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1秒ストライカー 〜1秒先の未来が見えるおっさん、サッカーで人生やり直す〜  作者: そきおこ
第6章 青空市の未来

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第76話 みかん箱の始まり

 朝のミーティングを終えた後、ヨウ、わさび、夏海の3人は、いつもの散歩コースを通ってスタジオみかんに行く。


 途中、ヨウはピッチのおばちゃんに用事があるということで離脱した。ユミが怖がる頑固者のおばちゃんだ。当然ながら、『あおい庭園』管理組合には所属していない。

 なんの話があるのか気になったが、ヨウと別れてわさびと夏海、途中合流のユミは、まちカフェに向かった。


「美香〜、おはよっす!」


 あおい庭園の開園は10時である。

まだ9時を少し回ったところだが、すでに美香が開店準備をしているため、まちカフェの玄関の鍵は開いている。


 いつものように、まちカフェのドアを開け、夏海が美香に大声で挨拶した。


「おはようございます。夏海、みなさん。」


 美香がスタジオの清掃をしながら、挨拶を返す。

わさび達も同じように、まちカフェの掃除、ユミの花の準備、今日のランチメニューのお品書きづくりを、そそくさと始めた。

 美香は、すでに準備を終えかけているため、わさびは準備を夏海に預け、美香のもとに行って話しかける。


「もんちゃんから聞いたんだけど、スタジオみかんで美香さん以外の人のイラストも販売を始めるんだって?」


「そうなんですけど、規約とかを作っているところです。しっかり作らないと……。SNSで反響があって流行ってくれてるけど、その分、困った人も来る可能性がありますから。」


 元銀行員の美香は、坂本造園のメンバーにはいない慎重派だ。今回も、「十分に検討したうえで」ともんちゃんに返事しており、悪い意味では進みが遅い。

 ただし、美香の言う通り、しっかり考えなければ、それこそ『あおい庭園』のリスクになってしまう。


「そうねぇ……。!?きゃぁ〜〜〜〜……」


「どうしたっすか!!」


 突然、わさびが悲鳴を上げ、夏海がカフェの奥から走ってやってきた。

そこには、悲鳴を上げて美香に抱きつくわさびと、ピンクのおじさんがいた。


「あ、ペイさん。いつの間に入って来たっすか!!」


 夏海がペイに歩み寄る。


「いや、びっくりさせてごめんなさい。そろそろ美香さんと、スタジオみかん事業拡張計画の話をしようと思っていまして。あ、もちろんドアをノックして入ってきたんですよ。決して不法侵入のつもりはございません。それで、あの、話をさせてもらえませんか?」


 相変わらずの猛烈な早口がペイの口から吐き出される。


「あの、スタジオみかん拡張計画というのは?」


「美香さん、あなたは素晴らしい才能をお持ちです。そして、その才能が、この『あおい庭園』と出会ったことにより、相乗効果で何倍にも輝いています。いまや、あなたは、日本でも有数のクリエイターなのです。あ、言い遅れました。私、ペイともうします。通販大手『アオソラ』という会社の社長付き担当役員をやっております。そんなことはどうでもいいのですが……。あ、いや、どうでもいいことではないのですが、スタジオみかん拡張計画をぜひ私にやらせてください。名付けてプロジェクト『みかん箱』!!」


……。


 その場にいる全員は、あまりのことに誰も言葉を発することができなかった。

そんなこととはつゆ知らないユミは、楽しそうに販売する花の下準備をしていた。

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