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Episode 55「願いの泉」

翌朝。


リトたちは再び森の奥へ進んでいた。


しばらくすると、グラフが手綱を引いて荷馬車を止めた。


「……この先だ」


木々の間に、細い道が続いている。


四人は荷馬車を降り、その道を進んだ。


やがて、木々の向こうが明るく開けてくる。


木々を抜けた、その先。


森の奥に、静かな泉が広がっていた。


木々に囲まれた水面は澄み、空の光を映している。


リトはしばらく泉を眺めた。


「……ここ?」


「うん」


リトは水辺へ近づき、水面を覗き込む。


魚が一匹、すっと泳いでいく。


「……すげぇ。きれいなところだな」


オソノも泉を覗き込んだ。


「ずいぶん澄んだ水だね」


グラフは周囲を見回す。


「遺跡の織物に描かれていた場所と、よく似ていますね」


セラが頷く。


「うん」


四人は泉の周囲を調べ始めた。


だが、特別なものは見つからない。


水は透き通ったままだった。


やがて、グラフが言う。


「暦通りなら、新月は今夜です」


その言葉に、全員の表情が引き締まる。


オソノが森の奥へ目を向けた。


「……そろそろ来る頃かね」


リトが首を傾げる。


「誰が?」


「うちのバカ息子どもさ」


「息子さんたち?」


「ああ。新しい白銀のローブを頼んである」


リトが目を丸くする。


「あれから仕立てたのか!?」


セラも驚いたようにオソノを見る。


「新しいローブを?」


「ああ。今度は、ちゃんと意味を込めたやつをね」


グラフが言う。


「間に合うといいんですが」


「間に合わせてもらわなきゃ困るよ。ったく……あのバカ息子ども」


オソノは泉へ視線を戻した。


「とにかく、夜までここで待つよ」


四人は泉のそばに荷物を下ろした。


水面には、木々と空が映っている。


願いの泉は、何事もなかったかのように静かだった。

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