第80話 みかん箱プロジェクト……と命名
テンリーグの話し合いを終え、ヨウとわさびはあおい庭園へ向かっていた――
「あらためて考えると、プロジェクト『みかん箱』っていう名前、いいよね。ペイさんには断っといてなんだけど、名前もらっちゃおうか。」
「もう、ヨウって、本当に人の気持ちが分かってないんだから!」
「いや、ペイさん喜ぶと思うよ。2カ月も一緒に旅をしていたから少しは分かるつもりだよ。」
ヨウが自信ありげに答える。
「スタジオみかんのプロジェクト名は、うちの命名神であるアリスちゃんの仕事です。」
これまで一度も依頼したことはないのだが、いつの間にか命名神となっているアリスにプロジェクト名を委ねることになった。
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「じゃ〜ん」
ヨウとわさびがまちカフェに到着すると、アリスが紙を広げて見せてきた。
中央にデフォルメしたみかん箱と、周囲に擬人化したみかんがふざけあっているポスター風のイラストだ。
「きゃ〜、かわいい。」
わさびがアリスの絵を見ながら、感想を語り始めた。ヨウものぞき込んでみると、確かにとてもかわいらしく、ほのぼのするイラストだ。
子どもの落書きみたいなのに、なぜか町の未来がそこに描かれている気がした。
「えっと、このみかん人……もんちゃんだよね?」
アリスが描いたみかん人たちは、ダンボールを中心に生き生きと動いている。
その上で遠くを見つめるポーズは、どう見ても、もんちゃんだ。
「あ、これ、未来君と勇気君だよね?」
ダンボールの上に向かってサッカーボールを蹴るみかん人と、ボレーシュートの体勢に入るみかん人を見てわさびがはしゃぐ。
「確かに、フォームがそのまんまだ。アリスちゃん、ものすごい才能なんじゃない?」
「そうですか〜。わかんないです〜。」
「あ、これは夏海……あ、イレさんも。」
はしゃぐ2人を見ながら、ふとヨウは質問してみた。
「アリスちゃん。坂本造園でスタジオみかんの全面バックアッププロジェクトを考えてるんだけど、なんかいい名前ないかな。」
「えっと〜。みかん箱はどうですか〜。」
!?
「えっと、美香さんと話した?」
「まだですよ〜。これから見せに行くところです〜。」
こうして、スタジオみかんの新事業は、プロジェクト『みかん箱』に決まった。
ダンボールの上で笑うみかん人たちを見ていると、ここから何かが始まる気がした。
ペイさんに許可、取らなきゃな……。
うちの命名神様と同じ結論に至るとは……
あの男、ただ者じゃないな。




