第78話 テンリーグ設立検討委員会
「困りましたね〜。断られるとは考えていませんでしたよ。……やはり右腕には勝てないということなんでしょうか。あ〜、う〜、ブツブツ……。」
ペイから、『アオソラ』によるスタジオみかん全面バックアップの提案を受けた翌日の早朝、美香は直接断りを入れた。
ペイは、美香に断られたことがショックだったようで、先ほどから早口で何かしらつぶやき始めている。
「美香さん、あんまり気にしなくていいよ。あとは、俺がフォローするからさ。」
ドン引きする美香に、余計なトラウマを残さないように、ヨウが介入する。
「さて、ペイさん。スタジオみかんや、あおい庭園のことは、わさびとなっちゃんに任せて、我々はサッカーのことをやろうよ。テンリーグ設立がペイさんの仕事でしょ?」
ヨウは、ペイを連れて坂本造園に向かった。
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坂本造園では、イレともんちゃん、現監督である未来が待っていた。
未来は高校生だが、今日は土曜日なので、ミーティングに参加することができた。
「さて、ここに集まったみんなは、詳細を理解していると思います。」
ヨウが語り始める。
「坂本造園でテンリーグを発足し、運営していかなければなりません。しかも、来月中に運営が始まります。いまゼロなのに……。」
「まぁ、がんばれや。」
ヨウの現実的な懸念に対し、社長であるイレはおおらかというか、どーんと構えている。
「ヨウさん、テンリーグ期待してますよ!!俺が卒業するまでの天皇杯制覇に、最高のバックアップです。わくわくしますよ。ね、みんな!」
未来が笑顔で続けると、一気に場が和んだ。いつも急かせかしているペイまでも、なんとなく柔和な笑顔を浮かべている。恐るべし、この高校生。
「で、まずは委員会の組織化か。このメンバーでいいんじゃないの?あんまり多くなるとややこしくなるもんね。」
もんちゃんが発言する。
ヨウはモニターにパソコンをつないで、必要なアクションを再確認のために投影した。
【今年の12月】
・テンリーグ設立検討委員会の組織化
・収益化事業の選定
・リーグの制度作り
・会場および施設の選定
【来年の1月】
・20人のサッカー少年が青空高校へ転入
・テンリーグ(試合)の試験運用開始
・テンリーグ(事業)の試験運用開始
「わさびにも入ってもらおうかな。なっちゃんは、実務に専念してもらいたいし。」
ヨウがわさびの加入を打診し、これが受け入れられたことで委員会のメンバーは決定した。
当然、委員長は社長であるイレになる。
「よし、じゃぁ、お前らの役目はこれな。」
イレは、ホワイトボードにそれぞれの役目を書き込んで見せた。
・収益化事業の選定::ヨウ、わさび
・リーグの制度作り:もん、未来
・会場および施設の選定::ペイ
・全体取りまとめ:ヨウ
「ペイさんは、いったいどんな立場なの?」
もんちゃんが声を上げた。
たぶん、みんなの認識合わせのためにわざとやっている。
「ペイさんは、テンリーグ設立をサポートするという名目で、坂本造園に出向という形にします。配属は、私の部署である企画課になります。」
ヨウがあらためて新入社員としてのペイを紹介する。
「おぅ、ペイさん、よろしくな。」
イレがペイを歓迎したところで、次のミーティングの日程と、それまでのマイルストーンをまとめてミーティングは終了した。
テンリーグは、誰にも気づかれないまま、静かに動き始めた。




