキャラの視点になったから前よりも見つけにくくなったし、魔法を使えば探知系の魔法も騙せるようになった。見ての通り威力も上がってね。まあ威力に関しては前作がステータスお化けも多かったこともあって、わざわざトラップを使うぐらいなら殴ったほうが速く終わるし、そういうプレイヤーは大抵防御力も高かったしね。」
なるほど。ルークの説明を聞いて納得する。前作に関してはほぼほぼインフレしたような環境だったし仕方ないだろう。そんなことをしている間にメンバー全員が準備を終えて外に出てきた。
「作戦はとにかくサーチアンドデストロイでいくよ。ござる、レイン、ミーニャは索敵をよろしく。できそうなら殲滅していいよ。」
「了解」「了解だにゃ」「了解でござる」
俺たち三人の返事が重なる。その様子を見て満足そうにうなずくルーク。
「それじゃいくよー!」
ルークが放った一言ともに黄金平原が動き出す。さあ、狩りの時間だ。
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黄金平原が動き始めてから少し時間が過ぎた頃。同じように休憩を終えて動き出す旅団があった。
「さてと、一日目でどれだけ減るか楽しみだねぇ。」
拠点から出てきた男が一人ぽつりと呟く。その男は人族で浪人のような恰好をしており、その腰には一本の刀を佩いている。男の名はバットゥー侍。開拓旅団『武士道』の団長だ。
「団長、準備が整いました。」
バットゥー侍が出てきた拠点から新たに男が出てきて告げる。
「よし。じゃあ狩りに行くとしますかぁ。」
バットゥー侍が獰猛に笑いながら言う。その言葉に男が苦笑しながらも動き始めるためにメンバーを呼びに行く。それを見送ったバットゥー侍は一人思索にふける。
「やりあうときに厄介なのは『騎士団』のとこの坊主と『雪月花』の嬢ちゃん…あとは『黄金平原』か…」
仮にも前作で最強プレイヤーの一人に数えられたこの男とまともに戦える人は少ない。1対多ならともかく1対1でバットゥー侍と互角に戦えるのは前作のトップギルド『騎士団』と『雪月花』の団長。そして、一人一人が何かを極めた変態の集まり『黄金平原』のメンバーくらいだろう。
VRから始めたプレイヤーにもいるかも知れないが、今現在間違いなく脅威といえるのはそれだけだ。
「『黄金平原』とは間違いなく当たるな…」
バットゥー侍が続けて呟く。そう思ったのはただの勘、しかし間違いなくそうなると直感していた。『黄金平原』のメンバーを思い浮かべる。前作では少数にもかかわらず他のどのギルドよりもいい成績を残してきた変態の集まり。そして、レイドバトルで他パーティが壊滅したにもかかわらず、立て直すまで一人でタゲ取りをし続けた絶対回避と呼ばれる男。『黄金平原』の中で唯一戦う機会がなかったその男と戦えるかもしれない。そう思うと笑わずにはいられなかった。
「こいつは楽しくなってきたねぇ。」
黄金平原、武士道、騎士団、雪月花。これらを始めとしたトップギルドが積極的に動いたことによってイベントに参加したギルドのうち半数以上が一日目に退場することとなった。
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「へっくし!」
新たにパーティ1つを全滅させたところで俺はくしゃみをする。誰か噂でもしてんのかね?ってかそもそもVRでくしゃみをするとは…作りこみすげぇな、さすがアナオンだぜ。
「風邪には気をつけるのじゃぞ?」
「いや、ゲームなんだから風邪なんか引かんでしょ…」
俺のくしゃみを聞き付けたのじゃさんのボケにツッコミを入れる。
「ほら遊んでないで次行くわよ。」
遊んでた訳じゃないんだけど…。まあ、ミラも分かってて言ってるだけだから何言おうが無駄なのだが。
「次のパーティを見つけたでござるよ。」
木の上からござさんが降りてきて報告する。また無慈悲に狩られるパーティが見つかってしまったようだ。アーメン。
「いやぁ楽しいねぇ!」
それもこれもルークのテンションが高いのが悪い。久しぶりに黄金平原全員が集まって戦えるからってはしゃぎすぎだろこいつ…
ルークのテンションに引きずられて、俺たちは圧倒的なキルムーブをかましている。FPSじゃないから少し違うかもしれないが似たようなもんだ。動き出してからもう既に2パーティ、合計16人を倒している。さらに今見つけられたパーティも全滅させられるんだろう。
「どうにかならんのあれ?」
俺はルークに聞こえないように神音へと話しかける。
「無理ですね…」
即答された。はぁ…。ただ付き合ってやるしかないのか…
ルークが落ち着いたのはそこから7パーティを全滅させた時だった。
リアルな事情で忙しくなってきたので投稿が遅くなる日が来るかもしれないです…
あっ、少しでも面白いと思っていただけたら感想とかもらえると蚊取り閃光がボッチお花見しながら感謝します。




