↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/62

Episode 4「消えた少女と帝国の影」

──


夜。


いつものように帰宅したリトとバンリ。

しかし、部屋の扉を開けた瞬間、二人は息を呑んだ。


リトが真っ先に部屋を見回す。


「……いない!」


「え?!……マジか。けど、良かったんじゃないか?向こうから消えてくれたなら手間が省けた」


部屋の中には、誰の気配もなかった。

毛布はきれいに畳まれ、その上にセラの姿はない。


「まさか……出ていったのか……?」


バンリはそんなリトを制する。


「おい、やめとけ。関わるなって言っただろ。親方だって――」


「でも、何も言わずにいなくなるなんて……!話、ちゃんと聞きたかったのに」


リトは部屋を飛び出す。


「俺、探してくる!」


「ちょ、待てって!……もう、勝手にしろよ!」


──


二人は夜の貧民街を駆け回る。

市場通り、裏路地、馴染みの広場――だが、セラの姿はどこにもない。


そのとき――


「……金色の髪の娘を見かけた者はいないか?」


黒い軍服の数人が、通りの影から現れる。

胸元には、リズマール帝国の紋章が輝いていた。


リトは思わず息を呑む。


「……っ」


「マジか……。追っ手が来たんだ……!」


物陰に身をひそめながら、二人は兵士たちの会話に耳を澄ませる。


「王女の足取りはこの辺りで途絶えている。協力者がいる可能性もある」


「怪しいやつも含めて、見つけた者はまとめて事情を聞け」


──


緊張が走る中、リトの目が動く。


暗がりの奥。

古い倉庫の裏に、しゃがみ込んでいる少女がいた。


セラだった。


「……セラ!」


「……ごめんなさい。巻き込みたくなかったの……」


「バカ!一人でどうするつもりだったんだよ!」


バンリが周囲を見回す。


「ここじゃマズい。……行くぞ、親方のところ!」


──


工場裏の古い平屋。

タゴスの家。


重い扉をノックすると、煙草をくわえた親方が不機嫌そうに顔を出す。


「……今度は三人かよ」


リトが必死に訴える。


「お願い!匿ってほしい!帝国の兵が、すぐそこまで来てるんだ!」


しばらくの沈黙のあと、タゴスは煙を吐いて、扉を開ける。


「まったく……ろくでもねぇガキ共だ」


そして、扉は静かに閉じられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。