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1秒ストライカー 〜1秒先の未来が見えるおっさん、サッカーで人生やり直す〜  作者: そきおこ
やっと本題、テンリーグ

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88/96

第88話 10と11

 今日は火曜日、ハッピーチューズデー。

 アリスが名付けた"はぴちゅ"の日だ。

 会社も部活も休み。そのうえ夜は「お好み焼きてっぱん」が社割で利用できる、部員たちの癒しのひとときだ。


 ヨウは、あおい庭園管理がメインのためシフトが違うが、仕事を終えて、わさびとユミと連れ立って「てっぱん」にやってきた。


「お〜、お疲れ。」


 すでに何杯かやって出来上がっているイレが、ヨウに手招きする。いつもと同じ、オヤジさんの焼き台前のカウンター席だ。


 ヨウは呼ばれるがまま座ろうとして、イレの向こうで"さかつくスペシャル"を頬張る男性を見てギョッとした。


 なんとカウンターには、あのテンがいた。


「やぁ、ヨウ君。久しぶりに食べるけど、やっぱりさかつくスペシャルは最高だよ。ね、アニキ。」


 テンがオヤジさんに声をかける。


「このおっさんには、俺らが若けぇときから食わせてもらっててな。当時のさかつく部員は、みんなアニキって呼んでたんだ。若けぇ頃から、おっさんだったけどな。」


 イレが補足する。


「うるせぇ、お前だってどっからどう見てもおっさんだろ。それにしても、テンはまったく変わらねぇな。苦労してねぇんだろ?大金持ちさま。」


 冗談を言い合いながら、テンは楽しそうに食事を続けている。


 さすがに不意を突かれたな……。まだ、まとまってない。


 ヨウは、テンリーグの進捗への焦りを思い出しながら、夏海が運んできたハイボールで喉を潤した。


「さて……。うちの右腕は、どれくらい作ってくれたかな?」


 ふっと真剣な目つきになったテンが、ヨウを見つめる。隣でイレが苦虫を噛みつぶしたような顔で腕を組んだ。


「え、えっと……。方向性は決めましたが、具体的には……。」


 ヨウが、ああでこうでと説明していると、不意にテンが視線を外した。


「お〜い。」


 小さく呼びかける。


 すると、いつの間にかヨウの背後にペイが立っていた。


「どう?できてる?」


 テンが尋ねる。


「もちろんですよ、社長〜。もうばっちりです。」


 ペイは、大好きな飼い主にまとわりつく犬のようにすり寄ってきた。


「あ、じゃ、よろしく。それでさ〜。」


 テンは、ペイがそこにいないかのように、イレとオヤジさんとの会話に戻った。


 イレさん、引いてる……。


 ヨウは、いつものようにうすら寒さを感じながら、ハイボールをちびちびと舐める。


「ヨウ君。」


 背後から低い声。


「うわ!?」


 振り返ると、すぐ後ろにイレが立っていた。思わずハイボールを吹き出しそうになる。


「明日からもう実装ですよ、テンリーグ。社長の滞在は明後日までの3日間。やることやりますよ。」


「え〜!!」


 ヨウは思わず大声を上げた。


 さかつく部員たちが、何事かと視線を向ける。

 だがテンとイレは、何事もなかったかのように酒を酌み交わしている。


 明日から、どうすればいいのか。


 何を話したのかも定かではないまま、気がつけば夜は更けていた。

 その後は、ペイと遅くまで飲み明かした。

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