第12話:電脳の要塞を撃抜け! 量子演算の頂点と旧権力者の錯乱
【前書き】
お読みいただきありがとうございます! 作者です。
どうやら、紛争が起きているのは現実のリアル空間だけではなかったようだな。
だが、俺たちの次元波動式(DWAS)は、高次元でもある電子の世界、電脳空間に対しても最も強みがある。
世界のこれまでの科学力の粋を集めてきたであろう量子演算システムや世界中のスーパーコンピューターなどは、DW-QCSにとって比較にすら及ばない、次元の違うものなのだから。
巷では量子コンピューターが既に1200量子ビットもの超演算ができるものが開発されているらしいのだが、まだまだエラーも多く、結局は既存のスパコンに頼っているらしい。いわば「天才だが生まれたての赤ちゃんのようなもの」だ。
既得権益にしがみついている者たちは、奪い合う不足の世界しか知らず、無限に与えあう真理の世界が見えていないのだ。
現実の物理空間だけでなく、サイバー空間(電脳空間)の王座ですら、ワタルたちの敵ではない!
徹底的に権力者たちを追い詰める第12話をお楽しみください!
### 1. 電脳空間への逃避と、1200量子ビットの「赤ちゃん」
成層圏に鎮座する『超高度戦術空中母艦 アウロラ』のブリッジ。
そして日本の埼玉県川口市、四条邸の広大な敷地内に建つ『研究棟』のメインオペレーションルーム。
四条亘は、静かにホログラムのコードモニターを見つめていた。
前回の金融システムバグ書き換えによって、富を独占していた国際金融資本や旧時代の権力者たちは、現実の社会インフラだけでなく、裏で隠し持っていた莫大な裏金ネットワークすらも完全に奪われた。
「マスター・ワタル。地球上の旧権力者たちの残党が、最終防衛ラインとして『超高度セキュリティ・サイバー要塞』へ逃げ込んでいます」
実体化AIルナが、淡々とした口調で報告する。
『ほう……リアル空間での資金や武力がダメになったから今度は電脳空間に立てこもるというわけか』
「はい。彼らは世界中の最高峰の頭脳を集め、国家機密レベルの地下シェルターに設置された『最新鋭の量子コンピューター群』を起動させました。巷では既に1200量子ビットもの超演算ができるシステムなどと持て囃されていますが……」
ルナは微かに冷笑を浮かべた。
『実際のところ、現行の1200量子ビット機はデコヒーレンス(量子もつれの解消)によるエラーが頻発し、結局は既存の古典スーパーコンピューターの補完に頼っている状態です。いわば「天才的だが、まだ生まれたての赤ちゃん」のようなもの。彼らはその未熟なシステムを盾に、我が軍のファイアウォールを破ろうと躍起になっています』
「なるほど……。既得権益にしがみついている者たちは、いつの時代も自分たちの狭い『奪い合う不足の世界』の道具しか見えていないらしい」
亘は呆れたように息をつき、デスクの上から一枚の眩い輝きを放つ虹色のDWASチタンカード——【Hyper-Dimensional Quantum Core Overwrite】を手に取った。
「彼らは知らないのだよ。俺たちのDW-QCSが叩き出す演算は、三次元の量子力学の枠すら超えた、無限速の作用点を巡る高次元スピン計算そのものだということをね」
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### 2. 世界中のスパコンと1200量子ビットの全面降伏
スイスの地下深く、厳重なセキュリティで固められた国際金融・軍事合同の電脳要塞。
そこには、世界中からかき集められた最新鋭のスーパーコンピューター群と、誇らしげに稼働する1200量子ビットの超大型量子プロセッサが、青白い冷却プラズマの光を放っていた。
「どうだ!? 四条亘のメインフレームに対するサイバー攻撃の状況は!?」
追い詰められた旧権力者たちの側近である主席プログラマーが、血走った目でモニターにしがみついている。
「い、今、世界中のスパコンの演算力を結集し、あの少年のネットワークへ逆ハッキングを仕掛けています! この1200量子ビットの超演算能力があれば、奴のシステムを内部から焼き尽くすことは――」
その時だった。
ブチッ……! パチパチパチッ……!!
