↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/63

Episode 23「残された想い」

リトは、石柱に現れた鍵穴を見つめた。


手には、母からもらった古い鍵がある。


「……これ、本当に入るのかな」


「入れてみりゃ分かるだろ」


リトは鍵を差し込み、ゆっくりと回した。


――カチリ。


次の瞬間、地の底から低い音が響いた。


ゴゴゴゴゴ……。


石柱の後ろに隠れていた石床がゆっくりとずれ、その上に絡みついていた木の根が土をこぼしながら引かれていく。


やがて、その下から地下へ続く石の階段が現れた。


リトは暗闇を覗き込む。


「……すげぇ」


オソノは荷物から松明を取り出し、火を灯した。


「行くよ」


「え、もう?」


「何のためにここまで来たんだい」


オソノは迷うことなく階段を下りていく。


リトたちも、その後を追った。


──


階段の先には、古い工房が広がっていた。


何台もの織機が並び、棚には朽ちかけた糸巻きや道具が残され、壁には色褪せた織物がいくつも掛けられている。


グラフは松明を掲げたまま、言葉を失ったように辺りを見渡した。


「……すごいな」


ゆっくりと一台の織機へ近づく。


「これが、本当にフィルノアの織師たちが使っていた工房だとしたら……」


オソノも織機へ目を向ける。


「とんでもないものを見つけちまったね」


グラフは織機の細部を確かめるように見つめていた。


リトとセラも、壁に残された織物へ目を向ける。


オソノはそのうちの一枚に近づいた。


織物には、銀糸による複雑な紋様が残されている。


「やっぱり、ただの模様じゃないね」


リトが覗き込む。


「これ、何か分かりそうなの?」


「いや、まだちゃんと調べないと分からないよ。ただの模様じゃないとは思うけどね」


セラも織物を見つめる。


「じゃあ、調べれば何か分かるかもしれないんですね」


グラフが周囲を見渡した。


「これだけ残っているんだ。手掛かりも、どこかにあるかもしれない」


リトは手の中の鍵へ視線を落とした。


――これは、お母さんの大切なものだから。リトが持ってて。


幼い頃に聞いた母の言葉が、頭の中に蘇る。


この鍵がなければ、ここへ入ることはできなかった。


母は、この場所を知っていたのだろうか。


それとも――。


その時、工房の奥からグラフの声がした。


「おい、こっちを見ろ」


三人が声の方へ向かう。


工房の一番奥。


巨大な織物が、壁一面を覆っていた。


暗い空の下、白銀の衣を纏った女性が立っている。


その足元には、黄金色に輝く水面。


そして、暗い空には無数の小さな光が舞っていた。


セラは何かを思い出したような目で、その織物を見つめる。


やがて、小さく呟いた。


「……この人……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。