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第13話:王侯貴族を超えた豊穣と、真の解放

【前書き】


いつもお読みいただきありがとうございます! 作者です。


よくやってくれた。だが既得権益者たちにも更なる豊穣がもたらされるのだから、ちょっと待っていてほしい。


かつて人類は、日本を除いて世界各地で争いを繰り広げていた。王侯貴族たちが更なる土地や利権を求めて世界を蹂躙し、つつましく生きる人々を踏みにじり、搾取した富で「豊かそうに見える生活」を嗜んでいた。

だが、歴史を振り返れば、当時の王侯貴族のどんな贅沢な暮らしよりも、現代社会の一般の人々の方が遥かに快適で豊かで衛生的な生活を送っている。


争い、奪い合う狭い思想を手放すことによってこそ、人類は次のレイヤー……更なる次元の豊穣へと移っていくことができるのだと信じている。


奪う者も、奪われていた者も、全員が未知なる豊かさへ——。

第13話をお楽しみください!

### 1. 追い詰められた旧権力者たちと、ワタルの「救済の提案」


スイスの地下要塞の跡地。

電脳空間のネットワークも裏資産もすべてをDWASによって書き換えられ、一室に集められたかつての最高指導者、国際金融資本の重鎮、軍需大企業のCEOたちは、虚無感と恐怖で立ち尽くしていた。


「我々の権力も、富も、世界を裏で操作するシステムも……すべて消えた。残されたのは、ただの老いぼれた身体だけだ……」


かつて一言で一国の経済を左右していた金融界の巨頭が、震える手で顔を覆う。


「あの少年……四条亘は、我々を処刑するつもりなのだろう。我々がこれまで世界中で行ってきた戦争への出資、搾取、そして格差の構築の罪を問うて……」


その時だった。

部屋の空間の中央がサファイア色の柔らかい光で歪み、一基のホログラムモニターが浮かび上がった。


そこに映し出されたのは、冷酷な処刑人の姿ではなかった。

日本の拠点——四条邸の研究棟で、変わらず静かで穏やかな眼差しをたたえる少年、四条亘(シジョウワタル)の姿だった。


『お待たせしました、皆さん』


亘は画面越しに、彼らを見つめて静かに語りかけた。


「四条……亘……! 我々を笑いに来たのか!? 敗北した哀れな特権階級の末路を蔑むために……!」


『いいえ、違います』


亘は頭を振った。


『俺は皆さんを処刑するためでも、罰するためでもなく……「更なる豊穣」を届けるために、こうして話しかけています』


「更なる……豊穣だと……!?」


---


### 2. 歴史の真理——王侯貴族の暮らしを超えた現代の豊かさ


『皆さん。歴史を振り返ってみてください』


亘の背後に、過去何千年の人類の歴史を象徴するホログラム映像が映し出された。


『かつて人類は、日本を除いて、地球上のあらゆる場所で不毛な奪い合いと戦争を続けていました。王侯貴族たちが更なる土地やゴールド、労働力を求めて世界を蹂躙し、つつましく生きる人々を踏みにじり、搾取した富で豪勢な城を建て、豊かそうに見える生活を誇っていました』


画面には、かつての帝国の王や貴族たちが、豪華なドレスや鎧を纏って民を支配する姿が映し出される。


『ですが……冷静に考えてみてください。中世や近世のどんな偉大な国王や皇帝の贅沢な暮らしであっても、エアコンも、最新の医療も、美味しい冷蔵食品も、瞬時に世界とつながるインターネットもなかった。現代の一般人たちが当たり前に享受している快適さ、衛生さ、豊かさには、当時の王様ですら遠く及ばなかったんです』


旧権力者たちは、言葉を失って画面を見つめた。


『他者から奪うことで得られる「特権」なんて、たかだかその時代の狭い限界の中に過ぎません。皆さんが命がけで執着していた暗号資産や裏金、他国を脅かす兵器や支配権……そんなものは、宇宙の真理から見れば「ちっぽけで不衛生な過去の遺物」に過ぎないんです』


「ちっぽけな……過去の遺物……?」


『ええ。皆さんが「奪い合う不足の世界」の思想を手放し、他者と「与えあう世界」を受け入れるなら……DWASテクノロジーは、皆さんにこれまでの特権など比べものにならない「更なる次元の豊かさ」を提供します』


亘が指先を鳴らすと、彼らの目の前に純白のDWASデバイスが顕現した。


『病気に怯えることも、老いに苦しむこともない医療。どこへでも一瞬で旅立てる自由。そして、誰かを虐げなくても無限に湧き出るクリーンなエネルギーと素晴らしい住環境。……誰も傷つけず、誰も排除しない「全人類の真の豊穣」です』