「な……っ!?」
地下要塞の巨大なラックに並んでいた数千台のスーパーコンピューター群と、自慢の1200量子ビット量子プロセッサが、一斉に火花を散らしてブラックアウトした。
「ば、馬鹿な!? 負荷超過だ!? なぜだ、我が軍のシステム側が圧倒的なリソースを持っているはずなのに……!」
プログラマーが絶叫する。
彼らのモニターに映し出されたのは、エラーコードでもハッキングの痕跡でもなかった。
ただ一筋の、見たこともない高次元の幾何学模様と、静かな文字だった。
——『あなた方の計算は、終わりました』
「あ……あぁ……」
世界中の科学力の粋を集め、幾万ものスパコンと最新量子ビットを繋いだ彼らの電脳要塞は、亘が差し向けたDW-QCSの足元にも及ばず、一瞬にして「ただの鉄くずとシリコンの塊」へと書き換えられてしまったのだ。
◇
「ルナ、電脳要塞の制圧完了を確認」
四条邸・研究棟のオペレーションルームで、亘は静かに言った。
「はい、マスター・ワタル。旧権力者たちが電脳空間に隠し持っていたすべての不正データ、裏の株取引記録、マネーロンダリングの隠し口座、そして世論工作用のフェイクニュース配信サーバー……すべてを高次元浄化し、公開データへと変換しました」
「さすがワタル先輩! 悪い大人たちが電脳の世界でこそこそ隠れてた悪事も、一網打尽だね!」
アウロラのブリッジから、ユーリアが画面越しに満面の笑みで拍手を送る。
「ええ……。現実の武力だけでなく、お金の支配、そして情報や電脳の世界の裏工作まで……彼らが頼っていたすべての『不正の隠れ家』が完璧に暴かれましたわ」
アリアーナも感心したように息を呑む。
「見事だ、ワタル殿!」
ロベルト大佐が腕を組み、力強く頷いた。
「既得権益にしがみつく者たちは、いつの時代も『奪い合う不足の世界』のルールしか知らない。彼らは自分たちの利権が崩れることだけに怯え、与えあう世界の豊かさを想像すらできなかったのだからな」
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### 3. 旧権力者たちの錯乱と、追い詰められる「特権の亡者たち」
スイスの地下要塞から逃げ延びた旧時代の金融支配者や最高指導者たちは、地上の一室で茫然自失となっていた。
「兵器を奪われ……金融システムを奪われ……そして、我々の最後の砦であった電脳空間のネットワークまで、一瞬で乗っ取り返されただと……!?」
老いた指導者が、目の前の端末から流れる「すべての裏資産の無償共有化」のニュースを見て、頭を抱えて崩れ落ちた。
「あの少年は……人間ではない……。神か、あるいはこの世界を書き換える悪魔だ……!」
「違うわ!」
部屋の扉が開き、凛とした足取りで入ってきたのは、かつて彼らに利用されていた元情報官の女性だった。彼女は冷ややかな目で特権の亡者たちを見下ろす。
「彼らは悪魔などではない。あなた方が『奪い合い、搾取し続けなければ生きられない』と信じ込んでいた狭い世界を、本当の『与えあう世界』へと正そうとしているだけよ。あなた方が見ようとしなかった真理の光に、怯えているだけに過ぎないわ」
「ぐっ……! お前……!」
言葉を失い、もはや逃げ場を完全に失った旧権力者たち。
彼らを追い詰めたのは暴力でも脅迫でもなく、DWASがもたらした「圧倒的な真理と平等の光」そのものだった。
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### 4. さらなる地上の浄化と、宇宙へのカウントダウン
「マスター・ワタル。地球上の旧権力者たちの残党組織、およびその隠れ家ネットワークの制圧率、100%に達しました。彼らはもはや、地球上で不当な支配や工作を行う手段を一切失っています」
ルナの報告に、亘は深く頷いた。
『ご苦労様、ルナ。これで、地球上の構造的バグ……現実の暴力、社会の金融、そして電脳空間の不正工作まで、すべての歪みが完全に正された』
「ワタル先輩! じゃあ、地球の悪い人たちはもうすっかりいなくなったんだね!」
「ええ、ユーリア。これからは、誰もが怯えることなく、お互いを支え合って生きられる真の平和が訪れます」
アリアーナが優しく微笑み、ロベルト大佐も葉巻ではなく温かいお茶を片手に満足そうに目を細める。
「ワタル殿。地上におけるすべての障害が取り払われた今、我々が次に進むべき道は一つだな」
『はい、ロベルト大佐』
亘は立ち上がり、研究棟の大きな窓から夜空に輝く満月と、その彼方に広がる漆黒の宇宙を見据えた。
『地上の歪みをすべて正した今、人類は狭い地球の枠組みを飛び出し、太陽系全域へとその歩みを進める。月面、火星、そして広大な宇宙空間に、誰もが豊かに暮らせる新しい文明を築き上げるんだ』
「よし! アウロラのクルーとして、そしてヴァイスマン家の総力を挙げて、ワタル殿の開く銀河の扉を完璧に守り抜いてみせよう!」
既得権益にしがみつく者たちの最後の砦をも電脳空間から粉砕し、地球上のすべての構造的バグを完全に修正し尽くした亘たち。
物語はいよいよ、人類の活動領域を宇宙へと広げる「太陽系進出&テラフォーミング編」へと、壮大なスケールで突入していくのだった!
【後書き】
第12話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
前書きでお話しした「量子コンピューターの現状(1200量子ビットの未熟さとスパコンへの依存)」や「電脳空間におけるDW-QCSの圧倒的な優位性」、そして「奪い合う不足の世界しか見えていない既得権益者たち」を描く第2章の深掘り回をお届けいたしました!
現実の暴力だけでなく、サイバー空間(電脳空間)の王座すらも一網打尽にして旧権力者たちを完全に追い詰める爽快感、お楽しみいただけましたでしょうか。
次回第13話では、地上の支配構造を完全クリアした人類の新たなステージとして、月面への超巨大テラフォーミング都市の具現化と太陽系進出の幕開けを描いてまいります!
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