---


### 3. 特権の放棄と、全人類の『平坦な豊穣』への参画


「誰かを……虐げなくても得られる……更なる豊穣……」


金融界の巨頭は、顕現したデバイスから溢れ出る温かな光に手を伸ばした。

彼の胸に宿っていたのは、これまで「いつか他人に奪い返されるのではないか」「自分より強い者に失脚させられるのではないか」という、終わりのない恐怖と孤独だった。


他者を搾取してトップに君臨していた彼らもまた、実は「奪い合いの世界」の哀れな奴隷だったのだ。


「我々は……間違っていたのか。他者から奪い、格差を作ることの中にしか、自分の価値を見出せなかった……」


「そうだ。他者から奪う思想を手放すことでしか、人類は次のステージへ進めないのだな……」


かつての指導者たちが、ポロポロと涙を流しながら膝をついた。

彼らは自らの意思で「支配者」という不毛な肩書きを捨て、DWASが提示する「新しい地球の市民」として、与えあう世界へと加わることを選択したのだ。


◇


「すごいですわ、四条さん……!」


アウロラのブリッジで、その光景を見守っていたアリアーナが感極まった声を上げた。


「力でねじ伏せるのではなく、歴史の真理を語りかけ、彼ら自身に『奪う愚かさ』と『与えあう豊かさ』を悟らせるなんて……これこそが、本当の意味での救済です」


「うん! 悪い大人たちも、改心して一緒にお友達になれたんだね!」


ユーリアがスカイブルーのユールスーツ姿で大喜びで弾け飛ぶ。


「うむ!」


ロベルト・ヴァイスマン大佐(40)も、感無量の面持ちで深く頷いた。


「過去の王侯貴族のどんな贅沢も、今の全人類が手に入れた豊かな暮らしには及ばない。争う必要のない『与えあう世界』へと移行したことで、地球上のすべての人間が、真の意味で次のレイヤーへ引き上げられたのだ!」


---


### 4. 地球全土の完全調和と、太陽系進出への扉


『ルナ。地球上の全意識体における「奪い合いのパラダイム」の解消を確認。地球社会の構造的バグ、完全修正完了です』


四条邸・研究棟のオペレーションルームで、亘の傍らに立つルナが可憐にお辞儀をした。


『了解しました、マスター・ワタル。地球全全土における貧困率0%、病傷患率0%、紛争再発率0%。地球文明の進化段階が【タイプⅠ文明(惑星エネルギー全統合段階)】へと昇格しました』


メインモニターに映し出された地球。

そこにはもはや国境の境界線も、富の偏りを表す歪みなグラフもなく、ただただ青く美しく、すべての命が祝福されて輝く「調和の惑星」の姿があった。


「亘さん……。地球上のすべての理不尽が消え去りましたのね」


通信回線越しに、母ナターリア(38)も温かな涙を浮かべながら語りかけた。


『はい、ナターリアさん。戦争も、貧困も、差別も、そして旧時代の歪んだ支配も……すべて過去のものになりました』


亘は静かに立ち上がり、研究棟の天井を透かして、その上空に広がる漆黒の夜空と、輝く月、火星、そして無数の星々を見上げた。


『地上のすべての問題が解決された今……俺たちの旅は、いよいよ地球というひとつの故郷を飛び出し、広大な「太陽系」へと進出します!』


「よし! 我らヴァイスマン一家、そしてアウロラ全クルー、どこまでもワタル殿に同行しよう!」


ロベルト大佐が威厳に満ちた声で応じ、アリアーナ、ユーリア、そしてルナが笑顔で亘の傍らに並んだ。


地球上のすべての人間が「奪い合い」を捨て、「与えあう世界」へと進化を遂げた瞬間——。

四条亘と仲間たちの物語は、人類の新たな故郷を築く壮大な【太陽系テラフォーミング&銀河新時代編】へと、無限の希望とともに羽ばたいていくのだった!

後書き】


第13話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


前書きでお話しした「歴史上の王侯貴族の暮らしよりも現代の一般人の方が遥かに豊かである」という歴史の真理と、「奪い合う思想を手放すことで更なる豊穣へ移行する」という究極の救済を描かせていただきました!

力で滅ぼすのではなく、既得権益者たちすらも新たな与えあう世界へと巻き込んでいく温かな無双劇、お楽しみいただけましたでしょうか。


これにて地球上のすべての不全・支配構造の修正が完了いたしました!

次回第14話からは、いよいよ人類の新たなステージである「月面への超巨大テラフォーミング都市具現化」**と**「太陽系全域への進出」が本格的に始まります!


もし作品を面白いと思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価(★★★★★)で応援していただけると非常に大きな執筆の励みになります! 次回第14話もどうぞお楽しみに!

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